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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論842」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第41号(2009.3.25発行)「コストマネジメント」2~※名称等は当時、一部文章省略

顧客視点でコスト効率を追求

企業のコスト構造は業種や時代によっても大きく異なるが、コストマネジメントを考えたときに共通して必要な視点が、固定費の低減である。
設備や人件費といった固定費の比率が大きいフィットネスクラブでは、特にコストマネジメントを徹底して固定費を最適化することで、売上の増減による著しい業績の変動を緩和することができる。

固定費の低減は効果的なマネジメントであることは確かだが、もちろん固定費を極限まで削減すればいいということではない。
そこには必ず「顧客視点」が求められる。
元ウィスコンシン大学マーケティング学部教授でクラブ経営の経験もあるチャーリー・スウェイン氏は、フィットネスクラブでコストの効率化を図る場合には、メンバーへの影響を優先し、プロモーション、プログラム、人、価格、設備、施設の順番にメスを入れるべきであるとしている。
クラブのタイプや資源の状況、クラブの持つ差別的優位性によって、その優先順位は変わってくるが、いずれの場合にも会員の満足度を考えて質を下げないコストマネジメントを図ることが、最終的なクラブの利益につながると言える。

「ライフサイクルコスト」の考え方

ライフサイクルコスト(LCC)とは、製品や商品、建造物などにかかる費用を、製造の段階だけでなく使用から維持、廃棄までトータルして考えたものである。
施設や設備、備品などのコストマネジメントには当然このLCCの視点が無くてはならないが、短期的な利益ではなく長期的な価値に焦点を合わせるというその概念は、必ずしもモノだけでなく、フィットネスクラブのコストマネジメント全体に取り入れられるべきものである。

長期的な視点に立ち、顧客満足度やクラブのクオリティを犠牲にしない範囲でコストを管理し、顧客と自社の利益を最大化するために分配していくというバランス。
それこそがコストマネジメントでは重要になる。

~ここまで~

総合型クラブやジムスタ型クラブなど比較的規模の大きいフィットネス施設は、業種転用が難しく、運営企業が撤退する際に、同業他社の引き受けを模索するケースが多いと言えます。

つまり、ライフサイクルコスト(LCC)の視点だと、非常に効率が悪い建造物であるということです。
また、脱炭素といった環境保全の観点でも、ランニングマシンなどの有酸素系マシンの電力消費や大型ゆえの空調設備肥大化、シャワー・スパ施設の水道光熱使用量など時代にそぐわない無駄が生じているように思います。

近年益々、企業の経営スタンスと消費者の選好が密接に絡み合うようになってきておりますので、この辺りの遅れもパンデミック以降の業績回復が業種比較で緩やかに留まっている要因の一つかもしれません。

お読みいただきありがとうございました。

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