見出し画像

「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論811」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第37号(2008.7.25発行)「IHRSA成功のプロフィール2007年版」~※名称等は当時、一部文章省略

「成功のプロフィール」はIHRSAとコンサルティング会社のインダストリー・インサイツ社が毎年共同で実施している調査で、2007年度版ではIHRSAに加盟している全米及びカナダの129のクラブ企業、クラブ数にして880軒超から2006年度の業績ベンチマークデータが提供された。
その報告書によれば、業界は売上、利払前税引前償却前利益、会員数、付帯収入、設備投資といった全ての指標において手堅く成長を続けている。
中でも特筆すべきは、会員数の伸長である。
1996年に2620万人だった会員数は、過去10年で63%増加し、4300万人に達した。
2004年、2005年と4130万人前後で横ばいを続けていたが、ここにきて再び上昇傾向が見られる。
会員数の伸びに伴い、売上も上昇トレンドを見せている。
IHRSAの推定によれば、2006年度の全米クラブ業界の総売上は176億ドルに達し、前年度の159億ドルを11%近く上回った。
本調査に協力したクラブの売上は前年比で5.4%伸びている。
また、1平方メートル当たりの売上が6.6%増えていること、利益率が3ポイント以上向上して11.3%に達したことは注目に値する。
会員定着率も、2005年度の70.7%から73.3%へと向上した。
調査に協力したクラブでは、2006年度の延べ会員利用者数の平均値が24万4284人(中央値は15万796人)で、延べゲスト利用者数の平均値は3745人(中央値は2185人)であった。

会員定着率が全ての業態のクラブにおいて上昇していることにも注目したい。
「安定した顧客基盤に支えられたクラブは、パーソナルトレーニング、ラケットスポーツ、スパ関連サービスといった利益率の高い事業に集中することができます」とIHRSAシニアリサーチマネジャーのケイティ・ロラウアー氏は指摘する。
調査に協力したクラブでは、売上の平均10.3%がパーソナルトレーニングからもたらされている。
またラケットコートを併設するクラブでは売上の平均6.7%がラケットスポーツからもたらされており、2.6%がスパ関連サービスからきている。
会員一人当たりの年間売上も前年比で5.5%増加し、741.8ドルに達した。
典型的なクラブにおいて、付帯収入が売上全体に占める割合は32%近くに達し、業界が消費者のニーズに適合したサービスを開発できていることを裏付けている。
「こうしたトレンドは、クラブがディスカウント競争を避け、新しい会員を惹き付けようと努力していることを示唆しています」とロラウアー氏はコメントする。
それだけではない。
調査に協力したクラブの実に97%が、前年の2005年から価格を引き上げていることは、大変喜ぶべき傾向と言える。
約半数のクラブは会費を平均4%引き上げており、48%のクラブはプログラムやサービスの利用料を引き上げた。
さらに喜ばしいニュースとしては、全ての業態、全ての価格帯のクラブが利益率を向上させたことである。
利払前税引前償却前利益の売上に対する比率は20%~22%のレンジにあった。

こうした成功の背景には、設備に対する健全な再投資が行われていることがある。
多くの企業が売上の5.2%程度、1平方メートル当たり2.6ドル(1坪当たり92.5ドル)程度を投資して、施設、マシン、システムなどをアップグレードしている。
積極的なクラブは1平方メートル当たり7.7ドル(1坪当たり274ドル)程度を投資し、売上増、会員増、定着率向上、利益率向上といった点で他のクラブを上回るリターンを手にしている。

~ここまで~

現在、日本国内では燃料や資材、食料品等の輸入コスト上昇に伴い、あらゆる分野で値上げが続いている中、ここ30年のデフレ時代から本格的なインフレ基調に転換されるか疑心暗鬼の状況が続いています。

記事は、リーマンショック前夜の米国業界状況を示しておりますが、学ぶべき点は、業績好調の時に積極的な再投資を行い、それに伴い値上げを適切に行っていることです。

国内フィットネスクラブの多くは、ここ1~2年、価値向上を伴わない値上げを相次いで実施しており、業界に理解ある方々から見ても本当に高くなったと感じていることでしょう。
「投資なくしてリターンなし」は、やはり経済の基本原則ということで、ハード、ソフト、ヒューマンの分野は問わず、価値を感じて頂く努力・積み重ねの末に値上げを実施すべきだと改めて思いました。

お読みいただきありがとうございました。

宜しければサポートお願い致します!