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私、僕、俺、揺れ動く自分

「あ、オイラはシャンディガフお願いします」

皆さんの一人称は何でしょうか。
わたしやわし、おいどん、わて...
色々な一人称がありますよね。日本語独特のこの不思議な文化を皆さんはどう使っているのでしょうか。

『完璧じゃない、わたしたち』という王谷晶さんの短編集の中の『小林妙子をどう呼べばいい』という作品があります。その中で自由に一人称を使いまわす夏美クラーク横山という人が出てくるのです。その人の一番最初のセリフが「あ、オイラはシャンディガフお願いします」なのです。
その夏美さんがいうのは英語ではいつでも、だれでも「I」なんだ。だから、一人称なんて気分でいいんじゃないの。ってことみたいなんです。
「雰囲気」や「ニュアンス」を考えなくてもいい英語を話していた夏美さんだからこその一人称への回答なんだと感じます。

とかいう私は気分でいろいろ使いまわしているのです。話をしていると一人称が変わっていくのです。かっこよく決めたいときに「俺」、ポカをやらかしたときに「わし」等そのときの相手との関係性で変えたりしています。
自分のことを誰かに話す際に自分の名前を使う人はそんなにいないですよね。でも、「わたし」で皆さん自身をそのまま伝えれるのでしょうか。僕はそうは思わないのです。

そんなこと言ったって普通はそうじゃんって感じると思います。でも、そこくらいはなんか自由にして見てもいいんじゃねっておらはおもうんすよ。
一人称を変えることで自分のかかわり方なんかもわかりやすくなるんじゃないのと思うのです。
例えば、警察官が本官、武士が某(それがし)と使っていますよね。それでその人がどういう人たちなのかのイメージが伝わるわけです。
それを少し広げて、わたしやおれにも活用してみたらいいんじゃないのってことです。

一人称を使うことで自分が伝えたいニュアンスの方向性を伝えることもできるのが一人称の活用のよさなんじゃないでしょうか。
日本語ってそういうところがおもしろいし、そういうところが私は好きなんです。


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