【リプレイ】ブラッド・コンタミネイテッド・オンセン

*当リプレイは、ニンジャスレイヤーTRPGを回すとどんな物語が生まれるのか?という部分を重点した記事です。

そのため細々したダイスロール結果やルール説明は省き、それどころかプレイヤー同士の会話も省いてニンジャスレイヤー連載のようにサクサク読める!という形式を目指しています。

ニンジャ達がどのような物語を紡いだのか。それを俯瞰して楽しんで頂けたらと思います。

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3人のソウカイ・ニュービーニンジャのIRCにソウカイヤからの指令が下る。

「ソウカイヤに敵対的な闇カネモチ、ドナルド・フダを暗殺せよ。ドナルドはネオサイタマ郊外のオンセンリゾート施設で療養中である。直属の護衛は少数と思われるが、リゾート施設のセキュリティは強固なので注意されたし。尚、報酬は一人あたり5万円だ」

オンセンリゾート施設「ゴールデンタヌキ」はカチグミ向けの施設で、健康ケミカル成分を混入させたお湯、オイランセラピストによるマッサージなどで人気を博している。多数のガードマンを雇っており入浴中という無防備な状態のカチグミをアサシンから守っているのも人気の理由の一つだ。

指令を受けた3人のニンジャ達は顔をあわせ、襲撃の算段を立てる。

「ドーモ、マーサモップです」

「ドーモ。スツモビルです。俺のテックスリケンは実際無敵だが、3人いれば3倍儲かるともいう。ドーゾヨロシク」

「ドーモ。ブレイドアーツです」

「ソウカイヤ関係者はいねえから好きにやっていいそうだ。ところでお前ら、カチグミのサイフの中身、気にならねえか?」マーサモップが言う。

「もちろん。世の中テックとカネだ」スツモビルが答える。彼らは直前にサイバネ手術を施し、そのローン返済に追われているのだ。

一方ブレイドアーツは冷静に答える。「…アシがつかないよう行うとしよう。これは誰のメイワクにもならない行為です」

「早いモン勝ちだ」とマーサモップ。

「どちらも一理ある。そういえばブレイドアーツ=サンのジツは実際強いと風のうわさを聞いた。頼りにさせてもらおう」

「フーン?カラテの方はどうだ?自信あるかブレイドアーツ=サン」

「そちらの噂も聞いているぞ。その容姿に違わぬ力をもつと」ブレイドアーツが2人を見る。

「百人力よ!任せておけい!」自慢のサイバネ腕を叩くマーサモップはカピバラめいた装束に身を包んでいるが、戦闘義肢テッコにカタナを装備した油断ならぬイアイドの使い手だ。

スツモビルはレンポー社製の装備に身を包み、サイバネアイをインプラントした実際機械めいた見た目のニンジャだ。

ブレイドアーツも屈強なニンジャ戦士であるが、それ以上に何か底知れぬ奥深さを感じさせる男であった。

3人は話し合い、最もカラテに自信のあるマーサモップが正門で敵を引きつけ、その隙に残りの2人が裏口に回り込んで侵入する算段となった。

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オンセンリゾート施設「ゴールデンタヌキ」の敷地は壁で囲まれており、巡回クローンヤクザが周囲を警戒している。正門には屈強な黒人ヤクザ・ガードマンがおり、彼のサイバーサングラスには「アポイントメント重点」「不審者を許さない」といった文言が表示されている。彼は近づいてくる3人の男を認めると「お客様、お名前を伺ってもヨロシイデスカ?」と声をかけた。

「ドーモ、マーサモップです。へーいいオンセンだなぁ」「ドーモ。…ええ、実際カチグミの皆様からご高評頂いております……エート、あなた達は…」

「ドーモ、これでいいんだろ?」スツモビルが唐突にテック重点なニンジャ装束を生成、サイバネアイが有機的に光る!「アイエッ!?」ガードマン驚愕! その隙に「イヤーッ!」強烈イアイド!黒人ガードマンの首が飛ぶ!

「ああ、何か変なものでも見ましたか?」ブレイドアーツが黒人ガードマンに問いかける。宙を舞う首がブレイドアーツを見つめ、口をパクパクさせながら地面にゴトリと落ちた。

「そんなに恐ろしいものを見たんですかね?」「ンー悪くない景色だがなぁ」その時、黒人ガードマンの胴体に装着されたIRCに連絡が入る。「定時連絡な:正門応答ドーゾ」

「エー、こちら正門。只今スラッシャーと交戦中。かなりの数が存在し劣勢。可能な限りの増援を求めアバー!?」ブレイドアーツは言い終えるなりIRC端末を投げ出す。周囲からドタドタと足音が聞こえてくる。早速増援がやってきたようだ。

「おい抜け駆けはなしだぜ?お二人さん」とマーサモップがおどける。「もちろん、実際万札がアンタに駆け込む状況でゆびはくわえないさ」「左様。ではオタッシャデー」「グワハハ!行け!」ブレイドアーツとスツモビルは連続側転でその場を立ち去り、「「ワドルナッケングワーッ!?」」途上で増援クローンヤクザ2人殺!


「「スッゾ!スッゾ!スッゾ!」」残ったマーサモップに2人のクローンヤクザが迫る!「イヤーッ!」「グワーッ!」 即座にイアイ迎撃!クローンヤクザは首からスプリンクラーめいて緑の血を噴き出し死亡!

「ザッケンナコラーッ!」片割れがチャカ・ガンで応戦!しかしマーサモップは色付きの風となって銃弾を避け、クローンヤクザの眼前に迫る!「面倒な!」「グワーッ!?」カタナで心臓破壊殺! 増援はこれだけだったらしい。マーサモップは正門を突破し、エントランスにエントリーする。

「アイエーエエエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」受付オイランがNRSを起こし失禁!「有り金すべてよこせ!カネさえ出せば命はとらんぞ」「アイエッ!お金なら出しますから命だけはお助けドスエ…!」手早くオイランから万札を巻き上げると、左右を見渡す。右が男湯、左が女湯だ。 キンボシを2人に取られてしまうかもしれぬ。はやく男湯に突入せねば!

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SPLAAAAAAAAASH! 裏口から回り込んだスツモビルが男湯露天風呂にエントリー!「ドーモ。カネモチはロッカーの使い方を知らぬと聞く。もってるものをだしてもらおう。レンポー社製サイバネゴーグルを欺けるとおもうな」スツモビルのサイバネアイ有機的発光! ビキニ姿のオイランを侍らせたカネモチ達が一斉にスツモビルを見る!

カネモチの1人、オイランの胸に徳利を挟んでお酌させてた男が湯から立ち上がる!「な、なんだね君は!」スツモビルはその顔を見て悟った。「ドーモ、あなたの着替えの手間を省きにきました」「なんだと…!?」そう、彼こそがドナルド・フダであると!

見ればドナルドの身体は所々サイバネ化されており、高い戦闘能力を伺わせた。快適な温泉場の空気が殺気でどろりと濁る! ドナルド・フダ発見ーースツモビルはIRCに打ち込み、カラテを構えた!

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アイエエエエ!?お客様、ここは女湯ドスエ!」マッサージオイランが狼狽する!マーサモップは決断的に女湯脱衣所にエントリー!「うるせえ!カネを出せ!」「アイエエエエ!こ、このお金がないと娘を養えないんドスエ!」「死にたいか貴様ァ!こんなもん有ってもなくても同じようなもんだろうが!」マーサモップは無理やり万札を奪う!「アーレエエエエエ!」オイランの悲痛な叫びを背に、大浴場に向かう!

ーードナルド・フダ発見ーーその連絡を受けたのは、大浴場エントリーと同時だった! 女カネモチ達が悲鳴をあげ、タオルで身体を隠しながら逃げ惑う中、サンスケヤクザ達がマーサモップの前に立ちふさがる。「ザッケンナコラー!ここ女湯だぞッコラー!」「スッゾオラー!邪魔だ!」「そもそも服脱いでから入れッコラグワー!?」イアイ殺!「あとからな!」

「このスケベッコラー!」残ったサンスケヤクザがフロ・オケを投擲!それを軽く避けると「ウオーッ!」テッコの渾身の一撃で浴場の壁をぶち抜く!ナムサン、穿たれた穴の先は男湯だ!「アイエエエエエエ!」女カネモチ狼狽!「アイエ!?ラッキースケベ!?ニンジャ!?ラッキースケベニンジャナンデ!?」男湯側のカネモチも突然のラッキーと暴力の乱入に狼狽!

しかしこれで男湯側のサンスケヤクザ2名も戦線に加わった!3対1!そしてさらにCRAAAAAAAASH! サウナの壁がぶち破られ、巨体から蒸気を放つスモトリが姿を現す!タオルでサウナ客に蒸気を送る過酷な作業につく、ロウリュスモトリだ! 4対1!

サンスケヤクザがフロオケ投擲!しかしマーサモップは冷静にすべて避け、明後日の方向に飛んでいったフロ・オケは不幸なカネモチの頭を直撃!ポイント倍点! 「な、何ィーッ!」 サンスケヤクザはケジメ案件だ!「クソーッ!お前のせいにしてケジメ逃れてやらぁ!!」ヤバレカバレ! 「首をケジメじゃ!」「アバーッ!」無慈悲に首ケジメ! 洗い場が血のシャワーで赤く染まる!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」瞬く間にサンスケヤクザ全滅!

「ドッソイオラー!」 ロウリュスモトリが張り手突撃をしかけるもマーサモップは難なく避け、スモトリは壁激突!再び穿たれる女湯への穴! 「アーレエーエエエエエエ!」女カネモチ狼狽!

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ドナルドとスツモビルがにらみ合う中、突如として色付きの風がドナルドの側を吹き抜ける!「ワッザ!?」間一髪致命的攻撃回避! アンブッシュをしかけた男がアイサツを決める。「ドーモ。ブレイドアーツです。ずいぶんサイバネ手術しているようですね。特にその腕なんて」 ドナルドのサイバネアームにはクナイ・ダートが突き立っている!

「というわけで。オタクが護衛もつけていないとは考えにくいとはいえ、これで2対1。…さて。あまり手間をかけさせてくれるなよ。メンテを頼むこちらの身にもなってくれたまえ」スツモビルがドナルドを睨む!「もっとも、レンポー社装備は完全防水だが」急接近しカラテを叩き込む!「グワーッ!」まともに喰らったドナルドのサイバネ各所がバチバチと火花を散らす!

「クソッ!俺はプレジデント(社長)だぞ!!お前たち!早く出てきてヤッチマエ!」 そう叫ぶと、庭の竹林の間から巧妙にカモフラージュされたクローンヤクザが飛び出す! 「「ザッケンナコラー!」」 これで3対2!形勢逆転か!?

「イヤーッ!」ガコンプシュー!圧縮空気で押し出された殺人的拳がブレイドアーツの顔面に向かう! しかしドナルドの拳は宙を切り、そこには赤い毛が舞ってるのみだった!いくら重サイバネ者といえどニンジャに攻撃を当てる事は至難の業なのだ! 「「ザッケンナコラー!」」BLAMBLAM!クローンヤクザが追い打ちの射撃を加えるも全く当たらない! 「見事な回避だ。何人いようと所詮モータル。シマッテコーゼ!」

声援を送られたブレイドアーツの腕が素早く動く。 「グワーッ!」「最近のヤクザは胸にクナイを刺すのがトレンドなんですか?」 クローンヤクザの胸にぼやけたクナイ・ダート! 彼のクナイ・ダートはなんらかのテックかジツなのか光学迷彩じみて視認しづらいのだ!

「オレのレンポー社製テックスリケン殴打は実際無敵だ!」 スツモビルはスリケンを手に持ち殴りつける特殊なスリケン・カラテ・アーツの使い手だ。 「イヤーッ!何ィ!」「プレジデントを甘くみるなよーッ!」 ドナルドはしかし、重サイバネの機動力を活かして回避!そのままブレイドアーツに迫る! 「オヤブン!」クローンヤクザもチャカ加勢!しかしブレイドアーツは難なく避ける。その最中、ブレイドアーツの目が怪しく光る!ドナルドのニューロンが迫る危険に火花を散らす!

「イヤーッ!」ブレイドアーツの右手チョップ…否!突如として手から仕込み刀が飛び出す! ナムサン、ブレイドアーツはヘンゲヨーカイ・ジツの応用で体内に刀を仕込んでいたのだ! 「ウオオーッ!」危険を感じ取ったドナルドは間一髪しゃがんで回避!「お見事。しかしこれでは動けませんね?」 左の仕込み刀が退路を塞ぐ!

「くっ、ゴーグルが曇る!だがサブセンサーで!死ね!ドナルド=サン!死ね!」スツモビル追撃スリケン殴打!「グ…グワーッ!」 打撃を受けながらもブレイドアーツに一矢報いんと致命的ワン・インチパンチを構えるドナルド。しかしブレイドアーツは即座に状況判断し距離をとり、片手間にクナイ・ダートで最後のクローンヤクザを殺した。

「よくやった!ブレイドアーツ=サン!…チェックメイトだ。これで動けまい!」ナムサン!足元には殴打時に使い捨てたスリケンがマキビシめいて突き立つ! 「ヌゥーッ!?プレジデントの体幹をもってすればこの程度の足場!!」 ヤバレカバレのポン・パンチを放つもスツモビルは難なく回避し、反撃のカラテを叩き込む!「グワーッ!なんたる非人道兵器!」踏み込んだ足に突き刺さるスリケン!

「あとはスリーハンド・チェックメイトですかね。あなたはアドバンスド・ショーギをご存知ですか?このような状況をワン・インチ・ドラゴンと言うのです」ブレイドアーツはニヤリと笑い、セイケン・ツキを放つ。「ショーギなどバカらしい!盤面ごとメキシコの壁まで吹き飛ばしてくれる!!」ドナルドは何とか回避するも既に満身創痍!その懐に潜り込むスツモビル!

イィーヤアアアアー!!」スツモビルの渾身のカラテがドナルドの胸を捉えた! 「グワーッ!…ワシはネオサイタマで成り上がって、何れはプレジンデント…市長になる男だ…!こんな所で!!」「いいえ、吹き飛ぶのはあなたの命です。背後をご覧なさい」ブレイドアーツが静かに言う。ドナルドは振り向き「何…ア、アバッ」

「いつか、誰かが俺を打ち負かすだろう。だが、それは今日ではないし、お前のカラテでもない」ドナルドの背中からはスツモビルの腕が伸びており、その手の中には心臓が……握り潰された!

「こんな所で…アバーッ!!」スツモビルとブレイドアーツがザンシンする中ドナルドはがくりと膝をつき、そのまま湯の中に倒れ込む!永遠の湯治の始まりだ…!

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「待たせたな!イヤーッ!」 強烈なイアイドがスモトリを捉えるも、厚い脂肪で致命傷には至らない。「ドッソイオラー!」 果敢に突撃!マーサモップはすり抜けるようにして回避する間に斬撃を加えるも、やはり致命傷には至らぬ!ならばとマーサモップの目がギラリと光る!

これで終わりだ!」「ドッソイオラアバババババーッ!?」再び突撃を仕掛けようとしたスモトリの心臓を寸分違わず刺し通す!

倒れ込むスモトリ。そこに2人がドナルドを仕留めたとIRCで連絡が入った。戦いは、終わったのだ。


ソウカイヤ・ニュービーニンジャ達は逃げ惑うカネモチ達から金品を巻き上げ、颯爽とオンセンを後にした。想定より儲からなかったが、サイバネ手術の借金以上には稼げた。ある者は稼いだ金でカラテトレーニングを積み、ある者は神秘的なザゼン・トレーニングでジツを鍛えた。新たなイクサに備えて……。


【ブラッド・コンタミネイテッド・オンセン 了】

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あとがき

このリプレイに出てくるニンジャ達は全員プレイヤーキャラクターです。彼らのセリフは句読点や一部のセリフの削除以外はほぼ手を加えてません。(それどころか地の文の一部はプレイヤーがセッション中に描写したものです!)この物語はまさに、彼らのRPが紡いだのです。

今回NMは初ニンジャスレイヤーTRPGのセッションだったのですが、「このニンジャをこういう場所に放り込んだらどうなるか?」といったシュミレートが手軽に楽しめるシステムだなと思いました。

仲間とのかけあい、シナリオギミックで迫る危機、そういった中で自分のニンジャがどう振る舞い、どんな物語を紡ぐのか?気になりませんか?気になりますよね、あなた?(ゲン・ジツ)

気になったアナタはすぐにダイハードテイルズのニンジャスレイヤーTRPGを買うかニンジャスレイヤープラスを定期購読重点!実際安い!


終わりに添えて、素晴らしいRPを見せてくれたプレイヤー達に感謝を。

・マーサモップ:避雷針=サン

・スツモビル:かしもふ=サン

・ブレイドアーツ:Toui=サン



追記(忍殺RPG既知者向): ブレイドアーツ=サンの霞むクナイや仕込み刀は特に特別な処理を行わず、それぞれ普通のクナイ投擲・ヘンゲヨーカイ・ジツとして処理してます。数値に影響しないけどRP上はこう振る舞いたい!っていうのが叶うのはTRPGの良い所ですね。 スツモビル=サンのスリケンマキビシ化は布石めいて面白かったので実際に回避ダイス-1しました。何故かドナルドは避けましたが…

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