見出し画像

「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論833」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第39号(2008.11.25発行)「業界のベテランに、経済の荒波に立ち向かう術を聞く」~※名称等は当時、一部文章省略

事業環境が金融危機に翻弄され、クラブ企業各社の第3四半期の業績は低迷した。
先行きに対する不透明感が漂う中、どのようにクラブを運営していけば良いのか、そのアドバイスを、クラブ業界にオーナーとして、経営者として、教師として35年間携わってきた業界屈指のベテラン、リック・カロ氏(マネジメントビジョン社社長)に伺った。

ークラブに最も大きな影響を及ぼしている要因は何でしょうか。

現在、ほとんどのクラブが、多種多様な競合に晒されています。
具体的には、他の民間クラブ、公共の施設、病院系のウェルネスセンターなどです。
家計が苦しくなり、雇用への不安も高まる中、価格面での見直しを迫られているクラブは多いと思います。
マーケティング手法を見直したり、マーケットにおけるポジショニングの再考が必要になるクラブも出てくると思います。
会員一人当たりの売上の分析もこれまで以上に重要になっていくでしょう。

ーこうした要因は現在、クラブにどのようなインパクトを及ぼしているのでしょう。

多くのクラブにおいて新規会員獲得数が下がってきています。
当然これは売上減へと繋がります。
経済的要因を理由に退会する会員も増えていると聞きます。
法人顧客が減っているクラブもあるようです。
マーケティング予算を削減して、予算をマス広告からオンラインマーケティングへとシフトしたり、既存会員からの紹介を促進したり、というクラブも多いようです。

ー現在の厳しい状況に各クラブはどのように対応しているのでしょうか。

上で挙げたような動きは正しい動きです。
経営者は、マーケティングの費用対効果を厳しくモニターするとともに、見込み客のトラッキングに力を入れています。
セールスのプロセスを見直したり、研修を強化するところも多いようです。
会費外収入を増やし、コストを削減すべく、有料プログラムの利用状況を厳しくチェックして、人気の無いプログラムを廃止したり、施設への再投資を凍結するクラブもあるようです。
売上の低迷をコスト削減によってカバーし、利益ベースでは前年と同程度(もしくは微減)の業績を達成したクラブが多いようです。

ークラブがもっと注力すべきことがあれば教示ください。

コスト管理は非常に重要で、継続してコミットしていくべきです。
毎月、またシーズン毎に人員配置は見直すべきでしょう。
また、経営に関する良い兆候や悪い兆候を早い段階でキャッチし、早め早めにアクションが取れるよう、様々な指標をモニターしていることが必要です。
例えば脱落寸前のメンバーを予測できれば、そうした人々に積極的に働きかけて退会率を改善することができるかもしれません。
また賃料を再交渉したり、ローンの借り換えを行ったり、保険料を見直すことで、固定費を圧縮していく努力も重要です。
芝生の手入れ、電話代や光熱費といった小さな費目にも目を配りましょう。
コスト削減はそのまま収益改善に繋がりますから。

ー現在の状況に何か明るい側面はないのでしょうか。

オーナーによっては、賃料の引き下げに応じてくれる場合もあるかと思いますが、オーナー負担の補修等については、逆に渋るケースが多くなると予想されます。
建設費用は上昇傾向が続いていますので、その方面で期待できることはあまりないでしょう。
フィットネス関連のサプライヤーについては、価格や各種の購入条件、補償期間等について交渉の余地が拡大していると想定されます。
複数のクラブが共同購入を行い、価格交渉力を増すというような動きも見られます。
メンバーのエクスペリエンス、より良いシステム、コスト管理の強化、より効果的なマーケティングとセールス、不安定な顧客の定着、財務構造の強化といった、経営の基本的な部分の強化に地道に取り組むクラブは、景気が回復した時に大きく飛躍することが可能になるでしょう。

~ここまで~

現在の国内フィットネス事情は「多種多様な競合に晒されている」「新規会員獲得数が下がってきている」など、米国の記事当時の事情に近しいと言えます。

当社はと言えば、まさに上記に書かれている方向性、施策のほとんどをパンデミック以降、実施し、厳しい中でも何とか業績を作っていったと振り返ることができます。

さらに今後は、コスト管理の部分でもかなりシビアに見直していく中で、引き続き続くであろう荒波を乗り越えていきたいと考えております。

お読みいただきありがとうございました。

宜しければサポートお願い致します!