対戦国を食べて勝つ!力強いエールを送るサポーターの聖地の秘密
8月20日にスペイン代表優勝で幕を閉じた2023年の女子ワールドカップ。
対戦国の料理を食べることで「相手を食らう!」日本から現地に向けてなでしこJAPANを応援するサポーターの会がありました。
女子W杯だけではなく、W杯や予選など各種大会で人数が集まれば開催されているこの応援会。
私も参加したかったのですが、ザンビア戦は現地観戦、コスタリカ戦・スペイン戦は平日のため断念し、ノルウェー戦は国立競技場での試合観戦、そしてスウェーデン戦は推し活で渡韓していたので、参加できませんでした。
スウェーデン戦に勝ったら今度こそ行ける!と意気込んでいましたが、なでしこJAPANのチャレンジは準々決勝で潰えしまいます。
参加したかったのにできなかった悔しさといつもどんな想いで料理を作っているか気になったので、対戦国の料理を作ってサポーターたちを楽しませているCafe&Bar HANZ(以降HANZ)のオーナーみよさんに話を聞きました。
■敵を食べる!歴史は結構長い きっかけはあの大会
お店がオープンしたのが、2009年です。
2010年の南アフリカ大会の後にティアスサナ(現在は閉店しています)でサポーター仲間と集まっていました。
飲み足りない雰囲気の中「だったらうちにくる?」と言って集まったのがHANZで集まるようになったが最初です。
その流れで、仲間たちと各大会の壮行会をやろうという話になったのですが、せっかくなら何かあった方がいい、何があるかな?と検討した中で「相手を食べるのがいいんじゃない?」となりました。
当初は口頭で料理の説明をしてましたが、途中からillustratorでタグを作っています。
数は数えていませんが、おそらく2−30カ国近くの料理を作っているでしょう。
想像以上にすごい数です。
どんな料理を作るかについて、まずはインターネットで○○料理と調べ、写真が美味しそうなものをピックアップします。よさそうなものがあれば、そのレシピを探します。
よさそうなものが見つからない場合は○○料理 肉、とか魚とか素材名を追加すると出てくる場合があるようです。
その中から、下記の条件にあてはまるものでメニューを選定します。
メニューが決まらないと買い出しに行けないので、この選定はかなり重要なポイントになるのです。
■もう二度と作らないと誓ったのに!また作ってしまったあの料理
ここ最近、日本代表が何度も対戦している国があります。
コロンビアです。
ブラジルW杯、ロシアW杯と2大会連続で当たっています。
今回の女子W杯でも盛り上がりましたが、W杯ももちろん現地に行く組以外が集う聖地になっているのがHANZです。
なので、コロンビア料理も度々顔を出しています。
ブラジルW杯の時に作ったエンパナーダというコロンビア料理がありました。
パンの生地の中にひき肉が入っているようなものです。
なんとか作って出したものの、うまくいきませんでした。
その時「もう二度と作らない」そう心に決めたのです。
元々中南米の料理は似ているものが多く、豆を煮たもの、肉を焼いたものが中心です。メニューを探すのも一苦労。
それなのに、結構な頻度で対戦があります。
できるだけ被らない料理を出そうと心がけていますが、探せど探せど皆に食べてほしい新しいコロンビア料理は見つかりません。
不覚にも、もう作らないと心に決めたエンパナーダをもう一度登場させることになってしまいました。
こうなったらもう一度コロンビアと対戦してみよさんの作るエンパナーダを食べてみたくなります。
■逆に作りたかったあの料理
ずばりUSAを食べて見たかった、とみよさんは語ります。
一度USAとは対戦したことがあるのですが、その時は朝だったので、たくさんの料理を作ってみんなで応援する会ができませんでした。
その時は完全事前申し込み制で、ステーキにいろんなソースを添えて出したそうです。
今回スウェーデンがUSAを倒してしまったのでその望みは叶いませんでした。
アメリカンドックを作ってみんなでかぶりつきたかったです。
ノルウェーを倒した後に、スウェーデン。
先ほど中南米は似ている、という話を書きましたが、ノルウェーが来てのスウェーデンなので同じ北欧です。同じエリアだとどうしても料理が似てきます。
同じエリアの国が来るよりもUSAに来てほしかったのが本音でした。
料理的な観点でも対戦国が気になる、それが相手の国を食べる応援なのです。
■キャッチーなネーミング、スウェーデン料理の秘密
今回女子W杯の対戦国の中で、一際目立つ料理がありました。
スウェーデン料理です。
なぜ目立ってたのでしょうか?
それは名前がキャッチーだからです。
スペイン料理のエスカリバータ、コスタリカ料理のエンサラーダ・デ・サルサといった単語っぽい名前が料理名の通常だと思います。
対するスウェーデン料理は「空飛ぶヤコブさん」「ヤンソンさんの誘惑」といった人名を冠した個性的な名前なのです。みよさんに聞いてみたら「陳さんの麻婆豆腐」みたいな感じでその料理が作られた由来で名前がついているっぽいとのこと。不思議。
ヤンソンさんの誘惑については、本当はもう少ししゃびしゃびの料理だけどとろみがあった方がサーブしやすいので少しアレンジが入っています。
本家はエビも入っていないようです。
空飛ぶヤコブさんの味の決め手はハリッサというチュニジア生まれのスパイス。これが入手できなかったらこの料理は諦めようと思っていました。
しかし、無事に発見。皆に空飛ぶヤコブさんが振舞われました。
この料理、味の想像ができないのですが(バナナが入っているから)ものすごくおいしかったそうです。
歴代の各国料理の中でも上位に入るレベル感だとか。
是非またスウェーデンと戦う機会をつくってもらって食べてみたいです。
お店のレギュラー料理にはしないんですか?と聞いたところ普段のお客様は場所柄サラリーマンが多く冒険しないので難しいみたいでした。
たしかに「空飛ぶヤコブさん」ってメニューに載ってても頼みづらいです。
この2つの料理名もインパクトありましたが、このアイテムも度肝抜かれました。
そう、ザリガニです。
スウェーデン出身のLiLiCoさんがラジオで話していたので、スウェーデン=ザリガニを食すというのは知っていましたがまさか日本で、HANZで食べられるとは思いませんでした。
入手するのがかなり大変だったようです。
■クリエイティブ力が試される世界を食べるシリーズ
インターネットで調べて作る各国の料理なので、みよさん自身食べたことがありません。
想像して作って、さも知っていたかのようにふるまうのです。
クリエイティブ力が試されます。推定の料理です。
日本代表の胃袋を満たすのは西芳照シェフ。
私たちサポーターの胃袋を満たすのはみよさん。
かたや日本食材を海外で探すプロ。
かたや海外食材を日本で探すプロ。
私たちはこれからも対戦国を食べてサッカー日本代表を応援します!
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