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第16節 清水エスパルス

苦しいアウェイ2連戦を終えて久々の三ツ沢だ。
奇しくも今節は、Jリーグ開幕戦を思い出すかのようなカードとなった。
とはいえ、Jリーグ開幕戦の時はまだ3歳半で全く記憶にない。しかしサッカー熱が高かった記憶はある。
通っていた幼稚園では、Jリーガーになりきってサッカーをしていたことをよく覚えている。ゴールを決めたらビスマルクのポーズをしたり、もちろんカズダンスもしていた。だが、1番記憶にあるのは好きだったフリューゲルスの事だった。
幼稚園の裏にある松林にゴールが2つあり、そこがサッカーグラウンドだった。友達にGKをやってもらうのだが、決まって相手は松永成立で私はジーニョだった。
ジーニョが松永成立からゴールを決めて勝つという快感を1番良く覚えている。
その後は、Jリーグが下火になるのと同時に気持ちは野球へ一直線。松井秀喜に憧れる毎日だった。
しかし、高校生になったある日、カズや山口素弘が横浜FCに加入したのをキッカケに、周り回ってJリーグに気持ちが帰ってきて、今は愛するクラブを追いかけている。

そんなことを思い出す一戦へ早速移っていこう。

試合前の決起集会。

決起集会

拳突き上げて、2006年以来の優勝での昇格を目指すことを再確認し、熱く心を奮い立たせた。
また、清水サポーターが多数の来場したおかげで、最高の舞台が整った。

序盤から勢い良く飛び出したのは横浜だった。誰が見てもここまでの試合と全く違うほど、各選手の動きが素晴らしかった。主導権を握り、じわりじわりとあらゆる手段を使って追いつめていった。
そして、今シーズンから新たな武器となる、あの男の左足から試合が動くのだった。
前半17分、福森がショートコーナーを選択、リターンを受けクロスをあげると、中で合わせたのがキャプテンのガブリエウ。見事な先制点を奪ってみせた。
先制後も集中が切れる事なく、さらに圧をかけ続けて清水に全く隙を与えることなく、完璧な前半戦となった。

後半はお互いに選手交代はなかったが、立ち上がりから清水が攻勢をかけてきた。ただ、脅威を感じたのは僅かに10分ほどで、その後は清水の攻撃を優しく包み込むように受け止めていた。
30℃近い暑さと、序盤からハイペースで圧をかけたことで、後半の20分ごろから疲労の色が濃くなってきた選手が増えてきて、ようやく後半28分にカードをきった。カルロスに替えソロモン、慶治朗に替え伊藤翔を投入。
さらに後半36分には足がつった福森、中野、潮音を下げ岩武、拓海、和田を投入した。
集中を切らさずに最後の最後までゴールに鍵をかけ続けると、投入された選手達が最高の瞬間へ導いてくれるのだった。
後半AT5分、伊藤翔、和田、伊藤翔と繋ぎ右サイドへスルーパスを送ると、元気一杯の拓海が抜け出した。唯一PA内に走り込んだソロモンが合図を出すと、拓海からピンポイントのクロスが上がりソロモンがヘッドで叩き込んだ。しかし、上手くミート出来ずにボールが流れると、幸いにもボールが転がった先に飛び込んできたのは伊藤翔だった。右足で華麗に流し込み、清水の息の根を止めると共に、HAMABLUEは狂ったように熱狂の渦が巻いた。

スターティングメンバー
市川暉記

後半5分のセットプレーのシーンでは鋭い反応でビックセーブ。この試合もゴールを割らせず今シーズン9試合目のクリーンシート達成した。また、前半のカウンター狙いのパントキックは素晴らしい精度で、攻撃への口火も期待出来そうだ。

ガブリエウ

千葉戦の出来事を取り返す殊勲の先制点。先制点前のセットプレーでは外したものの、2度目はしっかりと決めきった。

先制点のシーン
ウジソンの抱きつくガブリエウ

守備面でも身体を張って防ぎ、鋭いインターセプトからチャンスを生み出すなど大車輪の活躍。ようやく我らのキャプテンが帰ってきた。

ンドカボニフェイス

この試合も最終ラインの中央に君臨し、清水の強力攻撃陣を潰し続けた。J2のFW陣にはもう敵がいないレベルで圧倒を続けている。

福森晃斗

多彩なセットプレーのパターンを繰り出してゴールをこじ開けた。今シーズン8アシスト目となった。最後は足がつったのか、痛めたのかは分からないが、無事に次節も出場出来ることを祈りたい。

山根永遠

気合い十分で臨んでいるのがすぐに伝わったが、前半の最初に山原にぶち抜かれた時は、一瞬頭を抱えたものの、落ち着きを取り戻した後は安定した戦いを見せてくれた。

ユーリララ

縦横無尽に走り回りボールを刈り取り、積極的にミドルシュートを放ち、抜群のキープ力を見せ、熱くチームを鼓舞し続け、まさにユーリ劇場となった。

井上潮音

ようやく完全復活といって良いだろう。昨年のようなプレースピードや強度、冷静さが見られた。この試合を契機に絶好調の潮音へ突入してほしい。

中野嘉大

いわき戦以来の先発出場となった。左サイドに入り福森、慶治朗と見事な連携で活性化させた。

カプリーニ

滾るパワーを爆発させ、攻守にプレッシャーを与え続けた。

終盤にサポーターを煽る

守備でガッツポーズをする場面や、久々にサポーターを煽る場面もあり、この試合にかける思いが伝わった。

小川慶治朗

この熱い中であれだけのスプリントは本当に頭が下がる。果敢に裏を取るために走り、プレスバックでプレッシャーをかけ、持ち前の走力が存分に活かされた。

髙橋利樹

ハイボールでは競り勝ち続け、必死に追い回して圧力をかけ、裏へ抜け出しチャンスを作り、1人で何役もこなして勝利に貢献した。後はゴールがもっとたくさん見たい。

伊藤翔

今シーズン5点目は清水への恩返し弾。ゴールへの嗅覚は衰え知らずで、1人だけゴールへの流れが見えていた。

勝利を確定させるゴール

誰もがソロモンにクロスが合った場面で勝負あったと考えてしまうが、そこにつめているのは流石としか言えない。

櫻川ソロモン

後半AT、フィジカルを活かして時間を使い、そしてPA内でボールを呼び込み2点目を演出した。

ドンピシャヘッドが奇跡のアシストに

あそこは決めて欲しい場面だが、もう1点取ろうとする姿勢が出ていた所は素晴らしい。

ゴール後に倒れ込むソロモン

歓喜に沸くスタジアムで唯一倒れ込んだ男は、どのような感情だったのか気になるところ。次は決めてヒーローになれ。

和田拓也

しっかりと守備に徹しながら、落ち着いてボールを捌いて2点目の起点に。

岩武克弥

難しいタイミングで最終ラインに入り、一瞬でゲームに溶け込んでシャットアウトに貢献した。

中村拓海

1-0で逃げ切りの意思統一があったとは思うが、その中でも一瞬の隙を突いた。2点目に繋がるクロスもそうだが、その前のシュートも精度が高かった。

満面の笑みでガッツポーズ

2点目のゴールが決まった後の喜び具合は、いつものクールさとのギャップがすごく、相当嬉しかったのだと感じられるほど。ベンチが多くなっているが、腐らずにこういったプレーをしてくれるのは素晴らしい。

遠藤雅己
村田透馬
四方田修平

苦しい2戦からガラリ一変させた。こういう試合を毎回見たいと思うのは誰しも同じだが、こういう試合を見せられないまま終わるチームもある。後は継続させられるかだけだ。上位陣からなかなか勝利を奪えなかったが、ここから一変してくれることを信じたい。

集合写真
ビクトリーステージ
くだサイン

見事J2通算300勝を達成することが出来た。やっぱり勝つのは本当に最高だ。それも贔屓目なしに、全ての面で相手を上回って撃破し、三ツ沢に歓声がこだまするのを見ると、紆余曲折あったが本当にこのチームに辿り着く事が出来て良かったと思う。
人生を振り返り、いくつもの分岐点があったかと思うが、最高の道を進んでいるのだと再認識出来た試合だった。

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