「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論356」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第5号(2003.3.25発行)「バブル崩壊後のクラブ業界」5~※名称等は当時、一部文章省略
資金調達は現在株式公開している2社以外のほとんどが間接金融に頼っている。
例外としてスィンクがVCを、スポーツプレックスジャパンとNASがファンドを活用している。
だが、これら各社の評価はまだ定まっていない。
有能な経営者が出れば、資金やノウハウを提供するベンチャーキャピタル、ファンドももっと出てくるだろう。
数年以内に数社が株式公開を予定しているが、資金供給源としては、現状ではVCやファンドの方が効果的だろう。
1~2店舗しか経営していない中小の独立系企業の中で収益力が弱まっている企業は、銀行の貸し渋り、貸しはがしに苦しんでいる現状がある。
外資系企業の進出については、単独で行ってくることは考えにくいが、日本のクラブビジネスに精通した若く有能な経営者に大胆に権限を委託して進出するならば、成長できる可能性は大きい。
日本では「ブランド」だけでは通用しない。
逆に日本企業の海外進出だが、現時点では一部企業がアジア地区に1~2店舗進出している程度で、それ以外はほとんど見られない。
これは、多くの経営者が資源を事情のあまり分からない他国に投入するよりも、国内に集中させた方が効率的であり、リスクが少ないと考えているからである。
日本のクラブ市場は参加率が2~3%と低く、クラブ数も少ないため、出店余地も十分残っている。
既存店についてもハード・ソフトを刷新することで成長できるところは多い。
新しい業態の開発にも期待がかけられる。
景気低迷が長引いているとはいえ、人口構造的、社会的にフォローの要因が多いため、クラブ側の努力次第ではまだ十分成長していけるものと思われる。
「調整期」が終わる2005年末くらいからは再びプラス成長するだろう。
野村證券株式会社金融研究所のアナリストS氏も「フィットネスクラブ市場は様々な価格かつ業態のクラブが出現してくれば、中長期的に拡大する可能性が大きいだろう。特に高齢化の進展により健康意識を持つ中高年層が増えてきていることが背景にあることが大きい」と語っている。
~ここまで~
記事当時、とある業界ベンチャー企業に属していたアバター近藤は、実際にVCが投資してくる状況をつぶさに見る機会がありました。
もちろん、投資をしたいと思わせる状態に持っていけたことは素晴らしいことですが、VC担当者とお話をすると感覚の違いを実感したものです。
担当者は威勢よく、20~30店出店し、数年後には株式上場しましょうなどと言いますが、現場を知る身としては、1店出店するのにどれだけの労力と手間暇が掛かるか考えて欲しいと率直に思ったものです。
当然ながらVCは、出来るだけ早く成長(ここでいう成長は売上・利益のこと)して貰って、株式売却による出口を確実にしたいと考えますので、顧客と向き合う現場の肌感覚とは次第にズレていきます。
従いまして、この業種特性とマッチしない資金調達方法は上手くいかなくなる運命にあると考えるのが自然だと思われます。
本日もお読みいただきありがとうございました。
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