「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論281」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌(元々はクラブマネジメント誌としてスタート)のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~クラブマネジメント通巻第38号(2002.1.25発行)「パーソナルトレーニング」6~※名称等は当時、一部文章省略
■資料1
10.各トレーナーの短期的、長期的な売上目標は?
ヒューストニアンクラブは3人目のパーソナルトレーナーを雇えることになりました。
というのも先の2人がコンスタントに4,000ドル以上を売り上げられるようになったので、さらに売り上げを上げるためには、もう1人雇うことが1番いい方法だと思えるようになったからです。
もちろん、この新しいパーソナルトレーナーも同じ条件で雇いました。
ですが、この人は初めてのパーソナルトレーナーなのでいきなり最初の月から4,000ドルを売り上げることはきついと思いました。
そこで猶予期間を設定しました。
パーソナルトレーナーというのは、クラブのメンバーさんとスタッフとある一定期間親しくしていないと、なかなかお客様を作り出し、維持していくのが難しいのです。
ですから、いいパーソナルトレーナーを育てたいと思うなら、最初の数ヶ月は若干の固定給を出して、その期間で歩合制へ移った時の準備をして貰うという風にした方が良いと考えたのです。
またヒューストンは車社会なので、パーソナルトレーナーにとっても車は必需品です。
車を維持できるくらいの最低限の給与が確保できないとなると、いい人材が来てくれなくなるとも考えたのです。
これらのことから、私は入社したてのパーソナルトレーナーには固定給と歩合給を組み合わせた報酬システムを用意することにしました。
既存のパーソナルトレーナーの報酬は、売り上げの60~65%としていたので、これのおよそ半分の30%を歩合給とし1,200ドルを基本給とすることにしたのです。
このシステムは次のような計算をもとに考えました。
月4,000ドル×歩合給60%は月2,400ドルとなります。
それに対して月4,000ドル×歩合給30%は月1,200ドルとなり、これに基本給1,200ドルを足せば、同じ2,400ドルとなるわけです。
最初の3ヶ月間はこの報酬体系として、4ヶ月からは完全な歩合制へと移行することにしたのです。
~ここまで~
完全実力主義・成果主義に近い米国においては、歩合給を基本線としながらも、ソフトランディングできる上記の仕組みは有効であると考えられます。
翻って、日本の状況を考えますと、成果主義と過程主義の評価制度がいったりきたりしていると思います。
つまり、片方に振れた時に出てくるネガティブな現象を、止む無しとして流すことが出来ず、もう一方に振れてしまうという曖昧さが原因です。
これを意志が弱いと取るか、柔軟性があると取るかは、人によりけりだと思いますが、国際的な競争力という点ではマイナスとなるでしょう。
現在は、ジョブ型雇用が巷では注目を集めているものの、同様なことが繰り返されること大だとアバター近藤は感じております。
本日もお読みいただきありがとうございます。
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