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あなたは「それ」にいくつ気付くだろうか

「私の間違いじゃない。世の中にはいい男の人の方が多いんだ。彼女がそう言ってくれなかったら、多分もっと長く、あの恐怖から抜け出せなかっただろう。」


何がそんなに大変なんだね、最近の女性は……
娘を抱えるキム・ジヨン氏は、夫に連れられて精神科を受診する。
この小説は、担当医が書いたジヨン氏のカウンセリングの記録、という形をとって進んでいく。

当時の韓国の男性・女性に対する国家全体としての差異。
出席番号の前半が男子、後半が女子。
住民番号は男性は1から始まり、女性は2から始まる。
妊娠をして時差出勤をしようものなら、「朝の三十分もうけられていいな」と言われる。
女の子どもだったらどうしよう、と悩みジヨン氏に投げかける、「(女の子だったら、と考えるなんて)縁起でもない」という言葉。

本編では始終、女性たちには家族から会社の上司までフルネームが与えられているが、男性はジヨン氏の夫にのみフルネームが与えられている。
「男たちに名前など必要がない」という、現在の情勢からのミラーリング。

一番背筋がゾッとしたのは、担当医についていたスタッフが産休を取る場面。
「良いスタッフだったのに」というが、何を以って「良い」スタッフなのか。担当医の褒め言葉の内容をよく読んでみると良い。
そして最後の一言。


82年生まれ、キム・ジヨン/ チョ・ナムジュ



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