#9「災い転じて福と成す」

台風9号「メイサーク」が2021年8月9日に通過しました。
今現在、熱帯低気圧に変わった台風の影響で、東北地方にて大雨の被害が出ているようですが、西日本豪雨や九州豪雨のような大きな被害は報道されていないようです。
しかし、私にとっては、この台風9号「メイサーク」は、大きな被害をもたらしてくれました。
私は遊漁船の船長になりたくて、船を所有しているのですが、この係留している船のアンカーロープが切れたようで、なんと港の岸壁に座礁してしまったんです。
さらに、テントの屋根は吹き飛び、魚探を駆動させるためのソーラーパネルは壊れてしまいました。
この後また釣りを再開できるようにするには、数日の労力と5万円ぐらいの出費が必要となります。
ここで感じるのは、大規模な災害が発生した西日本豪雨や九州豪雨の時、私の住んでいる地域ではほとんど被害が無く、自分としては大きな災害があったという実感が少なかったんです。全く関わっていないかというと、災害調査にも参加しましたし、実際の大災害の現場も見ているので、普通よりもかなり間近で災害を見たはずなんです。
そう、見たんですよね。体験はしていない。
自分が被害者にならなければ、どんなに大災害も、自分事にはならない。
さらに拡大解釈すれば、戦争とかも「対岸の火事」なんですよね。
言葉や概念としては解っているつもりで、そういう災害現場とかに行く場合は、かなり自分で意識して、災害を体感しようとするのですが、やっぱりほんとの意味で体感できていないというのが、今回よく分かりました。
大災害に比べたら、今回私が受けた台風被害など微々たるものなんですが、自分にとってはこれまでの大規模な台風災害よりも、今回の台風の災害感がすごくある。
そういうことに気付いた台風でした。
そして、この座礁した状況なんですが、自分だけではどうしようもないわけです。
そこで、同じ漁協の漁師さんが風雨の中手伝ってくれて、なんとか仮復旧まではできました。
私一人では全く何もできない。
本当に有り難いです。
こういう感謝の気持ちを持てたのも、今回の台風の結果でした。

私は船を係留しはじめて1年ちょっとなんですね。
もちろん、仲の良い漁師さんがいて、その人にいろいろと手伝ってもらって今の状況があるわけですけれども、今回船が座礁した切羽詰まった状況で、その漁師さんはお出かけしていていなかったんですね。
で、私は実はかなりの人見知りでして、これまで港にいても、挨拶ぐらいはするけど、ほとんど他の漁師さんと話しとかしてなかったんです。
漁師さんもシャイなんだと思うんですが、なんか話しとかできなかったんですね。
でも、今回助けてくれて、雨風の中一緒に作業してくださった。
私としては、なんか一歩近づけたような、距離が縮まった気がします。
情けない話しですが、仕事がからんでいれば、かなり割り切って人と話ししたり、接したりできるんですが、プライベートだとほんとに人見知りで、あまり他人に積極的に話しかけたりできなんですよね。
でも、こういうきっかけがあると、仲良くなれる。
そういう意味で、今回の台風被害は痛かったですが、得られたものもあったと思いました。

ということで、台風9号の被害にあって、本当に災害の被害にあうということが実感として理解できたこと、他の漁師さん達にちょっと近づけたことが、被害にはあったものの、よかったこともあるなと思えた話しでした。
本日もご視聴ありがとうございました。
ではではまた!

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