【短編小説】 ティーカップ
ひとには勢いというものがある。
人生最大の勢いは結婚なのかもしれない。確固たる家庭を作り出すだの社会の一員になるだの父親母親になるだのの「腹をくくる作業」の前に、
恋というわけのわからない代物に情熱を燃やし、結婚という名の鐘を鳴らす。相手が運命の相手といわんばかりの自己催眠に陥ったまま、ウエディング業界は潤っていく。
最近の若い方々はもしかすると我々のような後先考えない結婚は少なくなったのかもしれない。男性側の年収がどうの、という時代でもなくなったので二馬力は当たり前。そう