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笠地蔵

「笠地蔵」というと、なんとなく寒い地域のおはなしと思っていましたが、「日本昔話百選」(稲田浩二・稲田和子 編著 三省堂)に、のっているのは、大分県東国東郡のおはなしでした。
なぜ大分?とちょっと不思議だったんですが、大分県の国東半島は数々の古刹や、巨大な磨崖仏などもあって仏の里とも呼ばれていることと関係あるかもしれませんね。わからないけど(^^;

大みそかに起こる奇跡を、大分の言葉でやさしく語っています。

「昔昔あるところになあ、正直なおじいさんとおばあさんがあったんやち」からはじまる大分の「笠地蔵」。
おじいさんが、炭俵を売ったお金で、米を買わずに、お地蔵さんのために竹の編み笠を買って、家に手ぶらで帰ってくると、
おばあさんは、一度は(大みそかなのに、どうするの?)という感じだったのが、
おじいさんが、
「いつも通らせてもらう道のお地蔵さんが雪をかぶって濡れてござった。寒そうで、かわいそうで・・・・・お地蔵さんが、今夜から温う(ぬくう)休まると思うたら、わしはうれしゅうてこたえん(うれしくて仕方がない)。」というと、
「そらあ、いいことしたなあ。ほんなら餅はつかんでもおかゆで年を取ろうや」とおじいさんに共感し気持ちを切り替えて、二人でおかゆをすすって早々と寝ます。

そして真夜中、雪の降る中をお地蔵さんが、米俵を三つも四つも担いできて、軒下にそなえてくれる。
「「ああ、ありがたいなあ。もったいないなあ」と、二人はお地蔵さんに手を合わせて拝んだが、お姿はそれっきり見えなくなったと」
~~~

おじいさんの「うれしゅうてこたえん」の言葉から、自己犠牲ではなくて、
自分がどうしようもなくやりたくてやった、ことが感じ取れます。無邪気な「無条件の愛」ですね。
またおばあさんの気持ちの切り替え。
大みそかの晩に何も所有していなくても、愚痴も言わず、悲観的にもならず、「ほんなら、おかゆで年を取ろうか」というところが、なんとも大らかで、気持ちの良いおはなしです。

ここが、奇跡の起こるポイントなのではと思います。

お忙しい中、読んでくださって本当にありがとうございます。
今日で毎日投稿150日になります。
2022年、読んでくださる皆様のおかげで、
「ありがたい、もったいない」良い年になりました。
心から感謝しております。

あなたにうれしい奇跡が起きますように♡

良い年をお迎えください。

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