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過去に戻って親友を救いたい話 #2

※注意※

この二次創作小説は原作を知らない方でも楽しめますが、知っている方が楽しめるかと思われます。リンクを張っておきますので、ぜひ確認してみてください。プレイはこちら  公式サイトはこちら

本編はここからです。

再び目が覚める。ここは…酒場か。何か夢を見ていたのだが…いったいどんな内容だったのか忘れてしまった。
しかし過去に戻れたというのは本当らしい。私は自分が何を持っているのか確認してみる。するとポケットの中に、あった。「鍵番」のカードが。そして、中身のない「ご自由にお持ちください」の箱が。メインゲームの直前、つまりもうミシマ先生は手遅れのようだ。しかしまだ救える命はある……!
しかし、今の私には何ができる?そもそもどこまで進んでいる?湧き上がる疑問を一つ一つ整理しながら、私は酒場を後にして広間へと向かった。すると広間には、
「お、サラちゃんもう目が覚めたのかな。おまわりさん心配したよ。」
「おぉ、サラじゃんか!もう大丈夫なのか?」
ケイジさんとジョーがいた。二人とも私に向かって手を振っている。
「あっ…あぁ…ジョ……ジョーが…生き…生きてる…。」
ジョーが生きている。死んだはずのジョーが、笑顔で私に向かって手を振っている。その光景を見た私の瞳からは大粒の涙が零れ落ちる。泣いてはいけない、泣いちゃだめだ、そう言い聞かせても涙が止まらない。
「サラ⁉どうしたんだ急に泣き出して⁉悪夢でも見たのか⁉」
「おっと、かわいい乙女に涙は似合わないよサラちゃん。はい、ハンカチ。」
戸惑うジョーと、少し動揺を見せたケイジさん。ケイジさんから受け取ったハンカチで涙を拭うが、それでも涙は止まらない。するとジョーがどこか言いにくそうにケイジさんに
「あのー、少しだけ俺とサラで二人っきりにさせてくれませんかね?」
と告げた。ハンカチを使ってたから顔は見えないので様子はよくわからなかったが、ケイジさんは
「オーケー。それじゃあおまわりさんは別の所の捜査に行こうかな。サラちゃん、ハンカチは落ち着いたら返してね。」
と、さらりと言って、食堂の方へと向かった。ジョーはしばらくケイジさんを見送っていたが、ケイジさんが見えなくなると、私の方へと向き直った。
「それで、どうしたんだ?サラ。お前が急に泣き出すなんていつものお前じゃあり得ないだろ?」
ジョーはそう問いかけてくる。しかし、このあと起こることをジョーに伝えて良いのだろうか。ジョーの死、カイさんの死を。ソウさんが私たちに嘘をついていたことを。…いやまて。ジョーが死んだのは何故だ?身代を持っていたから?ジョーの、私を護ろうという気持ちを私が無視して本当の賢者を導き出したから?違う。

 ソ ウ さ ん が 邪 魔 を し た か ら じ ゃ な い か 。

その結論に至った私は得体のしれない乾いた血の色のような感情が湧き上がるのを感じた。なんとかそれを抑ええつけ、ジョーの方に向き直り、
「いや、大丈夫だ。お前に勉強を教えていたせいで私のテストが赤点になった夢を見てな。つい。」
そう言って笑って見せた。するとジョーはどこか安心したように、
「夢の中の俺ってそこまで勉強できないのかよ⁉ …まぁ、無事なら何よりだ。俺ももう行くぜ。」
と言って、ジョーもまた、食堂の方へと歩いて行った。
ジョー。今度は私がお前を守る。二人で帰ろう。こんなゲーム、もうこりごりだ。そして、

 次 は キ ミ が 死 ね 。 ソ ウ さ ん 。 お 前 は 私 が 殺 し て や る。

その思いを胸に、私も食堂の方へと歩いていった。

第一章二節 終


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