おばさんは昭和女子

操作系お女子

おば友は、おじさんに容赦ない態度を取るせいか、女性、特に若い女性に対しても、とても厳しいと思われている。でも、おじさんが想像するより、ずーと優しい。時々、若い子から男前と呼ばれるほど紳士的に優しいおばさんもいる。大抵、おじさんに好かれるような性格の良い若い女性は、おばさんにも好かれ優しくされているはずだ。おじさんから見て、おばさんが厳しすぎるように見えるのは、おじさんにしか好かれない女子だ。おじさんからすると、こんなにも可愛らしくて気がつく良い子におばさんがキツくあたるのは、若さへのジェラシーと解釈しているようだが、おばさんはそんなにも了見が狭くない。おばさんは、若さが持つ可愛らしさゆえにおじさんが見過ごしがちな操作系お女子が嫌いだ。おばさんは操作系お女子にはとても厳しい。
「ちょっと、総務課のM子ちゃんが、あなたが課長の仕事が遅くって困るってぼやいてたって飲み会の席で課長にご進言してたらしいわよ」後輩ちゃん情報をおばさんH子がB子に伝える。
「あ、あの2年目のちょっと可愛いい子ね。課長が指示が遅くて仕事が遅れるのは本当の話しだけど、後輩に愚痴なんか言った覚えはないけど」
「確かに、かげ愚痴より、心配するぐらい行動で示しちゃうタイプだものね」
笑、笑、笑。
「でも、何で私が言ってたなんて嘘を言うんだろう。理解しがたいわ」とB子。
「あなたをダシにして、課長へ味方アピールでもしたかったってところじゃない」とH子。
「嘘までついて課長に取り入るなんて、心が貧し過ぎる。可哀想」とおばさんC子。
「本当、可哀想な話よね。おじさんの嘘は許せないけど、若い子のこの手の嘘は許容範囲ね。嘘をついてバレれば信頼出来ない人間のレッテルを貼られてしまうし、そのうち天罰が下るわ」とおばさんB子。B子は強いものには牙を向けるが、弱いものにはめっぽう優しい任侠女子だ。
「天罰って、ちょっとレトロね。さすがに昭和女子って感じする」
笑、笑、笑。
「その子のって嘘じゃなくって、たちが悪いやつかもよ」とおばさんS子。
「どういう事?」
「O子が言ってたけど、この前、M子ちゃんとたまたま二人っきりになった事があって、この頃、部長、カリカリして八つ当たりばかりしていると思いませんか?って聞いて来るから、そうね、仕事も大変だし、お子さんも受験だから本当に大変よねって答えたんですって。そしたら、M子ちゃん、会議の合間の時間に部長が心労や家庭の事で周りにキツくせざるを得ないほど疲れてるとO子さんが心配していらっしゃいました、とO子のいる前で部長に言ったらしいの。M子ちゃんから尋ねられたから、部長を庇うつもりで言った言葉だったけど、サックっと切り取るとM子の言ったことは嘘じゃないからその場で否定出来なかったんですって。部長、自尊心の強いタイプじゃない。ちょっとムッときたみたいで、それから何となく部長との間に緊張感があるらしいわ。陰で後輩相手に偉そうにボヤキまくってるおばさんってレッテル貼られちゃったみたいで、ほーんとやんなっちゃたって言ってたわ」とおばさんY子。
「そう言えば私も、あの子と二人きりの時に、
課長って方針をなかなか決めないから、仕事が遅れてしまって残業続き、課長って能力がないと思いませんか?みたいな事をふられて、この子も課長の下で大変なんだと思って「そうね」って相槌を打った事があったけどけ、それが私が課長の能力がないって後輩にぼやいたって事になるっていうこと」とB子。
「M子ちゃんて完全な操作系お女子じゃない。自分はそう思ってないけど尋ねただけ。尋ねた相手が肯定しているんだから、相手はそう思ってる。嘘をついている訳じゃない」
「ふふ〜ん、これはなかなかに邪悪、昭和女子の倫理観から言うとアウト、許しがたいわね」
「悪い事だときちんと認識して貰わなきゃいけないレベルよ。天に代わってお仕置きだわよ」
笑、笑、笑。
おばさん予備軍の若き乙女たちよ。乙女心からでた嘘は、傷つくのは自分なのよとおばさんは優しく許してあげる。でも、おばさん相手に操作を仕掛けて来るんじゃない。それは、おばさんにケンカを売る行為だ。売られた喧嘩は絶対に買う。若い子相手に大人気ない?何をか言う、それが昭和女子だ。半澤直樹は「3倍返し」だが、おば友に操作をかけると、聴いて同調したおば友の数だけ反撃を受ける。M子ちゃんは、5倍返しだ。


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