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「箱」と外向き思考(その30:最終回) 箱と仏教思想

よりよい人間関係を築くとともに、組織やチームの成果を高めることができる考え方である「『箱』と外向き思考」について書いています。

今回は「箱と仏教思想」という、ちょっとチャレンジングなテーマで綴ってみたいと思います。と言っても、私が仏教思想に精通しているわけではありません。ふと思ったことを書いてみるだけです。仏教に詳しい方で、「それは違うよ」というご指摘があれば、是非お寄せいただきたいと思います。

先日、アービンジャーの説明会に参加してくださった方から、以下のような質問をいただきました。
「箱とか外向き思考は、アメリカで生まれた考え方ですよね。日本人の考え方や文化にフィットするのでしょうか?」

なるほど、確かにアービンジャーはアメリカの研究&コンサルティング機関で、そこで心理学をベースに考え出されたものなので、そう思われるのは無理もありません。ただ、私の想像では、アービンジャーの考え方は東洋思想の影響を大きく受けているのではないかと考えています。アービンジャーに限らず、アメリカの哲学者や心理学者は東洋思想に大きな関心を寄せています。いま流行りのマインドフルネスも、日本の「禅」の思想が大きく寄与していると思います。

アービンジャーが東洋思想にどのような影響を受けているかについては、いずれアメリカ本部に直接確認してみたいと考えています。その時には、この記事に追記しますので、楽しみにしていてください。

今日は、私がふと気づいた「箱」と仏教思想の関係について紹介します。

今から10年ほど前のことです。たまたま葬儀や法事が重なり、立て続けにお寺でお経を聞くことが続いた日がありました。その時まで私はお経について何も知らず、その意味を考えたこともありませんでした。たまたまお経に触れる機会が多かったその時期、ふと思いました。
「日本人として、これでいいのだろうか? お経を唱えられないまでも、意義や意味を知っておいた方がよいのではないか?」

そう考えて本屋に行って宗教コーナーの棚を眺めてみると、仏教に関するたくさんの本が並んでいました。その中でも「般若心経」の本が多く目につきました。
「あ、これなら聞いたことがある」
何冊かの本を手にしてみました。
ご存知の方も多いと思いますが、般若心経はとても短いお経で、短いながらも仏教の真髄が詰め込まれているというものです。多くの宗派で唱えられており、はじめに学ぶお経として最適なものであるということがわかりました。
そこで、CD付きの本を一冊買い、般若心経の意味を理解し、読経の音を繰り返し聴き、なんとか暗唱できるようになりました。

般若心経の中に、以下のような一節があります。

以無所得故菩提薩埵(いーむーしょーとくこー ぼーだいさった)
依般若波羅蜜多故(えーはんにゃはーらーみーたーこー)
心無罣礙無罣礙故(しんむーけーげー むーけーげーこ)
無有恐怖(むーうーくーふー)
遠離一切顛倒夢想(おんりーいっさい てんどーむーそう)
究竟涅槃(くーぎょうねーはん)

現代語に訳すと以下のような感じです。

得ることがないのであるから、悟りを求める者は
悟りの境地に到ることによって、
心に妨げがなくなり、妨げがない故に、
恐れることもないし、
誤った考えから離れることができ、
平穏な心でいることができる

これを知ったときに私は、
「あ、この『罣礙』というのは『箱』に近いな」
と思いました。

本の解説によると、「罣礙」というのは心の妨げ、固定観念、物事への執着、色眼鏡のようなものです。
「箱」も、自己裏切りをしたことを正当化するために生じる相手に対する非難の気持ちや自分を実際以上に高く評価する考えで、それによって世界が歪んで見えてしまうことのので、まさに「罣礙」に通じるなと思ったのです。

「箱」は他者から与えられるものではありません。
自らの選択により、自分で勝手に作ってしまうものです。その自分で作った箱によって自分が苦しみ、周りの人のことも困らせてしまっているのです。
そして、箱に入っているとき、私たちは自分のことを正しいと信じて疑わないのです。箱を通して世の中を見て、箱を通して他人を解釈します。
般若心経に出てくる「罣礙」というのは、まさにこういったことを表しているのではないかなと思ったのです。

私自身は、般若心経を心の中で唱えることで、平穏な気持ちになることができるようになりました。その瞬間、あらゆる箱から開放されていると感じることができます。
宗教の話なので、どこまで響いてどう感じるかは人それぞれだと思いますが、本稿を読んでご興味を持たれた方は、是非一度「般若心経」に触れてみてはいかがでしょうか?

さて、「『箱』と外向き思考」というタイトルで綴ってきましたが、30回という切りのよい数字を迎えたところで、このシリーズを終了したいと思います。
今後の別のシリーズでも箱について書くことは多々あると思います。ご興味おありの方は、フォローいただけると嬉しく思います。

株式会社F&Lアソシエイツ
代表取締役 大竹哲郎
https://www.fl-a.co.jp/


「『箱』と外向き思考」は、アメリカの Arbinger Institute という機関が生み出した考え方で、今では世界中の国で、自己啓発や組織開発に用いられています。日本では、福岡に本社を構えているアービンジャー・インスティチュート・ジャパン株式会社が日本の総代理店としてセミナーやコンサルティングを提供しています。
弊社は、アービンジャー・インスティチュート・ジャパン株式会社の代理店として、その普及に努めています。「箱」や「外向き思考」についてもっと深く知りたいという方は、無料説明会や有料セミナーに是非ご参加ください!
https://www.fl-a.co.jp/seminar/

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