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インド ヴァラナシ(ワーラーナシー), ガンジス川, コルカタ 2019 09 #13

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 アーグラからヴァラナシへの夜行列車に乗り込んでから一夜が明けた。外は白く分厚い雲が広がっている。
 時刻は10時。随分深く眠ったな。そろそろ着いてもいい頃だが、もしかして乗り過ごしてないだろうな、と思い google mapで現在地を確認。すると、ヴァラナシまで数百キロもある。アーグラからずっと鈍行だったようだ。

 ヴァラナシ周辺で長雨が降り、運行に影響していたと言う。特に急ぐ用はないので座席でのんびり過ごそうと思うが、どうも体調が悪い。インド入国から1週間、遂に食あたり、又は水あたりを起こしたのだろう。
 覚悟していたよりはきれいで臭くなかった(それでも一般的には汚いだろうが)車両トイレに駆け込み、用を足す。2, 3日はトイレ事情で大変かもしれないと感じた。

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 17時、予定の6~7時間遅れでヴァラナシ到着。何を待っているか分からない人々でごった返した駅構内で宿の迎えを待った。

 なぜ駅構内外はかくも休憩スペースになるのかよく分からない。多数の人が地べたに腰を下ろし、電車や人をぼーっと待っている。その間を野良犬がうろうろと歩く。インドの大きな駅に行くと常にこの光景であった。東京ではまず見られない状況で自分も迎えを待った。

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 外国人観光客向けのラウンジやチケット予約センターだろうか。閉まっていて機能していなかった。

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 外は雨が上がったところか。駅前は一段と人が多かった。

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 迎えが来て、宿に行く前にレストランに寄った。高めの値段だったが、しっかり美味しかった。エビを使ったカレーとは異なる料理。チリソースだったか。チャパティ、ラッシーとよく合った本日1食目だった。

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 宿は市街地や安宿街からは離れた住宅街にあった。ゴミが混じり水分を含んでじゃりじゃりとした赤土に静かに立ち尽くす牛。傍らにはタバコ屋の掘っ立て小屋。シュールな素晴らしい一枚が撮れた。

 残り数百メートルのところまで来たが、大雨の影響で地面20~30cmほど冠水している。靴、靴下を脱ぎ、サンダルを履く。荷物が落ちないようにバイクに固定。宿のおじさんに掴まりバイクの後ろに乗り、全ての荷物を抱え込む。そして時速30kmで水の中に飛び込む。膝まで濡れる。まるで遊園地のアトラクションだ。いや、アトラクションを超えている。10kg以上のスーツケースを腹に抱え、その前で必死にハンドルを握るおっちゃんの肩にしがみつく。300mほどを2回止まって位置を直しながら進んだ。

 19時、ヴァラナシの宿到着。今日は特に観光してないけど、最後の超絶アトラクションで満足感に浸った。


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翌日、まだ体調は優れないので軽めの朝食をとり、ヴァラナシ観光。生憎の大雨で早朝ガンガーの遊覧ボートは断念。ガートの一つに行ってみると大勢の人。洗濯をする人。沐浴する人。死者をガンガーに送る人。自分と同じように観光で来ている人。

 本来は川べりまで階段状になっているが、水位が上がって階段は見えない。しかし、そんなことは日常茶飯事のように各々ガンガーに思いをはせ、生活の一部としている。

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 どす黒い程に茶色く濁った水。悪臭もなかなかのものである。観光客が入ったりすれば一発KOは必至だろう。そんな中でも躊躇なく水を浴びる人たち。彼らは強い、ただそう感じる他なかった。

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 体調がまだ悪いので日本人がやっている料理屋に行く。卵、人参に出汁がよく効いた雑炊。沁みる。心にも体にも沁みる。インド旅行終盤をやり抜く元気が出た。

 その後は、ヴァラナシで最も有名なヒンズー教寺院のシュリー・カシー・ビッシュワナス寺院に向かった。外国人専用のチェックを受け、靴を脱ぎ中に入った。本堂内は撮影禁止。どんな雰囲気だったかは詳細には覚えていないが祈祷している様子がモニターに映し出され、それに対して賽銭をしていた。

 ヴァラナシの街を当てもなくふらふらと歩いて、いくつかガ―トを見に行ったりして時間をつぶした。やはり沐浴する人、生活用水として使う人が日常としてそれを行っていた。

 夕刻、ヴァラナシを後にするため駅に向かった。セキュリティチェックを受けて駅構内で今夜の列車を待つ。このインド旅行の最終地点、コルカタに向かう。


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 いよいよ旅が終わる、そんな気持ちで周りを見渡すと列車に荷物を積み込む仕事の男たち。なんだか楽しそうに一つのスマホの画面を見つめていた。

ここにも日常はあって、その中に人々は楽しみを感じながら働いている。そこに階級やなんやのしがらみは見えない。これが良い生き方の一つなんだろうな

と感慨にふけった。


 コルカタ行きの列車がほぼ定刻にやってきた。いつものようにSLクラス。手早く着替え、寝る準備にかかる。車内の洗面台で歯を磨き、コンタクトを外して完了。明日はどんな朝だろうか。

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 朝7時、コルカタ・ハウラー駅到着。今まで見てきた駅に比べ遥かに造りが頑丈でしっかりしたプラットフォーム。駅のスタンドで軽食を買い、バス乗り場に向かった。

 暑い。やはりインド最終日も暑い。空は白い薄雲に覆われているが、蒸し暑さが朝から消耗させる。バスで市街地へ。

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 コルカタにはこれといった観光名所はないので、小一時間歩いて空港に行った。

 空港の警備は厳しく、早くても搭乗5時間前にならないと中にはいれてもれなかった。その代わり、空港内一角のエリアに待機スペースがありそこで待つよう言われた。朝10時から夜20時ほどまで寝たりしながら時間をつぶし、チェックイン。

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 空港内は当たり前のように清潔。インドでLCCがかなり普及しているとはいえ、乗れるのは上位数%もいないだろうから。

 少々の腹ごしらえを済ませ、搭乗。色々あったインドともお別れである。

 入国初日のデリーでぼったくり旅行会社に引っ掛かり、旅程が決まってしまってからなんとかコルカタまでやってこれた。デリーの入国審査官には「大変だったけど、なんとかやり切ったぞ」と言ってやりたいくらいの満足感、高揚感を得られた。

 ジャイプル、ジャイサルメール、ジョードプルの美しい景観に魅了され、タージ・マハルの造形美に感動を覚えた。ヴァラナシではガンガーに生き、ガンガーに死す人々を見た。悪い人も良い人も、怖い人も優しい人も、色々インド人を見ることができた。

まだまだやり残したこと、失敗したことがあるので必ず戻ってくる。もっと良い旅をするために。そう思っていると、体が宙に浮いていく。テイクオフ。

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離陸直後のコルカタ。

また来るよ、インド。

                               (終)


インド最終回でした。


最後までお読みいただきありがとうございました。

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次回は、これまで通り旅行記か今後の旅行予定のどちらかにしようと思います。



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