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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論742」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第30号(2007.5.25発行)「多様な業態が登場ー新規参入組と既存プレイヤーの静かなる戦い)」2~※名称等は当時、一部文章省略

様々な新業態が誕生

東京・大崎・京都で和太鼓スクールを運営していた株式会社太鼓センターは今年4月東京・青山に世界最大の和太鼓スクール「TAIKO-LAB青山」を開設した。
TAKデザイン事務所Y氏がデザインしたモダンな施設は広さ35坪・20坪・18坪の3つのスタジオとストレッチルーム、ロッカールーム(シャワーブース含む)、ラウンジから構成されている。
基本プログラムは和太鼓とTAIKOビクスの2つだが、ミドルや、親子・ジュニアといったクラスも用意している。
月会費は週1回で15000円。

楽器・音響機器メーカーのヤマハ株式会社は、昨年東京・中延に「ヤマハ音楽と健康スタジオ」を開業した。
音楽に合わせてカラダを動かす「健康と音楽」や音楽に合わせてストレッチをする「サウンドストレッチ」、民族太鼓をグループで叩く「ヘルスリズムス」など全コースを受講料(月3回)5250円(一部6300円)で提供している。

上記以外にも、各種の成果型志向ジムやバイブレーションプレートを使ったジム、ダンススタジオ、ヨガ・ピラティスなどのプログラムを提供する単体スタジオ。
介護予防施設など様々な業態の施設が開設されている。

既存プレイヤーも対抗して新業態開発

既存プレイヤーもさらなる顧客の拡大と新規参入組が開発する業態に顧客が流れるのを防ぐため新業態の開発に着手している。
株式会社ルネンサンスは単体スタジオとして「ドゥミ ルネサンス」を展開、既存店に付属させる形で女性専用サーキットトレーニングジム「ボディキュッと」を展開している。
既存プレイヤーの中で先陣を切って始めた小規模都市型スタジオの「ドゥミ ルネサンス」は料金システムやプログラムなどを見直したところ、参加者が増えてきている。
近く、スタジオの拡張も予定している。
また「ボディキュッと」も既存店の在籍会員数を減らすことなく、300名以上の新規会員を集め好調である。

日本体育施設運営株式会社(※現在のスポーツクラブNAS株式会社)も女性専用サーキットトレーニングジム「バーンズ」や女性専用ヨガ・ホットフローリングスタジオ「モア」を既存店に付帯させている。
株式会社リーヴ・スポーツ(※現在はルネサンスに売却)は「FITNESS ONSEN」ブランドのプールレス施設の1号店(延床面積440坪)を今年7月神奈川県大和市に開設する。
新業態に共通する特徴は「気軽さ」と「成果」だろう。
既存プレイヤーも改めて顧客視点でクリエイティブに発想し、新業態をつくるか、既存店の機能を見直すことが必要だろう。

~ここまで~

前回同様に、15年後の顛末を見ることで新業態の生存確率について確認することができます。

まず「TAIKO-LAB」については、記載の青山店含め現在も4施設を運営しているようで、ニッチなマーケットならではの生き残りを果たしていると言えます。
「ヤマハ音楽と健康スタジオ」については、存続確認できませんが、認知症予防プログラムとして形を変え、全国の系列音楽教室にて実施されているようです。

既存プレイヤーによる「ドゥミ ルネサンス」「ボディキュッと」は既に存在せず、「バーンズ」や「モア」は記憶にも残っておりませんので、短命だったと思われます。
当社の大和店にほど近い「FITNESS ONSEN」は現在、ルネサンスとして営業中であるものの、ブランドとしてはこの店舗のみに留まり、以前行っていた「温泉」輸送も無くなりました。

こうしてみますと、やはり新業態の生き残りは前回記事含め、かなり難しいことが分かります。
物真似が多い業界各社は、この事実をしっかり受け止め、オリジナリティの追求に力を注ぐべきだと思います。

お読みいただきありがとうございました。

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