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超短編集

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#寓話

社会に囚われた男

私はかつてどこかの王朝と交易をしていた。

そのことをどこで知ったのか、とんだ風の吹き回しに乗った船団が、私の住む孤島を目指している。

水平線からヌっと現れた襲撃者達を見るなり、わたしは気の抜けた叫び声をあげる。

長年の鎖国に慣れてしまい、襲撃への備えはおろか、空想事を記した書物に鍵をかけることを怠っていたのだ。

私は突然の出来事にその場であたふたし、あまりの焦燥に何も手がつかない。そうこう

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