筋トレで筋肉を付けたら「基礎代謝」が上がるは間違っている。本当の理由とは?
「筋トレをして筋肉を増やせば、基礎代謝が上がって痩せやすく、太りにくい身体になりますよ!」ということをよく聞きますが、これはあまり当てになる情報ではありません。
実際のところ、筋肉がついて基礎代謝が上がるのは微々たるものです。
1.基礎代謝とは?
『基礎代謝』とは、生命活動を維持するために必要な必要最低限のエネルギー量のことを言います。つまり、人間が死なないように、脳や内臓などが働くために必要な最低限のエネルギー消費量のことです。
日本の男性では平均1500kcal、女性では平均1200 kcalほどとなっています。
基礎代謝は人間の身体の表面積が広くなるほど上がりますので、身長の高い人や太っていて身体が大きい人ほど、基礎代謝は高くなります。
よって、ダイエットで痩せれば痩せるほど基礎代謝は下がり、太って身体が大きくなるほど基礎代謝は上がるということです。
2.人間の代謝の種類について
基礎代謝以外にも、人間が生活しているうえでいくつかの代謝が起こっています。
2-1. 食事誘発性熱産生
食事をした後に、内臓が食べ物を消化したり栄養素を分解・吸収するときに発生するエネルギーのことを言います。
1日の中では、この食事誘発性熱産生の割合は1割程度だと言われています。
2-2. 安静時代謝量
安静時代謝量とは、何もせずに座っている状態のときでの代謝量のことを言います。
『食事誘発性熱産生』も含まれていますので、食後の時間帯によって安静時代謝量は変化します。
2-3. 非運動性活動熱産生(NEAT)
NEAT(ニート)とは、筋トレやジョギングなどのエクササイズを除いた、家事・育児・通勤・通学などの日常生活での活動量のことを言います。
ニートは遺伝にも左右されていて、人それぞれで何百kcal単位の違いがあると言われています。
3.筋肉がつくと基礎代謝はどのくらい上がるのか?
筋トレをして筋肉をつけたら基礎代謝が上がって痩せやすくなる、太りにくい身体になると言われていますが、実際のところ、筋肉が増えたところで大して基礎代謝は上がりません。
筋肉が全代謝量で占める割合は多いのは事実ですが、筋肉1kgあたりで基礎代謝量をみると大したことはありません。
筋肉1kgあたりの安静時の代謝量は1日13 kcalほどと、非常に小さいです。
男性であれば女性に比べて筋肉を付けられる量が多いですが、それでも初心者の人で1年で6kgぐらいでしょう。
筋トレをしてこなかった人が1年で筋肉を6kgつけれた場合、基礎代謝・安静時代謝量の増え幅は78 kcalほどです。
フライパンにしく油くらいのカロリーしか基礎代謝は上がらないわけです。
女性であれば、より筋肉をつけていけるスピードは遅いですし、筋量UPにも限界があります。
よって、筋トレをしたら基礎代謝が上がって痩せやすくなるというのは正しい情報ではないことが分かります。
4.筋トレによって太りにくくなる本当の理由は?
では、筋トレをしたら痩せやすく太りにくいと言われている理由は何なのでしょうか?
筋肉がついて痩せやすく太りにくい身体になれるというのは、「運動量が上がったから」という理由があっているのではないかと思っています。
筋トレをすれば今まで使っていなかった筋繊維が活動するようになりますし、筋肉が増えればその増えた分の筋肉が運動で活動することになります。
つまり、日常生活での歩行などの動作において、今までより多くの筋肉を動かすことになったので活動量が上がったということです。
車で例えるなら、少し走っただけなのにガソリンを使ってしまうような「燃費の悪い状態」です。
ニート(NEAT)の活動量が上がったということでもあると思います。
この、筋肉が増えたことで普段の生活での活動量が上がったということが、筋トレをすると痩せやすい身体になるという理由であると思います。
5.まとめ
筋肉が増えても基礎代謝にさほど大きな影響は与えません。
筋肉1kgにつき1日で13kcalほどしか基礎代謝は上がりません。
筋トレを始めたことで、今まで使われていなかった筋肉が活動するようになったり、筋肉が増えたことによって、より日常生活での活動量が上がったという理由の方が正しいと思います。
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