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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論799」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第36号(2008.5.25発行)「独立系クラブが成功するために必要なことーMAC CEOティム・ロード氏に聞く」3~※名称等は当時、一部文章省略

ーMAC以外のクラブについても教えてください。

ティム:2007年に2軒の新しいクラブを開業しています。
1つは2つ目の旗艦店になるクラブで、延床面積が1500坪、ダウンタウンに建っています。
広さ300坪のジム、4つのプール、4つのスカッシュコート、6つのグループエクササイズスタジオを備えています。
多くの参加者がストレスを感じることなく、ヨガやピラティス、ボクシング、スピニング、キネシスなどのプログラムを朝や昼の混雑時も受けられるように特にスタジオを充実させています。
そして、もう1つのクラブは、私たちが「エクスプレス」と呼んでいる業態です。
こちらはまだ実験店であり、どれだけマーケットをコントロールできるかを試しているところです。
このクラブを始めた理由は、他社がこれと似た業態のクラブを月会費3900円程度で運営していけるのなら、私たちだって出来ないことはない、それなら(他社のクラブが進出してくる前に)自社でやっていようと考えたからです。
このクラブのロゴもMACと似させて「MAC EXPRESS」としています。
さらにショルダーには同様に「Achieve Wellness」と付けています。
こちらのクラブはMACの会員でしたら無料で利用できます。
逆にEXPRESSの会員は月に3回までなら利用できます。
両クラブとも定期的にマーケティングツールのイメージを変えてマーケットに発信しています。

ーEXPRESSの業態とは、エニタイムフィットネスやスナップフィットネスのような運営形態のクラブのことですね。

ティム:はい。
延床面積で200~350坪程度のジム中心のセルフサービス型の業態です。
こういうクラブは出店しやすく、オペレーションもしやすく、月会費が900~3500円と安いこともあって、特定の会員には利用もしやすいという特徴があります。
ただし、月会費があまりに安いので、クラブとしてきちんと利益が出せるかどうかはまだ疑問が残るところです。
これは業界としてもまだ検証されていません。
私どもも月会費を3900円に設定したモデルで今検証している最中です。
私たちのクラブがある商圏にも様々な新業態のクラブが参入してきています。
プラネットフィットネスや24アワーフィットネス、LAフィットネス、ライフタイムフィットネスなどです。
こうしたクラブは施設規模の大小は別にして、全て低価格のクラブです。
先程も話しましたが、もし他社がこうした低価格クラブで採算が取れるとしたら、私たちも指を加えて見ている手はありません。
私たちのやり方でこうしたクラブが狙っているマーケットに先に仕掛けるというオプションもあるのではないかと考えたのです。
私たちの考えたモデルはエクスプレスワークアウトとパーソナルトレーニング、それにスターバックスを一体にしてサービスを提供するものです。
カーブスやカッツ、エニタイムフィットネスなどの業態のクラブに通う顧客はきっと将来パーソナルトレーナーを付けたくなり、また簡単な食事やコーヒーもそのジムのそばで摂りたくなるだろうからカフェも備えました。
ストレングスは全てサーキットライン(エキスプレスワークアウト)で対応します。
2ライン用意しています。
カーディオマシンは36台用意しています。
20~30坪のパーソナルトレーニングスタジオも設けました。
ロッカールームには男女4ブースずつシャワーブースを付けています。
このタイプよりもう少し広いスペースに出店する場合は、サーキットラインとカーディオマシンをそれぞれ1ラインずつ増やします。
このクラブでは「クイック」というコンセプトを大事にしています。
こういう業態に反応する人々は効率よく、便利にエクササイズできることを望みます。
ですからカーディオエリアの名称1つとっても「クイックカーディオ」と呼んでいます。
エクササイズ時間も10分間・20分間・30分間にプレ設定しています。
ストレングスエリアも「クイックストレングスエリア」と呼んでいます。
フリーウェイトも少し揃えていますが、基本的にはサーキットトレーニングを中心にしてもらいます。
今は1ラインを自由に使えるようにしています。
パーソナルトレーニングエリアやストレッチエリアも使ってもらっています。
カフェの名前はエクスプレスにちなんで「MAC EXPRESO」とシャレました。
内装にも拘り、快適なイメージにしました。
特にロッカールームはクールです。
建築面積はおよそ210坪。
今オープンして6ヶ月が経ったところですが、現在の会員数は700名です。
十分な利益を挙げるために必要な会員数は1100名です。
この時、付帯収入を含めた売上はおよそ1億円になっているでしょう。
既に1100名まで集められる見通しはついているのですが、その後、どこまで会員数を伸ばすことができるかはまだ分かりません。
ですが、利益率で10%くらいは出せるクラブにしたいと思っています。
この業態は当社にとってオフェンス&ディフェンス業態でもあります。
もしこれができるならもっとMACの会員も増やすことが出来ることになります。
MACの会員のごく一部の方がエクスプレスの方に移行しましたが、それはそれで良いことだと思っています。
いずれ他社の同様な業態ができたら、移行してしまう方だと思うからです。

~ここまで~

記事のクラブのように、旗艦店である大型総合クラブ近隣に低価格業態が複数参入してくる状況は、日本でもここ数年で起こる未来であると言えます。

既にチョコザップが税別2980円で昨年から一気に全国展開しておりますが、これによって元々、数年内に出店していた24時間ジムの価格帯が、現在の7000円前後から3000円前後に引き下げざるを得ない状況になると考えられるからです。

その時、自社のクラブはどうあるべきか、今から戦略的、計画的に変化を企図しなければ、単なる価格競争に巻き込まれるだけであることを覚悟した方が良いと思います。

お読みいただきありがとうございました。

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