おばさんは良く笑う

挨拶

挨拶と言うと朝なら「お早うございます」、昼であれば「こんにちわ」、晩であれば「こんばんは」。加えて夜勤のある仕事や公務員系の「お疲れ様です」が定番。こんな日常の挨拶一つでも、おばさんは盛り上がる。
「挨拶で「おばんです」て使う?」とおばさんA子。
「まあ、あんまり使わないよね」
「でしょう。マンションで同年代ぽい人が「おばんです」って挨拶して来たの。「こんばんは」って言い返したわ。だって私も「おばんです」て言ったら何か名乗りあっている気がするじゃない」
「気にし過ぎ。でもおばさん同士が「おばんです」て挨拶しているのを想像するとちょっとウケるけど」
笑、笑、笑。
「若い頃には気にならなかったから、そう言うお年頃になったってことね」
「朝、まだ化粧崩れしていない顔で気合いを入れて「お早う」って声をかけたのに「お疲れ様です」と若い子に言われてしまうと「まだ疲れていませんけど」って思わずツッコミを入れたくなるわ。まあ、大人げないからがまんしてるけど」
「小姑ね。いちいちツッコミ入れると面倒なおばさんって言われちゃうわよ」
笑、笑、笑。
「今度入って来たJ君。挨拶バッグンに感じイイけど」
「ああ、あの体育会系の男子でしょう。B子もお気に入り〜って騒いでたわ」
「あの子、あだ名をつけて話をするらしいの」
「へー、課長は?」
「めがね」
「主任は?」
「メタボ」
笑、笑、笑。
「私たちにもついているのかしら?」
「妖怪軍団って呼んでるようよ。一人一人はメンバーさんて言われてるらしい」
「まあJちゃん勇気有るわね。許せてお局でしょう。砂かけババーなんて思ってるわけ」
「口から毒を吐く新種の妖怪じゃない」
「毒なんか吐くのは怪獣でしょ。妖怪は吐かないから」
笑、笑、笑。
「何で妖怪なのかしら。妖怪ぽいことなんかJちゃんの前でした事あったっけ」
「気になったから後輩ちゃんに探りを入れさせたんだけど。」
「で、わかった?」
「人を食って生きてそうだからだって」
「えーお上手〜!!」
座布団3枚と言いながらおばさん一同大笑い。



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