「アバター近藤が解説する業界史～逆タイムマシン経営論693」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
～Fitness Business通巻第24号（2006.5.25発行）「世界の動き～フィットネスクラブの空間設計の行方」1～※名称等は当時、一部文章省略
未来のフィットネスクラブはどんな姿をしているのだろうか。
そのクラブの空間設計やそこで提供されるエクスペリエンスを決定付ける要因は何であろうか。
そのクラブを頭の中に思い描いた時にどんなものが見えるだろうか。
洗練された最新のマシンの列であろうか、それとも最新のハイテク素材やリサイクル素材、目先の変わった素材などを駆使した内装であろうか。
それともバーチャルなコーチングエリアであろうか？
テクノロジーや素材の革新は当然クラブの施設や空間設計に影響を与えることだろう。
しかしながら、クラブの姿に最も深遠な影響を与えるのは、そのクラブをどのような人々がどう利用するか、ということである。
未来のクラブの利用者とはどんな人たちなのだろうか。
様々な統計データから言えることは、その利用者数が拡大の一途にあること、幅広い年齢層・階層の人々が含まれるようになること、またその高年齢化である。
「クラブビジネスインターナショナル」誌が、フィットネスクラブの施設開発のエキスパートである建築家やデザイナー諸氏に、5～10年後のクラブの姿について尋ねたところ、彼らが描いたビジョンの根底にあったのは、「テクノロジーの革新」と、「ベビーブーマー世代の高い要求と期待に応える必要性」であった。
今後、この2点がクラブの姿を大きく決定付けていくだろう、ということである。
劇場的な空間を演出するエントランス
ボストンを拠点に、クラブの施設開発を専門に手掛けるグラハム/メウス設計事務所の所長、ダン・メウス氏は、クラブのエントランスは、足を一歩踏み入れた瞬間に感動と興奮を呼ぶような、洗練された開放的でハイテクな空間になるだろうと予測する。
「エントランスは、成功と永続性とを想起させる上質感・上流感のある場所となるでしょう。また、レセプションは人々の出会いの場であるとともに、クラブの様々なアクティビティの場へと通じる、いわば劇場の入り口とも言うべき場です。レセプションはそこを訪れる会員が、会員であることを誇りに感じられるような場でなくてはなりません。」
メウス氏は、クラブの内容については、竹の床やリサイクル素材で作ったカーペット、環境保護基準を満たした森林から切り出された木材など、環境に優しい素材や植物由来の素材が使われるようになると予想する。
また、鋼材、アルミ、カーボンファイバーといったハイテクかつメンテナンスの容易な素材も多用されるだろうと語る。
さらに、照明については、ＬＥＤ照明、プログラミングが出来て多様な演出が可能な照明器具、自然光に近い蛍光灯といったものの使用が増えていくだろうと予想する。
同氏は、全体にレセプションエリアで用いられる素材は、より洗練された高級感のあるものになっていくと述べると共に、エントランスやレセプションについて、以下のように推測する。
「今後、自然光を採り入れると共に、外部に対してクラブの様子をショーケース的に見せるような、大きなガラスの壁が多用されていくことでしょう。
また、メンバーの集う場として、様々なショップやレストランを併設する動きも増えていくでしょう。さらに、テクノロジーの革新により、大きなフラットスクリーンのディスプレイでプログラムのスケジュールやエンターテインメント映像が映し出されたり、クラブ内で無線のネットワークが利用可能になることは必至である。
～ここまで～
5～10年後の未来を想像した上記の各コメントは、記事から15年以上経った現在、欧米においてはほぼ実現していると言えます。
欧米の各クラブは、日本市場よりも競争が激しいこともあり、差別化に熱心に取り組み、その結果、空間設計においても、エッジを利かせたアイデアが具現化されてきました。
翻って日本国内のハード志向型ジムを見渡すと、効率重視の空間設計がほとんどであり、未だに看板を付け替えても、何ら違和感がないクラブが大多数です。
この辺りの意識は、当然ながら顧客の集客や帰属意識にも大きく影響を与えていると考えられます。
お読みいただきありがとうございました。
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