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生成AIで英語を効率よく勉強するには

今年開設されるZEN大学で、「生成AIでリサーチとか勉強を加速させるには?」的な授業をやることになったので、その前座的なまとめ。

生成AIでとりあえず「英語」を効率よく学ぶ。深津式のベータ版。

自分の好きな分野で学ぶ

まず英語そのものを学ぶのではなく、「好きなことのために英語を学ぶ」構造を作る。

ポケモンカードでも、音楽でもスポーツでも、何でもいいから「自分がメチャクチャ成長したい趣味分野」を定める。

で、ChatGPTの4o以降のモデルで下記のように聞く。

あなたは英語予備校の先生として、英語の長文読解を楽しく学ぶための教材を以下の条件に従って作ってください。
* トレーディングカードゲームのデッキ編成論を題材にする。
* 関係代名詞を題材にする。
* フォーマットは会話形式(or エッセイ形式)にする。

これで、自分の興味分野の英語長文がつくれる。毎回テーマを考えるのが難しい場合は、下記のようにネットを記事ソースとするとよい。

* ネットを検索して最新情報や話題を調べてから、それらに基づいて長文を作る。

あとはどれだけマニアックでもいいので、「とにかく好きなもの!」を指定すること。グランジ音楽の歴史的考察でも、海外での推し文化のレポートでも、フォートナイトでとどめを刺すときのキメ台詞でも、もなんでもよい。


難易度を調整する

英語長文の難易度を調整したい場合は、学年やTOEICスコアなどをいれてもよいが、具体的な例文をいれるほうがよい。

「英検2級」などとネットを検索して、「自分の英語レベル」にあった英文を探してくる。そしてプロンプトに下記を追加する

* 以下は、英検2級レベルの例文である。この文章と同程度の英語力で文章を作成せよ。
### 例文 ###
<ここに基準になる難易度の英文をコピペ>

基本的に、「まったく苦も無く読める」難易度を、沢山やるほうが上達しやすい。難しいのは何回かに1回にする。


理解度をチェックする

以下のような形で、理解度チェックができる。

この長文への理解度をチェックする問題をX個、作ってください。内容に関する質問と、英文法に関する質問をどちらも出題すること。 問題は<選択形式>とします。

問題形式は4択でも、自由筆記でもお好みで。問題文を日本語にするのも、英語にするのもお願いすればOK。

解説してもらう

問題でわからなかったところ、文章でよめなかったところは質問すればよしなに教えてくれる。以下のようなフレーズを組み込みながら質問してみよう。

* 理解が足りない部分にたいして、わかりやすく解説してください。
* どうしてそうなるのか、複数の例文とともに解説してください。
* 日本語と英語を併記して、パラグラフ毎に解説してください。

副教材を作ってもらう

長文とあわせて、副教材を作ってもらおう。

この記事の中にでてきた
* 重要な慣用句をまとめて
* 重要な用法のリストを作って
* 重要な単語をまとめて
* 重要な文化的背景を解説して

細かい文法やら、なにやらは後でついてくるので気にしないでよい。まずは数をまわして、最初に、「英語で自分の趣味分野の最新情報を、まわりに先駆けて入手できる」「趣味分野の英語を読むのが苦ではない」という状態を作る。英語での情報収集で趣味が加速すれば、英語力はあとから勝手についてくる。


なれてきたら、「最新ニュースを集める定型文」を辞書登録して、ぱっと入力できるようにすると、毎日の電車の中で趣味の文章を読んでるだけで、英語力が上昇できる。

あと実際は存在しないような、「アホみたいなネタテキスト」を作って友達同士で交換するとメッチャ楽しくて、英語がはかどります。

* ゾンビ時代を生き残った建築家による、対ゾンビ建築の設計レクチャー
* 歌舞伎町のトップキャバ嬢が登壇したTEDスピーチ
* トイレの行列が長いときに、海外でどう列を譲ってもらえばいいかの10の方法
* いかにして自分の推しを海外で布教すればよいか?

などなど

Next Challenge

生成AIで強化された状態で、DiscordやRedditに突撃してもらう。
できればオンラインゲームのチャットや、ボイスなど「リアルタイム性」が重要なところで、海外の人とコミュニケートしてもらう。


注意事項

生成AIはハルシネーション(嘘やいい加減な間違いをいう現象)が一定確率で起きるので、注意が必要。具体的な対策は授業で別途行う。

それまでは、以下の分野でのリサーチでの利用に注意すること。

  • YMYL領域(Your Money, Your Life)投資、健康など間違った知識が、人生に大きく影響をあたえる分野。

  • 法解釈など一回のミスで、取り返しがつかない失敗の起こりえる分野。



学校の先生も上を適当にパクって、教材や指導を工夫してみよう。

以下は実際に生成された例文の例。アレックスがジェイミーに、トレーディングカードのデッキ構築を教えてくれている。

Alex: Hi Jamie! Are you ready to build your first deck? Deck building is the foundation of any trading card game. It’s where strategy meets creativity.

Jamie: Yes, I’m excited! But I don’t know where to start. How do you choose the cards that will make your deck strong?

Alex: Great question! First, you need to understand the theme of your deck. A theme is the core idea that connects all your cards. For example, you might focus on cards which summon dragons or cards that specialize in defense.

Jamie: Oh, I see. So, I need to find cards which match my strategy.

Alex: Exactly. Next, consider the balance between attack, defense, and utility cards. Utility cards are those which provide extra effects, like drawing more cards or healing. A balanced deck has a mix that ensures you can handle different situations.

Jamie: What about rare cards? Should I include as many rare cards as I can?

Alex: Not necessarily. Rare cards are powerful, but they must fit the theme and strategy that you have chosen. A good deck isn’t about rarity; it’s about synergy—how well your cards work together.

Jamie: I see. Can you give me an example of synergy?

Alex: Sure! Let’s say you have a card which boosts the attack power of all your creatures. You should combine it with cards that summon many creatures at once. This way, the boost has maximum impact.

Jamie: That makes sense! One last question: How many cards should my deck have?

Alex: Most games have a deck size limit which you must follow, but the best decks often stay close to the minimum. This increases the chance of drawing the key cards that you need.

Jamie: Thanks, Alex! I feel much more confident about building my deck now.

Alex: You’re welcome! Remember, the best decks are not just strong—they’re fun to play. Good luck!


追記: なんでAI翻訳じゃなくて英語を勉強するの?

たしかにAIで翻訳させれば、英語そのものを学ぶ必要はなさそうに思える。
生成AIを鉄砲伝来と考えた場合、たしかに刀での戦闘は廃れる。AIでも銃でも強力な外部兵装は、人間の身体能力の差を埋めてしまうからだ。でも、それはAIが使える範囲内の話。 実際に兵隊さんは、ナイフ格闘術や近接格闘術の訓練もするし、筋トレもする。結局、銃を持った子供よりも、身体運用が上手いマッチョが銃器を持つほうが強いから。

自動で絵を描くマシーンがあったとしても、その絵の良しあしを評価し、適切な指示をだすには、絵への深い知識が必要。そのためにはデッサン、構図、美術史などは知っているほうが明らかに強い。

長期で仕事を行う場合、ビルの60階でのプレ、電波が飽和したカンファレンス会場、セキュリティで電子機器が持ち込めない場所、アマゾンの山奥、ベッドの上…そういったAIが運用できないシチュエーションも遭遇する。

そういうシチュエーションになったとき、AIしか使えない人と、AI「も」使える人では決定的な差が出てしまう。

なので従来よりは「相対的に」英語学習に費やす時間や重要度は減る。でも、それは「より短い時間で」英語を学んで、あいた可処分時間を他に使えるようになったというだけで、英語学習が必要なくなるわけでは(まだしばらくは)なさそう。

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深津 貴之 (fladdict)
いただいたサポートは、コロナでオフィスいけてないので、コロナあけにnoteチームにピザおごったり、サービス設計の参考書籍代にします。