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エステー鹿毛さんの「セミナーを面白くする6つのモデレーションのコツ」がユニークで為になりすぎる

どうも、フクパンマンです。

エステー・かげこうじ事務所の鹿毛氏が11/1のアドテック東京にモデレーターで2つ登壇されておりました。その際に鹿毛さんのFacebookにて投稿されていた【モデレートのやり方メモ】なるエントリーが、サラッと書いてあるようでめちゃくちゃ参考になりましたので、ぜひ皆さんにも共有したい!と思いご本人に許可を得て掲載させていただきます。(鹿毛さん、ありがとうございました!)

なお、そのまま掲載ではなく、一部noteに合うようにテキストを修正したり追記させていただいている部分があります。ご了承ください。(あと、モデレートなのかモデレーションなのかよくわかりませんが、要はセミナーやディスカッションを誘導することです。言葉のツッコミは無しと言うことで、悪しからず)

前置き:6つのモデレーションのコツで共通している鹿毛さんの「面白さ」へのこだわり

本編に入る前に。鹿毛さんがモデレーターになる上でいつも気をつけていることの奥底には「いかに聴衆にとって面白いものにするか」が徹底されています「面白い」というのは、笑いがあると言うことではなく(もちろん鹿毛さんのセッションはいつも多くの笑いがあるのですが)、さまざまな「面白さ」が詰まっています。

・単なる事象の報告ではなく、奥底のリアルが聞けて本当の意味で為になるから「面白い」
・聞いてほしいことを全部聞いてくれてスッキリするから「面白い」
・リテラシーの低い人も置いて行かれない、自分ごと化して聞けるから「面白い」
・一方通行ではなく対話してくれているみたいで「面白い」

という感じ。これは、何も登壇してモデレーションする時だけにしか使えないことではないです。普段の会議進行や、グループワークの時、部下との会話、もしかしたら友人とのファミレスでの会話でも役に立つかもしれません。その場合は、パネラーや視聴者を社員や友人に置き換えてみてください。

さて、前置き長くなりましたが本編です。

(1)アホになる。^_^

そりゃ事前にパネリストのことも調べるし、打ち合わせもするから沢山の情報量が自分の頭の中にある。そのままモデレートすると聞いている人を置いていってしまう。だからアホになって『それってなんですか?』と当たり前のことを聞く。私を知らない人は本当にアホだと思うと思う。でもそれが良いセッションになるんじゃないかな、そう思ってやっています。

ここが一番の本質です。モデレーターがアホになりきれるかどうかで、そのセミナーや会議で得られる発見や理解の質と量が違います。アホなふりして、「なんで?」「なんで?」を繰り返し、どんどん本質に切り込んでいくのです。表面的な話より、リアルが聞きたいんですよ。

「聞いている人を置いていかない」という鹿毛さんの言葉が本当に大切で、「こんなことは知ってるだろう」と理解している体で進めることは危険です。
たいてい、自分自身知ってることだと思っていても実は少し違っていたり、別の視点で別の意見が得られたりするものです。

(2)なるべく言語化しない

(1)のアホになるに関係するんだけど、モデレーターが言語化し続けたらパネリストの言語化が生まれない。やっぱり個性あるパネリストの頭の中にあるものを言語化して皆さんに見せたい。そんなわけで言語化を実はしないようにしています。

この(2)もさすがクリエイターの鹿毛さんならではの表現で唸りました。言語化、例えば自己解釈や導かれたキーワードを披露したくなりがちなのですが、それだとパネリスト、参加者の解釈余地を狭めてしまいます。解釈はあくまで求められたらラップアップやまとめで話せばよいのです。

モデレーターが「○○ということですよね?」とまとめると、その○○という言葉に引っ張られてしまいます。実は△△という言葉の方がニュアンス的には正しいし、モデレーターが言語化しなければ出たかもしれないのに、もうその△△は2度と出てこなくてなってしまいます。

自分自身、言語化しないようにしなきゃなあと反省しました。

(3)事前の打ち合わせポイントに固守しない

例えば『これがこのセッションのラーニングポイントだな』と一応は決めてるんだけど、それに固守すると打合せが一番面白いものになって本番がおもしろくなくなる。だからラーニングポイントさえも固守しない。

セミナーにおいて、打ち合わせが一番面白くなってしまうのは、会話の中でラーニングポイントが産まれていく様が面白いからです。あらかじめ決められたストーリーをなぞるだけのセミナーは言わば「講義」に近くなり、途端に退屈になってしまいます。

また、場の空気や、それまでの流れでも求められることは常に変わっていきます。なのに、頑なに打ち合わせ内容を遂行しようとするのは視聴者、参加者のことを考えていないですよね。

モデレーションによって、偶発的なラーニングを導き出すことが、パネルディスカッションの醍醐味であり全てだとも思います。

(4)時々、お客さまに向けて解説する

パネリストと私は事前の打ち合わせでだいぶあったまってる。だから10分から15分くらいで途中に『冷静な振り返り』をいれたりする。ちょっと解説とまではいかない解説を入れる。

鹿毛さんのモデレートするセミナーを見ていると、「鹿毛さんのちょっちゅ振り返りタイム」が短尺でちょびちょび登場します。これはちびまる子ちゃんのナレーションで「後半へ続く」と入るような心地よさがあり、話と話の切れ目がわかったり、気持ちや考えを整理するきっかけになります。

そしてこれこそが聞いている人を置いていかない、ということの実践です。パネルディスカッションは、モデレーターのためでも、パネラーのためでもないのです。

(5)シナリオを壊す

決められた順番を変えてみたり、突拍子もない質問してみたりする。たまーにだけどする。時間がもったいなかったりパネリストが「おいおい!なにそれ?』と横目で私の顔を覗き込むけど、それが生っぽくて良い空気が出てくることもある。(失敗することもある)

これはおそらく(3)の内容の派生、もしくは延長かと考えますが、この生っぽさの演出が胡椒や山椒のようなピリッとしたニュアンスを追加します。展開というか、雰囲気もガラッと変わることが多いので、より前後の内容が際立ちます。

その分、リスクもかなり大きくアドリブに極端に弱い人が多い場合は失敗確率が高いので、使い所は多少選ぶでしょう。

(6)最後にパネリストをきちんとみてもらう

セッションが終わったらパネリストの方々が眩しいくらいに素敵な人に見える。そもそも素敵な人たちだから当たり前なんだけど、それをちゃんとみてもらう。

個人的にはこの(6)こそが鹿毛さんが愛される所以であり、必ず真似したいなと思うところでした。

モデレーターをしていると「うまく回せた充足感」や「いい議論を生み出せたドヤ感」がどうしても出てしまうのですが、あくまで主役はパネリストと視聴者。パネリストを輝かせることでセミナーの内容がより素晴らしいものであることを視聴者に強調できます。

モデレーションのバイブルはこれ一つで十分

いかがでしたでしょうか。人生においてモデレーションするタイミングはあまりないかもしれませんが、だからこそ一回のモデレーションが視聴者・参加者にとって実り多いものとすることが大事です。

モデレーションのコツは書籍やWebサイトに載っています。なんちゃら法とかのテクニックが載ってたり、黒子になったり熱量をあげたりするコツが載ってたり、沢山あります。それはそれで大切なのですが、この鹿毛さんの内容はどんなテクニックや手法を使うにあたっても、前提で持つべきものだなと実感しました。というか、これだけで十分です。

それでは、んちゃ。

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