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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論597」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第18号(2005.5.25発行)「M&A、再び顕在化(成長する明治スポーツプラザ、参入する大和ハウス工業」2~※名称等は当時、一部文章省略

株式会社明治スポーツプラザが東京ガススポーツ株式会社の全株式を譲受することが決まった。
また大和ハウス工業が日本体育施設運営株式会社(NAS)の全株式(新株予約権を含む)を譲受することになった。
潜在的に進められてきたM&Aの動きが、再び顕在化してきた。

大和ハウス工業、NASを子会社化しクラブ運営に参入
大和ハウス工業は4月15日付でNASの全株式(新株引受権を含む)を譲受した。
買収額は「20億円前後」(日経紙)と見られている。
NASはシュローダー・ベンチャーズ(現MKSコンサルティング)、ササダ・ファンドと2つのファンドに渡った末、大和ハウス工業の元にたどり着いた。
基本的にファンドは会社の企業価値を早期に高めて、何らかの形でイグジットすることで利ざやを得る。
畢竟、長期的、戦略的な手を打ちにくくなりがちだ。
今度は事業会社であるため、よりじっくりと、また多様な方法を駆使して、戦略的に企業価値向上に取り組めるのではないか。

大和ハウス工業も「スポーツによる生きがい作り」「余暇の創造」を標榜してWEBを通じたスポーツサークル活動の支援や地域住民への各種イベント・プログラム等の提供などに取り組んできたNASの良い面を継承し、これらにさらに自社の持つ流通店舗事業、マンション事業における開発や技術力に加えて、ディベロッパー事業における付加価値の創出、リゾート事業・ホテル事業とのシナジーの追求など自社グループの一層の企業価値増大を目指したいとしている。

日経紙の発表によると同社はNASに「経営幹部を派遣して経営テコ入れし、2010年度に売上高200億円を目指す」とのこと(2004年9月期の単独売上高100億円、営業利益6億円)。
同社広報部は、「(方針や将来ビジョンなど)具体的なことは決めていない。これから徐々に決めていきたい」と言っているが、土地建物の開発やリニューアル等に相応の資源を持つ同社のことだけに、フィットネスビジネスについて学びながら既存店のスクラップ&ビルドや新規出店などもテンポよく進め、きっと早い段階で成長軌道に乗るのではないか。
その成長スピードは新経営陣の手腕にかかっている。
奮闘を期待したい。

~ここまで~

大和ハウス工業買収後のNASスポーツクラブは、確かに大型総合クラブの建設を2010年代に進めることで成長したと言えますが、直近、2022年3月期の業績は、売上高 161億0800万円、経常利益 ▲31億4800万円とパンデミックの影響をもろに受けた業界企業の一つと考えられます。

親会社の知名度や実績が申し分なくても、この事実の前には、やはりフィットネスビジネスの複雑さ・奥深さを感じてしまいます。
近年は24時間ジムに参入する異業種企業が増えておりますが、個人的には何故この難しい事業に安易に飛び込めるのかが不思議でなりません。

お読みいただきありがとうございました。

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