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深く考える訓練、その1

大学の授業用のサブ教材として、生徒に「深く考える」トレーニングの資料を作ってる。

思考力というのは、トレーニングで伸ばすことができる。トレーニングでは、まずは自由な思考よりも、フレームワークを使い倒すことが重要だ。数をこなせば、考えることが苦ではなくなる。それが一番重要だと思う。基本的なトレーニングができていない状態で、自由に発想させても、大半の人は途方にくれてしまう。

ここでは何回かのシリーズを通じて、段階的に複雑なことを思考するためのフレームワークを紹介していく。

まず第1回目は、シンプルで誰でもつかえるフレームワーク、The Five Whys(5つのなぜ?) だ。


「5つのなぜ?」

ものごとについて、5回「なぜ?」と深堀りをする。 The Five Whys(5つのなぜ?)は、たったそれだけのシンプルな思考ツールだ。

大抵の人間は、2〜3段階深く以上ものごとを考えられない。いままでの人生で、そのような訓練をうけてきていないからだ。たった5回、「なぜ?」を深堀りするだけで、大半の人間よりも、物事を深く考えることができる。


実例で見る、The Five Whys

例えば、アプリのユーザーから「検索を強化して欲しい」というリクエストがきたしよう。

この時、「わかりました! 検索機能を強化します!」と即答してはならない。デザイナは、医者あるいは探偵のように振舞う必要がある。

無批判に意見に対応するのではなく、「患者はお腹が痛いと言っている。その原因は何だろう?」と考えなければならない。

以下は、The Five Whysを使ってみた例となる。


Q1. なぜ検索を強化してほしいのか?
A1. 検索をよく使うから

Q2. なぜ検索をよく使うのか?
A2. トップページに欲しいコンテンツがないから

Q3. なぜトップページに欲しいコンテンツがないのか?
A3. トップにあるのが万人向けの人気コンテンツだから

Q4. なぜ万人向けの人気コンテンツが刺さらないのか?
A4. 自分には関係ない話が表示されるから

Q5. なぜ関係ない話が表示されるとイヤなのか
A5. そもそも自分にあった記事が読みたいから

…というように5回、質問を掘ってみよう。すると表層とは違う問題が、見えてくることが多い。もし質問が堂々めぐりをしてしまったら、違う角度から掘ってみよう。

この例では、ユーザーのリクエストは「検索機能の強化」だが、本質的な課題は「タイムラインの改善」や「個々のユーザーへのパーソナライズされた記事配信だとわかる」

The Five Whys は手軽ですぐにマスターできるうえ、思考の深さを手っ取り早くあげてくれるフレームワークだ。


宿題

あなたが日常で困っている問題を、「5つのなぜ?」で5段階、しっかりと掘ってみよう。そしてnote.muに「#深く考える訓練」というタグで投稿し、お互いの答えや思索をみてみよう。

・疑問を、5段階まで掘り進んでみる。
・「ニワトリとタマゴ」のような、堂々巡りにならないように注意する
・途中でとまったら、違う角度のQやAで掘り進んでみる。


いただいたサポートは、コロナでオフィスいけてないので、コロナあけにnoteチームにピザおごったり、サービス設計の参考書籍代にします。