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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論716」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第27号(2006.11.25発行)「IHRSA調査研究:人はなぜ入会しないのか」2~※名称等は当時、一部文章省略

本人の意欲、社会的な影響、実現可能性、という3つの要素が、それぞれにどの程度、クラブへの入会に影響しているかを推測するのは、かなり複雑な作業であり、それを調べるためには洗練された手法が必要となる。
調査チームでは、それぞれの要素の貢献度を測るための質問項目を調査票の中に組み込み、それらを数値化できるようにした。
この数字を見れば、回答者が3つの要素それぞれについて相対的にどのような状況にあるかが分かり、それを足した総和を見れば、回答者がクラブに入会する可能性の度合いを予測できるというわけである。
また、回答者がこれら3つの要素のどれから最も強い影響を受けているかということも推測することができるため、より効果的に人々の行動に影響を及ぼす対策を打つことが可能となる。

例えば、クラブでエクササイズすることについて、予定行動理論の3つの要素についてどう感じているかをマイナス50からプラス50の数字で答えて貰う。
これを足し合わせると、クラブでエクササイズすることの可能性についてマイナス150からプラス150の範囲で示されることになる。
当然のことながら、マイナスが大きければ、クラブでエクササイズするという行動に対してネガティブな状況にあり、逆にプラスが大きいほどクラブに入会する行動を取りやすい状況にあることが分かることになる。

一般にクラブ経営者は、施設の設備やプログラムなどの工夫を通じて、潜在顧客の「本人の意欲」という要素に働きかけている。
しかしながら、その潜在顧客が、家族の理解やサポートを得られないとすれば、その人に入会してもらうことは困難かもしれない。
予定行動理論を取り入れた調査では、顧客セグメント毎にこれら3要素の影響の度合いを分析することも可能である。
例えば、入会可能性の総合的なスコアが男女で同じだとしても、個々の要素を見れば、男性が「本人の意欲」の平均スコアが低く、「実現可能性」の平均スコアが高くなっているのに対して、女性では「本人の意欲」のスコアが非常に高いのに「実現可能性」のスコアが低くなっているということもありうる。

男女差について言えば、本調査では、女性はクラブに対する興味が男性よりも一般的にも高いものの、異性と同じ場所でエクササイズすることについては好ましく思わない人も多く、それについては総じて中立的であることが分かった。
一方男性は、異性と同じ場所でエクササイズすることについてはどちらかというと望ましいと考えていることが分かった。
また女性は男性と比べて、クラブに通うことで、見た目、自己イメージ、また健康状態が向上すると考えている割合が高かった。

こうした調査結果を見ると、男女間でクラブに対する感じ方や期待に差があることがはっきりと分かる。
だとすれば画一的な施設やプログラム、サービスを男女双方にわけ隔てなく提供するという戦略は効果的ではないということになる。
今後、本誌では、このIHRSAとジョージ・ワシントン大学の共同調査からさらに多くのデータを紹介し、顧客セグメント別にどのような違いが見られるのかについて明らかにしていく予定である。
本稿では男女間の違いについて触れたが、世代間や他の切り口での違いも明らかにしていく。
我々が「人はなぜ入会しないのか」という問いに答えを見出すことが出来れば、効果的なプログラムやアプローチを形にすることができ、「なぜ人は入会するのか」さえ語れるようになるだろう。

~ここまで~

記事内の解説は、残念ながら、結論も出ていなく、よくよく読んでみるとキャリアのある業界関係者であれば、そうだろうなと思う内容であり、少し肩透かしの感がありました。

もちろん「社会的な影響」や「実現可能性」に対する配慮は必要で、それに少しでも応える仕組みを作ることは大事であるものの、やはり「本人の意欲」に関するスコア上昇の為の方法論を掘り下げて欲しかったのが正直なところです。

それが分かれば苦労はしませんが…普段知らないような理論からの新しい見地があると有難いと思った次第です。

お読みいただきありがとうございました。

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