「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論496」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第12号(2004.5.25発行)「カーヴス創始者ギャリー・ヘヴィン氏に聞く」7~※名称等は当時、一部文章省略
ーもしカーヴスが米国全土に出店しきってしまったとしたら、次はどの国が主要なターゲットになりますか?
GH
我々は世界の国々にも目を向けていますし、進出も始めています。
現在15ヶ国でその芽が出てきています。
各国それぞれにまず2~3店舗の店をオープンし、その後、半年~1年程度はそのままにして、そのメンバーが自分も他の町でカーヴスをやってみたいと問い合わせをして来るのを待ちます。
現在のところ、イギリス、アイルランド、スコットランド、イタリア、スペイン、ポルトガル、ニュージーランド、グアム、グアテマラ、ドミニカ共和国、ブラジル、ペルーそして中国にも施設があります。
また香港と日本にも候補案件があります。
我々はタイミングを計りながら世界進出を進めていくことで、米国の市場が飽和した後でも、我々の勢いを維持できるようにしたいと考えております。
ーあなたのクリスチャンとしての信仰が、あなたのビジネスをかなり特徴づけていると思いますが、それについて簡単にお話しいただけますか?
GH
私は人が自分のことを行動の規範にしてくれていることは非常に重要なことだと思います。
もし、リーダーが誠実でなければ何千もの人々のまとまりを強化することはできません。
フランチャイジーの方々はそれぞれ信仰を持っています。
ですが皆、私の価値観を理解してくださいます。
恐らくそれは私もオープンにそのことについて話すからということもあるでしょう。
私は人にサービスをすることをフランチャイジーに求めます。
先ほども言いましたように、カーヴスはサービス第一なのです。
聖書にはこう書かれています。
「あなたの中の最も偉大なあなたは、全ての人の下僕でなくてはならない」と。
私の会社をクチコミで育ててくれた何千もの人も、もし私を信用してくださってなければ何もいい話をしてくれなかったでしょう。
こうした価値観は、テレビコマーシャルにも現れています。
サイズ14の女性をフィットネスクラブの広告宣伝に使った会社はこれまで一つもありません。
ですが、これが現実の姿なのです。
誠実さとは「現実を表に出し直視すること」。
それは必ずしも安全なことではないかもしれませんが、私たちは正直にものごとに対処していかなければいけないのです。
それで、どうしても上手くいかなかった場合は「くそっ、上手くいかなかった」と言えばいいじゃないですか。
ー今月あなたはIHRSAの「ビジョナリー・オブ・ジ・イヤー」を受賞されます。お気持ちは?
GH
非常に光栄です。
ただ少し恐縮しています。
ーありがとうございます。
~ここまで~
米国カーヴスの創業者の話を見て、今回、なるほどと感じるスタートアップ時の考え方を知ることができ有意義な記事だったと思います。
歴史的にも評価されるべき創業であったと言えますが、実はその後、紆余曲折を経ることになります。
WWD誌のバックナンバーに、以下の記載がありました。
ーCVIは1992年に米国テキサス州で創業し、女性が気軽に通えるフィットネスクラブ「カーブス」を運営してきた。マスターライセンス方式で世界にも進出し、07年には北米で7000店舗、全世界で1万店舗を構えるまで成長したが、08年のリーマン・ショックの影響で北米や欧州、オセアニア地区での業績が悪化。12年からは米国の投資ファンドであるノースキャッスルパートナーズ(以下、NCP)が資本参加を行ってきたが、NCPがCVI事業からの撤退を表明したため、日本でフランチャイズ契約を結んでいたカーブスHDが名乗りを上げた。買収額は合計1億7200万米ドル(183億8336万円)の見込み。ー
ということで、事業を日本のカーヴスが逆に買収してしまったという珍しいケースの顛末を迎えます。
買収により事業が残ったことは良かったと思いますが、記事の華々しさを読み進めると、栄枯盛衰の物悲しさも同時に感じてしまいます。
本日もお読みいただきありがとうございました。
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