「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論824」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第38号(2008.9.25発行)「フィットネスクラブ入会低調により収益減、現状打破に工夫と努力」2~※名称等は当時、一部文章省略
入会低調、退会率も大きな変化は見られず
会員総数の平均値は、延床面積500坪未満のクラブ群では女性専用サーキットトレーニングジムなど小規模の新業態の設立が、この間、増えたことを反映し、減少傾向が伺えるが、500~1000坪未満群、1000坪以上群では2003年の値までは届いていないものの2005年と比較すると若干回復の兆しが伺える。
入会者数に関しては、1000坪以上群のみ増加しているが、逆に退会者数も増加してしまっている。
入会者数を上回る退会者数を出してしまっているのは1000坪以上群のみである。
500坪未満群、500~1000坪未満群は、入会者数、退会者数ともに減らしているが、退会者数を入会者数以下に止めることができている。
また、店舗面積別にみる入退会率の推移は、やはり延床面積1000坪以上のクラブ群のみ退会率を悪化させている。
しかも、入会率も下げていて、ここでも退会率がそれを上回ってしまっている。
しかし、3群で2007年の退会率を比較すると規模が小さくなるほど退会率が悪くなる傾向が伺える中、1000坪以上群の退会率は最も低いことがわかる。
入会率が退会率を超えているのは500坪未満群のみであることから、在籍会員数を積み増やしたのは、この群だけであるとみることができる。
その他の群、つまりプールつきの一般的なクラブの入会は、総じて低調で在籍会員数を減らしたとみることができる。
20歳代女性の入会が減少、60歳代以上の男性の入会が増加、利用率は高止まり傾向
会員構成比の年齢別・性別の推移を見ると、延床面積500坪未満のクラブ群はやはり小規模の新業態の設立の増加から、女性比率が高まっていることがわかる。
特に、30代・40代の伸びが著しい。
一方、500~1000坪群、1000坪以上群では、20代の女性の減少が著しいこと、60歳以上の男性が増加しているなどの傾向が読み取れる。
利用率の平均値は、高止まり傾向が伺える。
2005年のデータで平日28.5%、土日祝21.6%が、2008年では平日27.8%、土日祝19.6%と若干下がってきている。
立地別にみると、都市型よりも郊外型クラブの方が利用率が高い傾向が伺える。
郊外型の平日の利用率は28.8%にまで達している。
また、時間帯別に利用率をみると郊外型は午前中に高い利用率(35.2%)を示しているのに対し、都市型は夕方6時以降に高い利用率(36.3%)を示している。
~ここまで~
当たり前のことですが、入会率が退会率を上回るトレンドを保たないと、会員数は徐々に減っていきます。
そして、パンデミックの際、会員数を20~40%、一気に減らしてしまった業界全般のその後はいまだ回復途上だと言えます。
記事当時の数値をみると、月間平均退会率は、店舗面積別で良いカテゴリーで3%前半、悪いカテゴリーで3%後半となっております。
決して良い数値とは言えませんが、当時は月間平均入会率もそれに近しい数値もしくはそれ以上を示しており、入会低調とは言えない底堅さがあったと現在では評価できます。
パンデミック以降は、業態関わらず、入会率を3%台に乗せることが難しい状況であり、会員数維持には退会率を少なくとも2%台に落とす必要があります。
ただそれを実現したとしても、会員数維持がいいところですので、会員数増加を果たしていくことは、クラブ数の増加も相俟って、相当に難易度が高いと言えるでしょう。
お読みいただきありがとうございました。
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