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金利高・ドル高・金高は何を示しているのか?


本来、金利とドルは相関します。
ドル高・金利高は正常です。


ドル高になると
金価格下落します。

2024年3月末の現時点では
ドル高と金高が同時に起きています。

これはなぜでしょうか?


ドル高がドル高でない状態

ドル高とは対円や対ユーロで
計られる場合が多いです。

世界的な通貨安に陥っている場合
通貨安同士を比較しても
片方が通貨高とは言えません。

例えば端的に言うと

円安になると必然的に
ドル高になりますが

価値が下落している円と
比較しているから
ドルが高くなっていると錯覚している
シチュエーションもあり得ます。

日本の経済成長が活発であり
米国の経済も好況である状態で
ドル高であれば
ドルの価値は高いと言いきれますが

円の価値が下落している状態で
ドルを比較対象に選定してしまうと
ドルが強く感じられます。


ドル高と金高が同時に起きる

金価格が上昇している時点で
ドル高ではなく
実質ドル安になっています。

ドル高であれば
ドルの価値が高いため
相対的に金価格は下落します。

地政学的リスク、戦争リスクで
一時的に金高が起きる場合もありますが
金高継続されている時点で
ドル安が進行しています。


金利高と株高も起きる

金利が高ければ
株式にとってマイナスです。

株価は下落・軟調な展開になります。

金利高局面でも
株価が上昇することがあります。

世界経済がデフレに陥り
物価が下がる時です。

なぜ金利高になるか?というと
インフレ傾向が強いからです。

インフレ気味の経済下では
デフレは追い風になるため
株高が起きます。

インフレを沈静化するために
政策金利が引き上げられている場面では
世界的なデフレが発生すると
株価はゆっくりと上昇します。

インフレがデフレによって
中和されると、さらに株高が起きます。

金利高と株高が発生しても
デフレ、物価の減退が起きなければ
それは通貨安に陥っている可能性があります。

株価とは通貨で計られています。

通貨の価値が下がれば株価は上昇します。


ドル円の流れ


USD/JPY:週足チャート
1971年~2024年3月

米ドルは1970年代に変動相場制に移行し
ドル安局面に入ります。

政治的意向やオイルショックの影響を受けて
ドル安が加速していきます。

1995年4月に1ドル80円で底打ちすると反発

下落圧力が強く、上昇トレンドが続きません。

2011年10月1ドル75円をつけて反発
ここから上昇トレンドに入っていきます。

現在は1990年4月につけた高値1ドル159円に向けて
上昇している最中です。
(2024年3月27日現在)

下落トレンドが41年もあった為
上昇トレンドがどの程度続くかは
予測はできません。


金価格の流れ


XAU/USD:週足チャート
1970年~2024年

1970年代は金本位制が崩壊した為
金投資ブームが起きました。

物価高が抑止できず
金利が異常に上昇しました。

株価は上値を抑えられて
成長スピードが鈍化。

金市場に大量の資金が流入し
金価格が暴騰しました。

1980年代に入ると
物価はピークアウトして
株価が急速に上昇していきます。

この影響では売られていきました。

2001年に入るとが上昇基調に入ります。

2000年代は新興国株ブームとなり
金も同時に買われていきました。

2011年のピークをつけると
一旦売られています。

米国株がリーマンショックによる
低迷から復活し始めたことが要因です。

2015年にチャイナショックが発生
中国株が大暴落すると
翌年年初2016年からが上昇していきます。

ドルは2015年をピークに下落トレンドに入っています。


インドの天候と金需要

インドの主要産業は農業工業IT業です。
近年では製造業が成長し始めています。

インドの産業構造比率は
第1次産業:19.0%
第2次産業:28.5%
第3次産業:52.5%
(2022年のデータでありGDP全体に対する比率です)

就業者構成比率は
第1次産業:54.7%
第2次産業:19.5%
第3次産業:25.8%
(2010年のデータです。)

インドの主要産業は
GDP比率、利益率で言うと
第3次産業です。

就業者の数で言うと
農業を主体とする第1次産業です。

稼ぎ頭は
サービス業・IT・金融を主体とする
第3次産業ですが

多くの人が農業に従事している国です。

中国とインドの2国は
世界全体の金宝飾品需要の
50%を占めています。

インドは結婚すると
花嫁にを持たせる文化があります。

これを嫌って産み分けが進み
インドの人口比率は男性の方が多いです。

農業従事者が干ばつでダメージを負うと
を買えなくなるリスクがあります。

インドの金需要は天候に左右される可能性があります。

インドの金消費量(現物と宝飾品)

2008年:712.6t
2009年:405.8t(宝飾品のみ)
2010年:1001.7t
2011年:974t
2012年:914.2t
2013年:958.6t
2014年:833.5t
2015年:857.2t
2016年:666.1t
2017年:771.2t
2018年:760.4t
2019年:690.4t
2020年:446.4t
2021年:797.3t
2022年:774.1t
2023年:747.5t

金価格のピークは2011年です。
インドの金消費量のピークは2010年。

金価格が下落し始めると
インドの金消費量も下落していきます、

コロナショックの影響で
インドの金消費量は急激に下がっています。

コロナ後は700t代で推移しています。

2016年~2023年までは
金価格が上昇していたにも関わらず
インドの金消費量は
2016年~2019年は目立った増加は見られません。

インドの干ばつは
2009年,2013年,2019年,2022年。

特に2009年の干ばつ大規模でした。

確かに2009年は金消費量は減少していますが
それ以外の干ばつの年では目立った現象は見られません。

理由はインドも年々、経済発展している関係で
農家の数が減少し第3次産業の就業者が増加しているからです。

昔のように天候に左右されなくなっています。

インドの経済発展ともに
金消費量は増加すると言えます。


中国中央銀行の金買い

2022年11月から中国中央銀行は
金買いを加速させています。

2024年2月時点まで
毎月、金を買い増しています。

金を買う量は一貫していませんが
30トン~10トンの間で推移しています。


金価格と金鉱株価格


HMとDJIA
期間:1925年~1940年

金価格が固定されていた時代でも
金鉱株は上昇しています。

基本的に
金鉱株は金価格に影響を受けますが
低迷する金価格とは相反して
金鉱株は値上がることがあります。


金利高ドル高でも物価高が収まらない

物価の価値が上昇すれば
相対的に通貨価値は減少します。

労働コストが高ければ
通貨価値は減少します。

労働力不足でも
通貨価値は減退します。

米国の住宅賃料が高止まりしています。

住宅不足と金利高の影響で
住宅の価値が上昇しているため
通貨の価値が下がっています。

ドル高に見えても
米国内では通貨安になっています。

読んで頂きありがとうございました。

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