泡沫

 表面張力によってぎりぎり保たれていた。とうとうグラスからこぼれていこうというとき、わたしの喉元からあふれていこうというとき、声に出してしまったことばたちはシャボン玉みたいにぱちんぱちんと弾けていく。

 わたしのことばはわたしの中にだけあって、外の世界ではなかなかうまく伝わらない。


2020.06.26

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