#29「部下を評価する時の2つの軸」

本日は私が部長として部下を評価する時に考えている二つの軸、基準についてお話したいと思います。

現代の会社組織では部門長が部下の評価をおこない、これを基礎としてボーナスの査定や昇給を検討することになります。
この形態が良いかどうかについては、私は疑問があるのですがここではこの問題はさておき、今はこのような状態にあるし、多くの企業がこのようなシステムで回っていると思います。

私が評価の軸としているのは、実績と将来性の2軸です。

まあ、普通ですね。
でも、この2軸は抽象的であり、どのような行動を評価しているのか、具体的にあげることで、自分の行動の見直しをするとともに、若い方には参考になればと思います。

まず実績です。
私のしている仕事は技術系の仕事で、部署ではいろいろな顧客から依頼が来ます。年間100件以上の案件が依頼され、これを8名ぐらいで消化しています。
仕事のスタイルとしては、チームで取り組むような案件は年間数件であり、各案件毎に案件の責任者を選定し、仕事をおこなっています。
ここで、案件によって顧客の性質、技術的難易度、連携する部署との難易度、会社に寄与する貢献度、等が異なります。
私は、これらの案件毎に、難易度が高い業務は点数が高く、容易なものは点数を低くなるように点数を付与し、管理しています。
実績は、評価する時点での担当した業務の点数の合計で算出し、難易度の高い業務を沢山実施した部員の評価が上がるようにしています。
肝心なのは、会社としては売上が重要であり、高い受注金額の案件ほど良い案件となるのですが、技術的な仕事をしている私の部署では、金額はさておき、技術的器量が問われる仕事ほど、実績として配点が高くなるようにしている部分で、部員が何を目指せば評価が上がるかということを明確にすることだと思っています。

次が将来性です。
仕事というのはある程度経験を積めばできるもので、できるようになっているのが会社組織です。
ですから、仕事を与えられて、それをこなしていればおのずと仕事は出来るようになって、先に述べた実績は積み上げることが出来るようになります。
しかし、この実績を積み上げるというのは、現在の会社組織の中での話しであり、会社が作り上げてきた範囲での活動です。
会社は様々に変化する社会に適合し、その形態を変えていく必要があります。
適応できなければ停滞し、退化します。
つまりは、会社組織の中での実績と、会社自体を存続するための実績は異なる訳です。
将来性というのは、もちろん会社組織内での実績の積み上げが、今後できるかどうかということもありますが、さらに重要なのは、変わり続ける社会に適合するため、今の会社組織の問題点を指摘できるような、そういう視点を持つということです。
このような視点は、通常は経営者がしっかりと持って判断すべきではありますが、実務をしている人間が気付いて、それが会社の活動に活かされることが最も重要だと私は考えています。
実務経験も無いような、あるいは経験はあっても古い経験での経営者の判断というのは、技術職をしている私のような人間からすると、とても危ういと思っています。
もちろん、視座の問題で、実務をやっている人間からは判断できないような方針もあるでしょうが、ここでは部署での評価ということですので、この点は省きます。
具体的な評価基準としては、業務の実施に必要となる資格の取得に意欲的であるとか、技術仕事をしていると学会等での技術発表というのがあるのですが、こういうことに積極的に取り組むであるとか、部署内の会議において協議しているとき、本質的な意見を出す、といったことから判断しています。
この部分の評価基準は、協調性・資格取得・コミュニケーション等といった項目別で表にして、項目毎に具体的に、こういうことが出来たら点数は何点というように、事前に公表することで、部員の一定方向への方針のある行動目標を示すようにしています。

ということで、本日は部門長をしている立場として、どのように部員を評価しているのか、ということについてお話させていただきました。
点数化というのはなかなか難しくて、この部分を部門長の主観に頼っている組織が多いと思います。
私の会社でもほとんどの部署や、かつての上司もそうでした。
私は、これでは部員が具体的な目標や方針に向かって努力しようが無いと思い、点数化ということに取り組んでいます。
点数化は項目と配点が非常に重要で、会社や部門によって全く異なると思っています。
公平かつ有効に機能させるのはとても難しいです。

お聞きの皆さんも、私のような立場であれば、公平に会社の発展に寄与するような判断基準を作るのは難しいと感じて悩んでいらっしゃるでしょうし、若い人達は、方針がはっきりしないや、公平で無いと不満をもっていることもあると思います。
評価する側・される側の両方が、両方の立場に立って、考えて、納得し合う関係を築くことが何より大事だと思います。

本日もご視聴いただきありがとうございました。
ではではまた

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