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VRライブでの演出とユーザー体験のポイントについてメモ

VRのライブ動画やMVを数十本見て、再現性のあると思った手法のメモ。

VRの特性をフルに引き出したライブ、イベント体験を設計するために、意識したほうがよいことを言語化した。(VRというか、VRを用いた没入型のライブ映像といったほうがよいと指摘をうけた)。


空間を広く使おう、個室にしない

ライブ空間を個室にすると、VRの良さが一気に失われてしまう。VRの没入感を最大化するには、遠近感をフル活用するほうがよい。ビルの最上階、海中、空中、衛星軌道…とにかく、360度に視界が開けた空間でやろう。


視線をとにかく、合わせる

VRライブとリアルライブの最大の違いは、「あなたのための」ライブが開けること。なので、出来る限り、視聴者と視線をあわせるほうがよい。超近距離で、視線があわないまま踊られても、非人間的に感じたり、ロボット感がでてしまう。こまめに視線をあわせる。視線をあわせたらニッコリする。大事。


カメラを動かすな、カットを切り替えるな

VRは視点 = 視聴者なので、無闇にカメラを移動したりズームしたり、カットを切り替えたりしないほうがよい。カメラを動かすと、没入感が減る。出来る限り、「ユーザーが自分で頭を動かす」体験にする。

カメラは原則動かさない。アーティストを移動させて、視聴者に頭を動かしてもらう方がよい。ズームをするのではなく、アーティストに駆け寄ってもらうほうがよい。1カメから2カメといった、小さいカット切り替えをするのではなく、アーティストや舞台をテレポートさせる方が良い。


見上げさせろ、見回させろ

単純にアーティストの近くでライブを見れるだけだと、ステージの最前列の劣化再生産になってしまう。有効活用される視野角と距離も小さい。VR体験を最大化させるには、視野角と距離を最大限に増強するほうがよい。

巨大構造物を出せ、回り込ませろ。大彗星を流せ。途中でステージが大崩壊して別ステージに切り替えろ。とにかく、視聴者が「見上げる、みまわす」という体験を何度も行わせる。


実寸スケールでやる

カメラのスケールを途中で弄らない。できれば実寸でやるのが望ましい。スケールを不用意に変えると、没入感がなくなってしまう。意図的にやる場合も、カメラスケールを弄るよりは、演出でアーティストを巨大化させるほうがよい。

巨大化したアーティストは、スキャンラインやグリッチ、半透明などエフェクトで、実寸と違うことを可視化したほうがよい。実寸と巨大化の表現が同じだと、キャラが遠くに離れたときに、スケール感が失われてしまう。


パーティクルは限界までバラまけ

VRの強みは現実でできない、強調効果を出せること。空間に軌跡を、文字を、音符を、衝撃波を出しまくれ。いかにVRとはいえアイドルやミュージシャンの身体的制約を無視した動きはしにくい。結果、アーティストそのもののダンスは相対的に地味になりがち。これをカバーするためにも、アイドルの身振りの軌跡に、炎や星や電磁波を出して積極的に補強する。空間の有効活用にも、視聴者の周囲にも花弁や雪や雨や、パーティクルを沢山おく。


舞台を全体的に音と同期させる

建造物や周辺オブジェクトを徹底的に、音と同期させる。現実世界では、ライティング程度しか同期できないが、VR空間では、構造物をガンガンに音とあわせて動かせる。360度全体の世界が、音楽と同期するようにする。


浮遊ポッドはよい表現

アーティストを浮遊ポッドにのせる表現は、ダンス内容と座標移動を分離できるのでよい。浮遊ポッドにのせれば、不自然さを出さずに360度全方向に移動して、視線を有効活用できる。視聴者も浮遊ポッドにのせることで、さらに後述のように可能性が広がる。

あわせて無重力やテレポートもよい。物理制約にとらわれず、Y座標や移動を有効に使えると価値がでる。


ディズニーのスモールワールドを意識する

カメラを動かさずに、全体の体験を派手にする方法として、ディズニーのアトラクション式の表現がよいと思われる。つまり、舞台や世界そのものを、見えないレールにのせて大きく動かす。ステージそのものを浮遊ポッドにして、巨大な空間や構築物の間を飛び抜けたりすると、ダイナミックな体験を作れる。


分身しろ、複数人になれ

1人のアーティストが一人で、歌って踊ると、視野が限定されてVRの価値が落ちる。複数人のアーティストがいると、自然に見回さないといけなくなるのでよい。現実でできない表現のほうが推奨なので、分身やテレポートを使いまくるとよいと思われる。


視聴者のまわりをグルグルまわれ

視野を有効活用しつつ、実体験のむずかしいライブ表現として回転がある。ジゼルやかごめかごめのごとく、視聴者のまわりをグルグルまわるとよい。できれば複数人で。VRの強化という意味では泳いだり、空飛んだりで、全方向型で回ってもよい。


お色気はそこまでいらない

エロとお色気の優先度を下げる。これはVRの価値を最大化する要素ではない。VRをエロの安価な代替物にする行為だからだ。まずはVRでなければ不可能な演出を優先する。エロに頼りすぎると体験がボケる。パンチラや胸ちらや、過剰すぎるクローズアップは無闇にやらない。


などなど、国内外のライブ動画、MVを数十本チェックして、普遍化・言語化した要素まとめ。VRすごい面白いけど、導入コスト、制作コスト、マーケットサイズが課題ですね現状。共同戦線でグロースすべきフェーズに、各社がいきなり囲い込みでストアを作ろうとして、分断化を招いているところも気になります。

いつかVRライブの体験アドバイザリーやってみたいな…と思った1月3日でした。


上記のあたりをとくに体現してるな…と思った動画


いただいたサポートは、コロナでオフィスいけてないので、コロナあけにnoteチームにピザおごったり、サービス設計の参考書籍代にします。