同世代の双極性の人にはじめて会った。

自分以外の同世代の双極性の人にはじめて会った。

これまでお会いしたのは、まず、絲山秋子さん(サイン会にいっただけだが。双極性障害であることを公表されている。芥川賞作家)や、父の友だちなどで、みんなちょっと僕より年齢が上なのだ。

昔は、そもそも若くして双極性障害と診断されること自体めずらしかったと読んだことがある。最近でも、泥酔したような行動をして保護されたりしない限りは、まずうつ病と診断されるだろう。軽躁は自覚できてなく、医者に報告しない可能性もあるからだ。

というわけで、ともかく同病の若い人ってレアなのだ。

どういう経緯で、どこで会ったのかは、いろいろバレそうなので伏せますが、僕より若い女性でした。

まず、着ているものがカラフルだった。

僕も、上がってくると明るい色を沢山使った服を買ったり、着たりするようになる。関係あるかはわからないけど。

少し聞いた経歴からしても、僕なんかよりもとても有能だと思う。

そして、僕よりも若いのに、すでに僕の一生分をこえる量のリスクを引き受けているようだった。II型と診断されているそうだけど、それでも躁になると結構いろいろしちゃうらしい。(II型は完全な躁状態には至らず、軽躁までしかいかない人のことを言う。)

僕は自分の躁鬱の波をそこまで自覚できないので、なんとも言えないんだけど、躁というのはどうも単なるハイテンションではない。

僕の場合は、すぐイライラするし、すぐ感動するようになる。感情の振れ幅が大きい。欲望も大きい。制御不能で、自分の感情も思考も行動も止められない。例えばものを買うつもりがないのに買っていたりする。

いや、鬱だってある意味ではアンコントローラブルなんだけど、こちらはむしろ頑張っても体も心も動かせない感じ。

そういえば、現在どっちのフェーズなのかとかは聞かなかったな。でも、雰囲気的にはまあまあ安定してるけど、ちょっと元気な時期だと思う。わざわざちょっと遠くから来ていたし、少なくとも鬱ではなさそうだ。

 *

ところで、双極性障害の人は躁病のときのエピソードを話して笑いをとるものらしい。僕の近しい一般人たちは双極性障害だと話すと重い空気になるし、かといって父の友だちの双極性障害のおじさんたちは全員鬱で沈みっぱなしなので、そういう風習がなかった。

ということで、躁病のエピソードを教えてもらったんだけど。彼女は結構いろいろ持っていた。なにか1種類の手芸材料をめちゃくちゃ、何kgも買ったそうだ。
僕も園芸用の土を数十袋買ってしまったことがあるのを思いだして、ふたりで大笑いしました。

僕は滅多にピュアな躁にはならないし、そもそも元の性格ががおとなしいから、披露したエピソードもパッとしないのが残念だった。僕はまだ双極性障害であることをときどき疑っている(季節性うつとかではないかと思うことがある)くらいだから。

本当、性的放縦がない。
彼女とか作ってるヒマがあったら、カメラかパソコンを買いに行く。
躁状態で見るヨドバシカメラのカメラ売り場は、ギラギラ、キラキラと艶やかに光る黒いカメラボディとレンズが山脈のごとくがつらなりとても美しく感動して泣きそうになる。瞳孔開いているのかもしれない。

というわけで、土を買ったことしか披露できなかったのが大変残念であった。

でも、たぶん、全体に、数量や値段の感覚がおかしくなるのはある。
しかし、僕の体験はどうもショボいんだよなあ。本当の双極性障害はこんなもんじゃないと思う。

だからといって、お金が溶けないわけでもないんだけど。
たとえば通常営業のときは、交通費(1日2千円弱)以外にも、メシ、喫茶店、本、たばこなど払うお金をぜんぶSuicaで払って、引き落としが月6万円くらい。ところが、躁っぽい感じになると、これが月20万円くらいまでいく。
例えば14万円のMacBookを1台買うとこのくらいになるからね。これが1年に1、2度ある。

エピソードとして、あんまりパッとしないのは、メインで散財する対象がパソコンで、何台も買えないからだろう。いや、使わないのに何台も買っちゃう人もいると思うけど。あと、僕個人の事情として、保険と借金を極端に嫌う教育を受けたせいか、銀行口座にある現金以上に買えないのも大きい。

そもそも、カメラやパソコンは、値段が外見にあまり出ない。それに、いつも14万円くらいの中古MacBook Proを買っていた友だちが、突然25万円のMacBook Proを買ったとして、君は気づくか? あるいは、仮にデスクトップパソコンにモニターを何台もつけたとして、あるいは一眼レフカメラを何台も買ったとして、単なるオタクと思われるだけというのもある。

ただ、元々、安物買いの銭失いの気があるのだが、軽躁になると、それがさらに顕在化する。だから土とか古いレンズは買えるのだ。ところが、ゴミのような物が部屋に増えても、それはそれで目立たないのである。

いや、本当に楽しかった。でも、まあ、やっぱり自分のネタがパッとしなかったのは残念だ。

 *

さて、恒例のお薬についてです。
恒例といいつつしばらく書いてなかったので若干増減がある。

  • テグレトール 200mg×2T/day

  • リーマス 200mg×4T/day

  • セロクエル 100mg×6T/day

  • アモバン 10mg×1T/day

  • コンスタン(ソラナックス) 0.4mg×2T/day (頓服)

  • コントミン (12.5mg+25mg)×2/day (頓服)

  • ガスターOD 20mg×2T/day

  • イリボー5μg×1T/day

  • マグミット錠 330mg×2T/day

いつだったか忘れたが、3月くらいにちょっとふわーっとしたので、セロクエルが1錠増量になっている。

セロクエルはほとんど睡眠薬扱いになっていて、上記の増量も、軽躁そのものではなく、軽躁による睡眠時間短縮に対する対処という感じだった。確かに毎日長く寝てればわりと悪化しないものだ。医者は、昼間の効き目についてはおまけ程度とはいわないが、あまり期待していない気がする。

そういえば、主治医と母は、最近、睡眠時間の短縮(9時間を下回った場合)とお金の消費(1回1万円を越えるものがあった場合)という極めて定量的な心配のしかたをするようになっている。9時間切ってるからとりあえず9時間寝るだけの量に増やしたわけだ。

もちろん、セロクエルを増やしたのは、リーマスはもう増やせないということもある(過去に、もう1錠増やしたら血中濃度が中毒量である1mEq/Lを越えたため)。

ロゼレムは新顔である。
睡眠に関する薬だが通常の睡眠導入剤ではない。睡眠相(寝る時間帯)をコントロールしたいときに使う。時差ボケや、日常生活で常に時差ボケを起こすような睡眠障害の治療薬で、メラトニンのかわりにメラトニン受容体のうちM2とM3受容体にはたらくらしい。
眠気は大したことない。
ただ、ときどき、いつも通りの時間に飲んで、寝るのを忘れて起きてると強烈な眠気に襲われることがある。そういう薬なんだろうと思う。
僕はもともとサーカディアンリズムが24時間より長い感じなので、ちょうどいいのかもね、ということだった。
まあ、でも、これ単体で効くかというとどうだろう。ちょっと厳しいと思う。サイレースでも飲んだ方が。

あと胃腸の薬をスルピリド+イリボー+マグミットだったのを、ガスター+ イリボー+マグミットに。

ソラナックスとコントミンは原則的には同時に飲まない。ソラナックスが鬱用、コントミンは躁用ということになっている。
人間関係の強烈なストレス(上司がやたら怒鳴ったりプレッシャーをかけてくるのだ)による動悸・胃痛には、俺の場合大抵どっちでも効く気がする。

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