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企業アニメのコンテ制作 ~緩急をつける~

絵コンテではストーリーラインがわかるように、カット割りを描きます。
単にカットを割る、と言ってもどれくらい割って描けばいいのでしょうか。

闇雲に細かく割ると、自分(もしくはチーム)の作業量を増やすだけになり、かと言って最低限のカット割りにすると、クライアントもイメージが付きにくかったりします。複数人のチームで制作する場合には、力の入れどころが分かりにくくなる場合もあります。

絵コンテを作るときのコツとして、「緩急をつける」ことでより完成像をイメージできるコンテに仕上げることができます。

「緩急をつける」とは、メッセージを強調したい場面や、アニメーションとして一番見せ場にしたいポイントなどのカット割りを多くし、逆に、そこまで重要ではないカットは1枚で済ませてしまう、という様なイメージです。

具体例

「フラモクラウド」と言う架空のサービスの1シーンを例に見てみましょう。
台本はこちらです。

「ファイルの管理が面倒…」
「そんな時は、フラモクラウド!」
「フラモクラウドは、大容量のストレージをチームでシェアするクラウドサービスです。」

※どの分け方でも、完成映像は全て同じという前提にしておきます。

カット割が少なすぎる例

この例では、全てのカットが1センテンス=1カットで描いてあり、単調で完成イメージが湧きにくいものになっています。どこが盛り上がりのポイントか想像しにくいコンテですね。

カット割が多すぎる例

この例では、単語(文節)レベルでカットが分けられています。
アニメーションの流れは丁寧に細かく説明しているが、シーンの強調ポイントがわからなくなっています。

緩急をつけた例

カット割に緩急をつけたことで、どこの動きを強調したいかが明快になり、クライアント側もチーム側も完成イメージが湧きやすくなっています。


ジェットコースターをデザインする様に

上の3つが結果として同じ動きで完成されたとしても、3番目の様に緩急をつけた方が、見る側に臨場感を伝えることができます。

ジェットコースターの様に「絶叫ポイント」をデザインすることで、コンテの段階から、飽きさせない動画を作ることができます。

重要なのは、1カット毎で良し悪しを判断することではなく、全体の中でどれくらい重要なシーン(見せたいシーン)なのかをデザインすることです。



実制作でのコツ

実際にコンテに起こす際は、最初からポイントをデザインできるわけではありません。コンテの中でトライ&エラーをしながら調整していきます。

最初から完璧に作るのではなく、一旦最低限のカット(1センテンス1カットくらい)で仮置きし、重要なポイントのカット割を後で増やす、というやり方の方は、効率的かもしれません。(もちろんケースバイケースです。)

以上、今回はコンテの緩急についてご説明しました。
皆さんの制作においてのヒントになっていただければ嬉しいです。



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