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駅まで飛ばせば3

2からの続き

○駅
線路の脇に自転車が並んでいる。勇真が到着。息をきらしながら自転車にまたがったまま、腕時計を見る。時計の時刻は 7:40。
勇真「間に合った」
安堵する勇真。自転車を停め、袋を手に線路沿いの道から電車待ちする人の中にまなみがいないから確認する。しかし見当たらない。
勇真 「どこにいる、まなみぃ」
お弁当の入っている袋を持つ手に力が入る。
駅員アナウンスの声 「間もなく電車が参ります」 腕時計を見る勇真。時刻は 7:43。まなみを探すためあたりを見渡す。
勇真 「もう電車が来るっていうのにどこだ、まなみ」
携帯が鳴る。勇真はズボンのポケットから取り出す。勇真の携帯の画面にはまなみからのメッセージ。
T 「もうすぐ着くよ」
あたりを見渡し、まなみを探すが見当たらない。勇真は返信する。
T 「今どこ?」
すぐ既読がつき返信がくる。
T 「バスの中。もうすぐ駅だよ」
勇真 「バス!?」
うなだれる勇真。そこへバスが到着し、中からまなみが出てくる。
まなみ 「おはよう」
勇真 「おう」
まなみ 「すごい勢いで通り抜けて行くからびっくりしたよ」
勇真 「え?」

○バス停付近の道 (回想)
勇真はすごい勢いで自転車を漕ぎ、バス停の前を走り抜ける。バス停で待つ人の中にまなみがいる。
まなみ 「え?勇真くん?」
角を曲がる勇真を見つめるまなみ。勇真の自転車の荷台にある袋からはみ出した水筒が見える。
まなみ 「あ、私の水筒!」
バスがやってくる。

○元の駅
まなみと勇真が話している。
まなみ 「何があったんだろうと思ったんだよ。でも荷台から水筒が見えて、あ、私のお弁当と水筒届けてくれようとしてるんだなってわかったの。ありがとう」
お弁当の入った袋を受け取るまなみ。駅の構内を気にする勇真。
勇真 「うん、それよりまなみ、電車の時間は?」
まなみ 「土曜は休日ダイヤでいつもよりも十分遅いの。それにバスも混んでないからいつもは駅まで歩くけど土曜はバスなの」
勇真 「知らなかった」
まなみ 「私も勇真くんがこんな自転車飛ばしてきてくれるなんて知らなかった」
勇真 「たまたまだよ」
笑うまなみ。ハンカチを取り出し、汗だくの勇真の額の汗を拭く。
まなみ 「ほんとありがとうね」
汗に気付き照れる勇真。
まなみ 「じゃ、いってきます」
勇真 「おう」
改札へ向かうまなみ、走って改札に向かう。途中、朝倉を抜かしていく。まなみは振り返り手を振る。見送る勇真も手を挙げる。 朝倉は手を振るまなみに気付き、勇真の方 を向く。勇真に手を振り、グッドサインをする朝倉。笑いながら一礼し、自転車の方 に歩き出す勇真。
×××
電車が動き出す。線路沿いの道を自転車で爽やかに漕ぐ勇真。表情はすっきりしている。

おしまい

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