03_お店を持たないシェフ_note

お店のない三つ星レストラン


この記事は、2025年における具体的な生活像を描写した「未来生活図鑑」の記事です。本記事の概要については以下よりご覧ください。
デザイン思考で考える2025年の近未来生活
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どんな時代になっても、人の食べることへの欲求は尽きない。ネット社会になって、口コミが広がり、ミシュランが認めたお店だけでなく、みんなが評価している人気店には人足が絶えない。これから先も人気店はあるだろう。しかし、人気店のあり方に変化が起きそうな予兆がある。
近年では、冷凍技術やフリーズドライ、レトルトなど食品加工技術向上し、コンビニ食材などもとてもおいしくなっている。しかし、今回の話は、そことは少し違った視点ののものだ。UBEReatsのようなフードデリバリーという流通形態と、オンラインペイメント、キッチンインキュベーターと言われるシェアキッチン事業、人生100年時代の生き方とが絡み合って、タイトルのようなことが近い未来に起こりうる可能性をお話したい。

自宅は最高のレストラン
日本では、フードデリバリーと聞くと、ピザ、寿司、そばといった出前をイメージすることが普通で、お店の人が配達する仕組みを想像するが、そこに変化が起こり始めた。食品宅配専業業者だ。スマホアプリを立ち上げると、GPSと連動し配達可能なレストランやカフェなどお店を紹介してくれる。オンラインペイメントで決済を行い、配達を待つだけという具合だ。中国では、この仕組みによってフードデリバリー市場はわずか5年で4倍の規模に達している。日本でも都心部では活用が始まっている。私がお世話になっている、住宅街のひっそりとした小さなレストランでも、この仕組みでランチを届けている。お店の人は、オーダーが入ったら、料理をつくり、パッケージしてフードデリバリー業者が来るのを待つだけだ。配達はお任せでき、料理に集中できるから、料理のレベルは必然的にあがりやすい。
今後この状況が加速していくと、店舗での売り上げを、デリバリーの売上が上回る可能性がある。すると極論、店舗を持つ必要がなくなるのだ。調理ができて、宅配業者に渡せる場さえあればいい。建物を借りて、設備を整える必要のある飲食店は、初期投資が大きい。しかも保健所から許可を得なければならない。そこで、営業許可を得たシェアキッチン設備を持つ、キッチンインキュベーターが登場する。キッチンインキュベーターは、そこで初期投資を抑えて、やる気のある飲食事業者の出店をサポートする仕組みだ。売り場こそ自分で確保しなくてはいけないが、フードイベントやECを活用して、実店舗ではない売り場をもつことはネット社会ではそう困難ではないだろう。実際、自分の家のキッチンから始めて、商品をECで販売している主婦などは結構存在する。


脱脱サラ
人生100年時代と重なった未来とも考えられる。昔なら、飲食店をやりたかったら、脱サラして始めました。というの普通だったかもしれない。しかし、もはや脱サラは死語だ。会社の仕事を終えた後や休日を利用して、サラリーマンでも飲食店を経営できようになる。
そして、サラリーマンでもあることが、新しい飲食店を生む可能性がある。例えば、海外出張が多い商社マンが、ワインバーを始めたとすれば、常に新しいワインとの出会いが持て、ワイントレンドを即座に取り入れた店が出来るだろう。そうやって、お店を持たないレストランが生まれてくる。そして、新たな視点を持った店は、星をもらうことさえ可能かもしれないのだ。もっとも、おいしいものを求めて車で旅をしてもらうことで、タイヤの消費量をあげたいという考えから生まれてたミシュランの星は、店なきレストランでもらうのは難しいかもしれないが。



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