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3月23日(水):「同質性」と「多様性」が共存する現場

昨日は「愚直さとセットになる『合理性の土台』」といったことを記しましたが、それに関連した話をもう少しばかり。

書籍「現場論」のなかでは愚直さが単なる精神論、根性論で終わってはいけない旨に言及し、それとセットになっているべきは「合理的な必然性」であると述べています。

この合理的必然性は「戦略的必然性」としての差別化、ポジショニングを含めた経営の戦略目標・方針と、「信条的必然性」である企業活動を底辺で支える共通の信条、価値観の共有・浸透だと説明されていました。

本日はこの信条的必然性にフォーカスをしますが、同書では共通の信条が浸透し、行動習慣として徹底されている非凡な現場は、「外から見れば同質的集団と映ってもおかしくない」としています。

しかしながら、「この同質性は多様性を排除しない。むしろ多様性を加速させるものである」との観点が重要です。

書籍内ではデンソーの現場を例に挙げながら、「デンソースピリット(信条)の浸透とこの創造性を活かすことはけっして相矛盾するものではない。信条を共有し、実践したうえで『よりよくする』『新しいものを生み出す』という『知的創造スパイラル』が回っている。基盤となる信条を共有したうえで、個の創造性や多様性を活かすことが重要なのだ」と先の意味合いを補足しています。

信条が浸透して一種の同質性をもって非凡さを発揮しつつも、そこに多様性も同居して創造的な活動が共存するのが理想ですが、それを可能にするには前提条件があると思っています。

それは「個々の自立」「自律分散型の現場」「心理的安全性がある文化」です。

これとは反対に「個々の依存」、「中央集権型の組織」、「心理的安全性のなさ」が前提になっていると、信条が浸透していようとも多様性や創造性が影を潜めた「没個性」や「作業中心」の現場になってしまうのは否めません。

現場とは組織の側がつくる合理的必然性だけではなく、そこに身を置く個人との相互作用であるから個人の側の自立も必要だし、組織形態やそこに流れている企業文化もまた、現場の在りようを色濃く左右します。

だからこそ良い現場をつくるには組織としての努力も要るし、個人の側の努力も要る、その双方があってはじめて具現化されるものだと思います。



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