ゲームで考える野球采配論⑤ー一年通してー
これまでも投手編に野手編では、一年を通した計画についても触れてきた。例えばベテランの扱い方や、失敗した投手の起用法など。本稿ではより深堀出来ればと思う。
勝負所で召集する選手
「勝負所で召集する選手という」認識について。
2019ロッテでいうと投手なら田中英祐、打者なら今江敏晃になる。
中盤から終盤にかけて、田中は頭数が足りないポジションを補える投手であり、今江は一塁と三塁に加え代打でも実績を残すことが出来る。
経験値に期待してベテランを終盤に起用するなど終盤の采配は趣深い。NPBにセプテンバーコールアップはないが、戦力が徐々に整ってくるにつれて足りない部分を補える選手はロースターに確保しておきたい。投手は何人いても足りない、とはよく聞くし準備しておくに越したことはない。
2019ロッテでは投手に関しては一軍レベルの選手で回すことが出来、中継ぎとの配置転換を混ぜながら運用できたか。ただ、野手の運用には課題が残ったように感じる。
左に強い清田は1試合のみの出場に終わり、守備の名手である岡田や俊介に終盤出場機会は回ってこなかった。二軍の選手を上げてくればいいというほど、簡単な事ではないのだがロースターの選手をもっと積極的に使う時期を作り、終盤の選択肢を増やすことは可能だったかもしれない。
試合に出ていない選手を勝負所で起用するのはかなり勇気がいる。そのため、再昇格のケースばかりになって使える選手の幅が小さくなっていたかもしれないのだ。
高濱は去年勝負所で活躍した実績も考慮して一軍登録を試みたが出場はわずか3試合で、高濱本人にも、チームにもいい流れにはならなかった。
終盤の二軍落ち
ベテランがシーズンの終盤に二軍降格するのは戦力構想外と同義。ゲームであろうと同じやり方になるのは、プレーしていたらわかってしまう。なんとなく「入れ替えたいな」と思われたらプロとして厳しいのだろう。シーズンが進むにつれて、若手、中堅、ベテランに対する対応の違いを自分でも実感するのであった。
2019福浦ロッテならば、今季絶望の怪我をしてしまった寺原や登板が無かった渡辺亮は苦しい立場となるし、早坂や青松も例外ではない。
外国人枠の扱い方
現実世界では特例ながら一軍登録枠と共に外国人枠が拡大している。5人一軍登録、4人ベンチ入りが可能な今のルールはバランスが良いと個人的に思っているので、世の中が落ち着いても継続していってもらいたいと思う。
さて、しかしながらプロ野球スピリッツ2015にはそんな特例は存在しない。外国人枠は決まって4枠であり、投手と打者の偏りも3人まで。これは変わらない。
上の表はロースター内の外国人選手。5月頃に加入したセットアッパー、ロベルト・オスーナとロッテ六年目を迎えるデスパイネの二人は一軍固定。ゴメスがいた時代はデスパイネの二軍落ちもあったが、今年は無かった。
加えて張志豪についてはシーズンにおいて二軍に落とさないプランを試みた。これは打撃が不調でも守備や走塁による貢献の大きさを勘案したもので、しっかりと試合数も出場しチームに貢献。不調な時でも我慢して一軍における能力は大きい。
以上、六人の能力を載せてみたがリベロ、ビヤー、クルーズの一枠を掛けた争い。とはいうものの、リベロとビヤーの一騎打ちだったことは明白だ。クルーズの出場機会はキャリアワーストの4試合にとどまり、今期がロッテでのラストシーズンになりそうだ。
リベロの乱調によってビヤーにも機会がうまれ、外国人野手達の安定的な成績にも繋がったわけだがどうか。
大本営に「クルーズ使え!」と言われてクルーズを使った球団もあるくらいで、計画性があるのかどうかわからないが、一枠遊びを作っておくことによって、チーム状態によって使う選手を選択する事が出来る。中継ぎ投手のリベロと内野手のビヤーでは仕事場は違うようで一軍枠を占める事に変わりはない。ここを上手くやるのはチーム運営にも響く大事な問題だった。
シーズンを区切る
2019福浦ロッテ月別成績
3月:1勝2敗
4月:10勝11敗
5月:11勝15敗1分
6月:13勝10敗
7月:15勝5敗
8月:18勝7敗2分
9月:8勝11敗1分
10月:2勝0敗
78勝61敗4分(.561)
交流戦:9勝9敗(五位)
交流戦まで
開幕から交流戦までの二か月は大事な時期だ。滑り出しに成功すれば有利な立ち位置でシーズンを回れる。しかし、戦力の見極めもしなければならないので手探りな面も否めない。今年はこの期間を21勝25敗1分で回った。優勝するには微妙な成績だ。借金4は致命傷ではないが楽観視できない。
この期間に横田や長内、島井といった若手を起用しながら今年一年の戦い方を考えている。優勝ラインギリギリの成績にはなったが耐えたか。
交流戦
交流戦は9勝9敗の五分。順位も五位とまずまずで、パリーグで上に来たのは四位につけた西武ライオンズのみ。セリーグの方がレベルが高かったのか交流戦を五分で回ったことによって差を付けられずに済んだ。
交流戦はポイントだとしばしば言われ、本当にそう思う。
ASブレイクまで
交流戦明けからASブレイクまでを野球界では前半戦という。正確な半分ではないが一つの大きな区切りだ。今期、この期間を14勝8敗と十分な成績で終えることが出来た。交流戦からいい流れが来てここを勝てたことで、前半戦をいい形で終え、前向きに後半戦に向かえた。非常にいいチーム状態だった。
トレードデッドライン
日本ではあまり馴染みはないがTDLは大切な区切り。今年は前半少し落ち込んだものの、七月には15勝5敗と一気に追い上げたため、TDLで売り手に回ることはなかった。連覇を狙うチームであれ売り手に回る選択は最後まであった。
ここを乗り切ったことで買い手に回る選択が生まれた。TDLでの動きは後述する。TDLは楽しい。
後半戦
ASブレイク(7月21日)明けからは後半戦のスパートだ。保有している戦力で優勝に向かって突き進まなければならない。ロッテとしてはリーグ連覇、日本一連覇がかかっている。
2019ロッテはこの期間、34勝19敗3分で終えた。勝率にして六割四分。優勝するには六割は最低ラインだし、そこを超えていけたのは優秀だった。
この期間は選手を試すことはできない。現有戦力をフルに使う期間でありTDLで獲得した選手も生かしながら采配力も重要になる。投手の配置転換なども早いところ済ませて、安定したチーム運営が必要だ。奇策なども時には必要ともなるが、重要なのは骨子を作る事。ブレないチームをいかに作れるかが、シーズンを終盤において一番大切なのだ。
マジックがつくまで(他球団を含め)というタイミングの取り方もあるが、その区切りを迎えても大して変化させることはない。
トレードデッドライン
シーズン終了時、支配下契約選手の内訳は投手32人、野手38人。
そのうち野手の内訳は、捕手6名内野手19名外野手13名。
普通、といえるロースターが組んである。ポジションごとに足りない所もなく大きく補強をする必要はないだろう。
コンテンダーになるためには、日々の育成なども必要だがこのTDLでの動きも大切である。そこで、どこを補強するのがいいだろうか。
私はまず、TDLが近づいたタイミングでセ・リーグ最下位に沈む阪神タイガースにトレードを持ちかけた。違うリーグを狙った方がいいだろうという判断である。MLBと違って2リーグ12球団は結構選択肢が少ない印象は持った。
草野が本塁打王を獲った去年よりも若干数字を落としている事や、TDL近辺で川崎が状態を落としていたことも加味しての西岡獲得である。
西岡獲得に失敗したタイミングで田中広輔に切り替えた。スタメンクラスでは出場していなかったが能力は優秀。リザーブとして欲しくない球団はないレベルだろう。田中の場合ファーストも守ることが出来るので、力を入れて獲得を目指した。プロ野球スピリッツでは、トレード成立に一週間ほどかかってしまうので急ぐ必要があった。
田中のトレード成立直後、TDLまで一週間と迫っていたのですぐ新井良太獲得を目指した。結果成立まで至らなかったが、これも一つ補強の姿勢だった。守備では貢献できないし、年齢も若くはない。半年のレンタルのつもりで獲得を目指した。対左に弱いデスパイネとの左右ツープラトンを目指せる点や、今江の状態なども考えながら一塁起用も考えられるのがポイントだった。
積極的に三人に対してトレードを試みてみたが、一人の獲得に終わった。田中広輔のロッテ成績を振り返ろう。
対左要員としての起用もあって数字を大きく伸ばした。操作している身としては、四球もある程度取れて三振も少なかったため素晴らしい補強だったと感じている。
吉村裕基FA補強
トレードでのロースター強化が多かったチームの中でFA補強を敢行したのはただ一人。ソフトバンクの吉村裕基である。
ソフトバンク時代も大したことがなかった吉村。それでもオリジナルフォームがあることに加えて長打力があること、一塁三塁と両翼がまあまあ守れることもあって安価なら、と思い交渉をかけた。
一回目おそらく5000万くらいでかけて断られ、心証を損ねた。引き下がれなくなって9200万まで上げることになったが、現実でもこのようなやり取りが行われているのだろうか。
引き下がれなくなったという滅茶苦茶な理由だが、岡田、角中、荻野の三人を主力として回していた外野陣に追加する戦力としては充分だったか。
吉村の実力と契約金単年換算9200万を考えてFA獲得失敗か微妙なラインの成績が残った。四年間で34本塁打は物足りないし、打率も低い。リザーブメンバーとして考えると悪くはないが、ある程度固定する選手としての獲得だったわけだからよかったとはならない。年俸については少々高くついたが、四年目以降また5000万位の契約に落とせば問題ないように見える。
左右の打率差があるタイプの打者は2019の成績を見てもわかる通り、併用起用をすることで選手本人の寿命が延びることもある。シーズン打率を残せれば打数が確保されていなくても、数字の見栄えはよくなり戦力になれる。
今オフの動き
まずはドラフト
藤岡の座を脅かすことが出来る左投手の育成が急務。田口や板垣といった育成過程の投手と同じようにローテーションに入れそうな左腕の指名。
2015オフのドラフトから行ってきて、指名した捕手は今期正捕手だった小湊と、三塁コンバートを行った青柳の二名。田村と江村はまだバリバリやれるとしても一人増やす動きに出てもよさそうだ。
内野手と外野手はやや飽和気味。中村奨吾、草野、今江の後進は丸山がいるとして、TDLで田中広輔の補強に動いたようにショートは枯渇気味か。期待値を込めた育成枠として内野手指名は悪くなさそうだ。出来ればスケールの大きな選手であればなおよし。
FA補強
寺原、久古、渡辺亮など自由契約から選手を獲得することは度々あるのだが、目玉を獲りに行くのは大変。プロスピの仕様だが10ターンしかない交渉期間を割かなければならない。契約金の上限は3億だがポイポイ出せる額ではないし、お金を使いすぎるとハワイや沖縄でキャンプできなくなる。
CPUから優勝チームの資金源は少なめに設定されることからも、無駄に補強するよりもハワイでキャンプして育成した方がいいのが、プロ野球スピリッツというゲームの面白いところ。
FA補強は今オフも特に考えていない。
トレード
プロスピのオフシーズンにおいてトレードは貴重な方法。それなりのパッケージを用意すれば1ターンの消費で成立まで持っていける。複数の選手が移動したり大物選手のトレードも、相手選手との評価を合わせていけばすんなり行くこともおおい。
そこでトレードの弾をどうするか問題。シーズン終盤若干バテた原因は先発投手の駒不足。平均レベルではなく圧倒的な先発投手を一人加えてもよかったかもしれない。野手はポジション毎に人数はいるので調子で判断するものとして、やはり投手は何枚いても足りないくらいだ。
藤浪晋太郎とフェリペ・リベロのトレードなんかも面白そう。