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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論546」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第15号(2004.11.25発行)「スイミングクラブの成長戦略」19~※名称等は当時、一部文章省略

Ⅲ成長クラブの事例研究

事例研究5「新業態・大人専用のスイミングクラブを開発、ウェルネスマーケットを開拓する」(株式会社マイティスポーツ「マイティアクアクラブ」)

そして今年、米沢にもう一つクラブをオープンした。
それまで人形の株式会社秀月が経営していたフィットネスクラブを継承したものだが、このクラブは1号店のスイミングスクールのすぐ隣で、昭和60年(1985)のオープン以来、競合関係にあったクラブである。
延床面積1,000坪で築20年。
改修費は覚悟しなければならないが、競合上も手に入れたいと思ったT氏は、土地オーナーに相談した。
その土地は「マイティスイミングスクール米沢」と地続きであったことから、このオーナーに建物を購入して貰い、マイティがテナントとして入ることを提案、承諾が得られた。
そしてこの8月、8,000万円をかけて内外装をリニューアル、「マイティ・スポーツプラザ」としてオープンしたのである。
この施設はプール以外のアイテムを揃えることにした。
延床面積がたっぷりあることから、ジムとスタジオに大きなスペースを確保し、レストランやセミナー用の部屋も確保した。
元プールだった部分は年内にアリーナに改修する予定である。

これにより子ども専用「マイティスイミングスクール米沢」、大人専用「マイティスイミングスクール米沢アネックス」、スポーツ・フィットネスアイテムを揃えた「マイティ・スポーツプラザ」の3業態が徒歩3分圏内に揃うことになり、子どもから年配者まで受け入れる準備が整った。
そしてこれを1つの商品「マイティ・ウェルネスヴィレッジ」として、登録者を募集するシステムに変えた。
登録料は5,250円で、この登録さえすれば10分100円で利用できる「タイム会員」もある。
また月会費制の会員種別はタオルサービスがつくアネックスマスター会員(10,500円)や、アネックスのみ利用の「アクア会員」(7,350円)、スポーツプラザのみの「フィットネス会員」(6,300円)などから選べるようになっている。
現在の会員数は合計4,000名となっている。

今後の展開についてT氏は次のように話す。
「以前からの泳法を習うニーズというのは確実に縮小しています。その一方で健康づくりへのニーズは今後も拡大していきます。健康づくりは大人だけでなく子どもも一緒です。ですから商品をこうしたニーズに合うようにすることで、スイミングクラブもまだまだ成長できる余地があると考えています。スイミングは奥が深く、一度泳げるようになると、その後はご自身でどんどん上達しようとします。その上達の楽しみを知り、自分に自信が持てるようになると他のことにも挑戦しながら長くクラブ通いを続けてくれるようになります。我々はこうした体験を一人でも多くの方に提供したいと考えています。今後はアクアクラブのシステムを応用して、カルチャー系のクラスも提供していきたいと思います。コンピュータが学べるはじめてマウスといったクラスや英会話のクラスなどのコマを設けて、アクアクラブのようにいつでも何回でも参加できるようにするのです。より多くのきっかけを提供して、いつの間にかスイミングやフィットネスを親しめるような環境を作りたいと思います。」

同氏は今後東北を中心に「マイティアクアクラブ」の店舗展開を進め、将来的に50店舗体制にすることを目標に置いている。
この運営ノウハウを提供して既存のスイミングクラブや土地オーナーの土地活用をサポートしながらフランチャイズ展開することも視野に入れる。
「フィットネス参加への心理的なハードルをできる限り下げ、初めの一歩を提供する役割を担っていきたいと考えています。生活習慣病の予防、介護予防の必要性が高まる中、健康づくりへのニーズは今後も確実に拡大していきます。」と話している。

ここまで~

今回の記事について、歴史的な評価を加えますと、残念ながら50店舗体制になることはなく、2007年の福島放送によると、「郡山市富久山町のスイミングスクール・マイティアクアクラブ宝沢を経営するマイティ・スポーツは10日までに、地裁郡山支部に民事再生法の適用を申請し保全命令を受けた。負債は約13億円。マイティアクアクラブ宝沢の営業は継続し、1650人の会員の利用には影響が出ない見通し。」と報道されたようです。

記事の印象として、パワフルに多くの取り組みを矢継ぎ早に実行した一方で、資金調達が過剰であったり、オーナーの資金負担も大きくなるなど、資金面でキャッシュフローが悪化したことが想定されます。

慎重さと大胆さは背反する要素ですが、経営者は慎重かつ大胆であることが求められる難しい立場であることを改めて痛感させられます。

お読みいただきありがとうございました。

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