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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論548」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第15号(2004.11.25発行)「スイミングクラブの成長戦略」21~※名称等は当時、一部文章省略

Ⅲ成長クラブの事例研究

事例研究6「子ども向けスイミングクラブを移転新設で大人中心のイメージに一新」(株式会社レックス「フィットネスクラブレックス」)

この結果に「行ける」と感じたF氏は、思い切って大人中心のフィットネスクラブに移行させようと考えた。
「もっと充実した施設を造れば、もっと大人の会員が集まるに違いない。会員が増えれば会社も安定する」そう考え、株主総会でこれを提案した。
ところが、その想いとは裏腹にほぼ全員に反対される。
同社の設立経緯から、その株主は選手育成に賛同して集まった人たちであり、フィットネスにはあまり関心がなかった。
F氏自身、株式の10%弱しか持っていなかったため、これを実現するためにはどうしても株主総会での承認が必要となる。
F氏は根回しに回った。
株主を一人ひとり口説く。
そして勝算が得られた時点で再度、株主総会を開き、何とか承認を得ることに成功した。

話が決まるとF氏は物凄いスピードで事を運んでいった。
それまで運営していたスイミングスクールから1.5㎞先に物件を押さえ、施設計画を立てるとともに資金を調達、中小企業金融公庫から総工費分として1億8千万円を借りて延床面積470坪、ローコスト・ハイイメージの施設計画をまとめた。
またF氏が責任を負うとともに、将来的にスピーディーな意思決定ができるよう増資をして、F氏が51%の株式を持つ体制とした。

こうして平成13年(2001)11月、「レックス」という新しい名称でフィットネスクラブをオープンさせた。
プロモーションでは徹底して大人向きのビジュアルとコピーを採用、1,700人を目標としていたため、1人当たり集客コストを8,000円とみて、広告宣伝費として1,500万円の予算を組み、80万枚のチラシを用意した。
反響は予想以上だった。
オープン日を前に1,700名を超え、駐車場やスタジオのキャパシティを考えて入会を一時ストップ。
用意したチラシも30万枚が無駄になるという嬉しい誤算となる。
この状況を受けてオープンから半年後には6,000万円を掛けて施設を拡張、駐車場を増やすとともに、ピロティーを増築してスタジオを移して拡張、元スタジオのスペースにマシンを導入、ジムも拡張した。
さらに半年後には1,500万円を掛けてプールサイドのトイレを増築、3年目を迎える今年もさらに700万円を掛けて内装やシャワー室をリニューアルした。
こうした素早い対応が奏功して会員数も拡張とともに増加、現在は2,400名(大人2,100名、こども330名)となっている。

これにより会社の収益性も大きく改善したが、F氏は兜の緒を締める。
「当社の経営はフィットネスクラブの経営と物販の2本柱で、現在はフィットネスクラブの収入が物販の倍となっています。しかし、クラブ経営もスイミングクラブ同様、常に競合クラブの進出や環境変化の危険にさらされる可能性を秘めています。サービスの感性を磨いてクラブの競争力を高めておくとともに、当社のもう1本の軸足である物販についてもさらに充実させていきたいと思います。現在は体成分分析や会員管理ソフトなどの開発を進めています。スイミングクラブとフィットネスクラブを経営している企業だからこそできる商品を開発していきたいと考えています。」

~ここまで~

当社の大和店も先月12月に、やむを得ない事情により近隣へ移転新設を致しましたが、このプロジェクトを通じて単純な新設とは違った苦労やエネルギーが必要なことを実感しました。

その意味で記事の様な、多額の資金調達、経営権の確保といった難題を背負って新規市場を目指した覚悟、胆力は相当なものであったと推測されます。

やはり、難局が訪れる先が読めない時代において、求められるものは勇気や精神力であることが本事例からも窺い知ることができます。

お読みいただきありがとうございました。

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