フロム・フレイム 後日談

「ウォーク・オン・フレイム」第一話「フロム・フレイム」 

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ミッションを終えた3人がトコロザワ・ピラー詰所に戻ると、そこにはアースクエイク――イクサがあったのか幾らか手傷を負っている――が忙しそうにしていた。多数の管制オイランも居り、何か別の事件があった事を伺わせる。

アースクエイクは3人に気づくと手をとめる。「ドーモ、直接合うのは初めてだな……アースクエイクです」「ド、ドーモ、ボス! アイソレイトです!」「ド、ドーモ。アースクエイク=サン。ラットハッカーです……」「ハッ!ドーモアースクエイク=サン!マーシレスです!アナタほどのニンジャが傷を…オツカレサマデシタ!」90度オジギ!

「実際今日は騒がしい夜だった。お前たちが戦っている間、マルノウチでザイバツと大規模戦闘が発生した。他にも反ソウカイヤクザどもの一斉蜂起、ドラゴン・ドージョーのゲリラ……ソウカイニンジャを割かねばならぬ事件が多数起きた。それで、お前達はどの勢力と戦ってきたのだ?」

「イッキ・ウチコワシです、ボス。敵はネコソギ・ファンド重役、クゼ・ソウジ=サンを狙って襲撃。我々はクゼ=サンとその家族を護衛しました」とアイソレイト。「ニンジャネームはフラマブル。カトン使い。いけすかねえモヒカン野郎でした」とマーシレスが続ける。

「イッキ・ウチコワシか。フン、今夜はソウカイヤの敵の一斉蜂起だったというわけか」アースクエイクは不機嫌そうに腕を組む。「クゼ=サンは先程無事ソウカイヤの保護下におかれた。その妻子もな」「ああ、そいつは良かった!」「アリガト—ゴザイマスアースクエイク=サン」

「敵ニンジャを逃したのは実際残念ではあるが」 アースクエイクは冷たい視線を投げかける!「......申し訳ございません!俺のチカラ不足です!」「アイエッ!?スミマセン!スミマセン!」「ヘッヘ、最後に背中を思い切り斬りつけてやったんですがね、タフなヤツでした」謝る2人、アイソレイト欺瞞!

「……クゼ=サンから強く咎めないように頼み込まれてな。実際不問としよう。彼に感謝しておくことだな」 アースクエイクの懐には万札!「それに、だ。ザイバツは我々シックスゲイツが撃退、ヤクザどもは鎮圧済、ドラゴンドージョーは目下追跡中。そしてお前たちがイッキ・ウチコワシを撃退……こちらが被った被害も小さくなかったが、面倒事をまとめて片付けられたのも事実」アースクエイクは3人を見据え……ふっと表情を緩める。「よくやった。お前たちには万札: 10と休暇:5 を与える。養生し次のイクサに備えろ。以上だ」

「アリガトウゴザイマス!」「ア、アリガトウゴザイマス!」「アリガトウゴザイマシタ!オタッシャデー!」3人はカネを受け取るとそそくさと退出!

トコロザワ・ピラーを出た3人を出迎える男が居た。「皆さん!今日は本当にありがとう。実際君たちが居なければ私達は死んでいただろう」クゼである!「ん?おお、クゼ=サン!怪我はどうだ?」「アッ、クゼ=サン。皆さん無事でよかったですね!」「いやいや、取り入ってくれてアリガト—ゴザイマシタ」「まあ護衛として怪我させちまったのは情けねえ限りだが……そう言ってもらえるならありがたい」

クゼはチョップで割られた胸元に包帯を痛々しく巻いているが、元気そうだ。「とんでもない、当然の事だ。それと……ソウカイヤの方から報酬が出たとは思うが、私からの気持ちも受け取って欲しい」そう言って彼は3人に5万円ずつ手渡す。

「ウェイッ!? ホントですか!?」突然敬語になるアイソレイト!「勿論だとも。私だけでなく妻子も救ってくれた礼だ」「「「アリガト—ゴザイマス!」」」3人90度オジギ!

「それと……追加の頼み事で申し訳ないのだが。もし良ければ、あの別荘をもらってくれないか?」「……ハ?」口からタバコを取り落とすアイソレイト。「オイオイオイオイオイオイ待ってくれよ、本気で言ってるんですか?クゼ=サン」((騙されるなアイソレイト!話がうますぎる!いつもこうしてひどい目にあってきただろう!)) 「正直、ウチコワシに割れた別荘なんて怖くて使えないし誰も買い手がつかないだろうしね。助けると思って引き取って欲しい」

「実際厄介払いめいていますね…しかし受け取りますぜ!アイツも来るかもしれませんし!今度こそ返り討ち!」「すごい豪華だったよね……?」「それは……ウェー……なんと感謝すべきか」「「「アリガトウゴザイマス!」」」再び3人オジギ! クゼは笑って、ヤクザに守られながらリムジンに乗り込み走り去って行った。

「オイオイオイ、随分ツイてるじゃねえか!カネモチとは思えねえ気前の良さだ!」アイソレイトはラットハッカーの背中をバンバン叩きながら言う。「イタイイタイ!でも住む家がもらえるなんて思ってもいませんでしたね!」「アア。しかしラットクンはいいとしてお前と同棲か…出会ったその日に一つ屋根の下...」「これで家賃も解放されるしホテル代も気にせずデリバリーオイランも呼び放題……ってああそうか、お前さん達と同居になっちまうのか」「まあ…仲良くやろう」「ヨロシクオネガイシマス!……エッ!?オイラン!?」ラットハッカー狼狽!

「青少年には...まだハヤイか」「お、なんだよお前そっちの方も新兵なのか、まあ今度連れてってやるよ!奢らねえけどな!」アイソレイトは上機嫌でタバコにカトンで火をつけようとして…「アチッ!」鼻先を焦がした。「アイエエエ……テストに出ないよぉ……」耳先まで真っ赤にするラットハッカー。「マアマア。こういうのは慣れだ。これから長い付き合いになるんだし、気長にやろうぜ」そう言うマーシレスの顔は何故か近い! 3人は笑いながら送迎リムジンに乗り込み、新居へと向かった。


―――マルノウチの方角から黒煙が上がっているのが見える。あちらでもニンジャが戦い、多数のモータルが死んだのだろう。だが今の彼らが気にする必要などあるだろうか?彼らは今夜の戦いを生き延びた。ニンジャであろうとマッポーのネオサイタマではそれだけでも僥倖なのだ。彼らは闇に生きる者達。しかし束の間憩ったとして、誰が咎めるだろうか? ネオサイタマの夜空に浮かぶ月は何も答えない――――

「フロム・フレイム」 END

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