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嘆き全集

12
短編小説集
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2023年5月の記事一覧

私が渇望し、救いと信じて疑わなかったこの自由は、あまりに虚しく、孤独だ。そこには一切の喜びも、美しさも、天国的親密さもない。あるのは広大な無で、途方もなく長い時間が、私をゆっくりと、確実に蝕んでゆく。

私はかつての制約のある幸せを想い、自由のために失った全ての代償について考える。

「貪婪故の罰なのだろうか」と私は枯れた唇で問う。

「この苦しみは、いつ終わるんだろうか」と周りの静寂にもう一度問

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