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駅まで飛ばせば2

1からの続き

○勇真のアパート・寝室
扉の閉まる音で目を覚ます勇真。隣にまなみがいないことに気付く。
勇真 「そっか。今日はまなみ出勤か」
ベッドから起き上がる勇真。

○同・キッチン
テーブルの上に朝ごはんと並んで置いてあるお弁当二つ、うち一つは巾着に入っている、それと水筒を見つける勇真。
勇真 「お昼、俺の分も作ってくれたのか。まなみ ...、なんてできた嫁なんだ」
お弁当を手に取る勇真。
勇真 「でもなんで二つ...」
ハッとして巾着の中身を確認する勇真。
勇真 「これ!まなみのじゃん!置いてってるし」 時計を見る勇真。時計の時刻は 7:25。時計を見ながら考える勇真。
勇真 「自転車で急いで駅まで飛ばせば十分かからない。まなみがいつも乗る電車は 7:45、間に合う」
袋にお弁当と水筒を入れ、パーカーを羽織る勇真。腕時計をはめながら
勇真 「結婚して1か月。二人の生活が始まって以来の危機と言っても過言ではない。ここは夫の俺がまなみを危機から救い出す」
腕時計は7:28。
勇真 「しゃー」
気合いを入れて玄関へ向かう。

○同・玄関
お弁当の入った袋を手に颯爽と家から出て行く勇真。
T 「まなみの乗る電車出発まであと17分 」

○同・自転車置場
急いで自転車にまたがる勇真。グリップを握りながら
勇真「自転車乗るのなんて、もう何年ぶりだ。久々だから漕げるのか、俺 ... 。」
自転車から降りる。
勇真 「いやいやいやいや、こんなことやってる場合じゃない。今はまなみの危機」
再びまたがり、漕ごうとしたところに出勤前 の朝倉雄一(3 0 )がやってきて声をかける。
朝倉 「おはようございます、お早いですね」
勇真 「あ、おはようございます。嫁がお弁当忘れちゃって」
朝倉 「それで届けてあげるんですね、愛ですね
。うらやましいな。うちなんか...」
勇真 「あの、急ぎますんで」
朝倉 「それは失敬」
自転車を漕ぎ始める勇真。見送る朝倉。
勇真 「待ってろ、まなみ」

○バス停付近の道
勇真は自転車を漕いでいる。車道と歩道の間を漕いでいる。赤信号で止まる。落ち着かない様子で腕時計を見る。腕時計の時刻は 7:33。
勇真 「このペースだといける、間に合う。でも油断は禁物」
青信号に変わり、再び漕ぎ始める勇真。バス停付近に差し掛かり、歩道にはバスを待つ人たちがいる。バス停を猛スピードで通り過ぎ、角を曲がっていった勇真に驚く人々。

○道
勇真が自転車を漕いでいる。傾斜の大きい
坂道を立ち漕ぎで進む勇真。
勇真「この抜け道を抜ければもう駅だ」
坂を上がりきり角を曲がると工事中で通行止めの看板がある。自転車をとめ、道の先を見つめる勇真。
勇真「マジかよ。あと少しなのに」
腕時計を見る、7:35。Uターンし、自転車を再び漕ぎ始める勇真。先程の坂道を下っていく。
勇真「せっかく登ったのに」
公園にさしかかり、公園内をつっきる勇真。
勇真「間に合う!間に合う!間に合わせる!」

3は続く

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