死んじゃったあの子

    長所は、いつも元気で明るくて、誰とでもすぐになかよくなれるところです。新学期、新しいクラス、自己紹介ではきはきと答えていたのは何歳までのわたしだったか。

    わたしの幼少期はすでに一家に一台、家庭によっては一人一台ゲーム機があるような時代だった。もれなくわたしの家にも何種類かのゲーム機があった。それでも家の中でゲームをするよりも、外で遊び服を汚し日に焼けるほうがずっと好きだった。友達の都合がわるくて遊べないときは、自転車で近くの公園に行き、年が近そうな、珍しいおもちゃを持っているような子に声をかけ、日が落ちるまで遊ぶということもやっていた。すばらしいコミュニケーション能力。そのくせ、知らない大人に対しては「しらないおとなとはなしてはいけないといわれているので」と返す、危機管理能力まで備えていた。

    かわいいわたし。かわいかったちいさなわたし。一体いつ、どこで死んじゃったの。かわいそうなわたし。


2020.06.02

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