7月26日(火):林業の現場と課題
先般に出張先のホテルでふと目にしたのが「ニッポン知らなかった選手権」というNHKの番組でした。
同番組の主旨は企業や業界団体が内輪で開催するスキルアップのための知られざる技術大会に大量のカメラを投入して実況中継をするというものです。
その時に取り上げていたのが「第4回日本伐木チャンピオンシップ」で、林業従事者による木を切る技術を競う大会でした。
狙った方向に正確に木を倒す「伐倒」や、木の幹から出ている種々の枝を早く正確に払う「枝払い」など、幾つかの種目がありましたが、その技の正確性と手際の良いスピード感に、思わず見入ってしまった次第です。
やはり何の世界でもそうですが、それを極めた匠の域にある人の仕事ぶりは動きが洗練されているし、扱っている道具がまるで自分の手足の一部であるかのような道具の身体化がなされていますね。
現在は木材価格が高騰するウッドショックのさなか現場での作業量も増えていると聞いていましたが、こうした技量のある職人さんがたくさんいれば安心だな、などと勝手ながらに思っていました。
ただ、同番組をみた直後には地方紙(大分合同新聞)で林業での死傷者数が増加している旨の記事を目にして、思った以上に現場の問題が深刻なんだと認識を改めました。
大分県では今年の2月と3月に相次いで死亡事故が発生しており、いずれも20代、30代でキャリア半年未満の若者の作業中の事故だったといいます。
また大分県内の林業現場では休業4日以上の死傷者数は2018年から減少傾向にあったものの、2021年は前年を14件上回るなど状況が明らかに変わりつつあるのが見て取れます。
こうした数字を見ると林業の現場は死と隣り合わせの過酷な現場なのだと思います。
以前には映画「ウッジョブ」を見たり、林業に関するドキュメントを見て、後継の担い手不足と育成、そして長期の視点で山を保全していかなければならない点など、難しい課題が幾つもあるのはお粗末ながらも理解をしています。
それらを解消するための道筋は前述したような匠の技がしっかりと継承されて山と自分の身を守る人材が増えていくことはひとつですが、それとあわせてハイテク機器とデータ管理などの導入も多方面での課題だろうと感じます。
林業先進国ではハイテク化×スマート化が進められている背景もあり、そこは日本でも取り入れていく余地はあるし、それによって安全性や生産性の面で改善がなさされば良いですね。
日本は国土の約3分の2、2500万ヘクタールが森林であるだけに、そこは今後への良い道筋が見つかっていけばと思っています。
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