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THE 日記(5/9〜5/22)

五月九日
 働き終わって、恋人の家に。西上くんが書いたネタがおもろくて、しかもかなり整理されている内容で、意外だった。逆に落合の書くものはとっ散らかっている印象。どちらにも良さがある。くらいくらい公園の電話会議。あれこれ話す。
 風呂に入ってぼーっとしてたらいつの間にか寝てた。

五月十日
 昼過ぎに起きて、恋人と神保町に。ボンディーのカレーを腹一杯食って、歩くと、本当に本屋ばっかりでびっくりする。今日はビジネスホテルに泊まるという遊びの日で、それでホテルに移動した。綺麗なホテルだった。近所をうろうろ散歩して、眠くなってきたから部屋に戻って一旦寝る。一時間ぐらいで起きて、また外に出てコンビニで色々買う。ラウンジで今月の群像を読む。新人賞の選評を真っ先に読むと、柴崎さんの選評が意外にも手厳しいというか、技術的な問題を具体的に提示していて、やっぱりあんなおもろい話書く人はそりゃテクニカルだよな、と何か妙に反省した。そして町田さんも柴崎さんと同じような選評を書いていて、好きな作家さんたちが同じようなことを言っているということは、おもしろい小説の書き方みたいなものは確実にあって、そこには考え続けることでしか到達できない。そして今の自分にはそこに到達できる気が全くしない。個人の感情の炸裂のみでしか書いてこなかった。『影分身と饅頭』をもう一回やり直せないだろうか、と思った。書き直してみようかな、と。気持ちの動きやフィーリングで文字を連ねること自体は良いんだろうけど、それが具体的にどんな機能を担っているのかを冷静に調べる、という部分が弱い。俺ずっと書くには書くんだろうな、とも思う。
 ラウンジに夜中までいて、部屋が乾燥していたから加湿器を借りて部屋に戻る。シャワー浴びて、寝。

五月十一日
 ハウスキーピングの人の「清掃でーす」の声で起きる。「起こさないでください」の札を出しとけばよかった。森奈ちゃんを思い出す。
 ラウンジでコーヒーを頼んで横の喫煙室で煙草を吸っている今。毎回ここに来ないと煙草吸えないの不便だ。不便で当然だ。
 昨日読んだ柴崎さんの選評のことをずっと考える。「もっと予期せぬことが起きるということ、他者の存在、を念頭に置いてる人が少ない(表面的には対立だったり葛藤の構造だとしても)」というようなこと。表面的にではなくて根本的にそのことをわかった上で書くって一体どういうことなんだ? 俺は全然わかってない。
 くもりだった。
 お出かけしてごはん食ったりコーヒー飲んだり。ホテルに戻って夜もずっとラウンジでプロット書いたり。恋人と真剣に話して楽しかった。
 夜の知らない街の広い道路に白い街灯が点々とあって、車が機械的な滑らかさで右から左に移動して行くのを見下ろしていた。

五月十二日
 チェックアウトが十一時だったから早起き。ラウンジでおいしいパスタ食って、総武線で高円寺に帰る。間違えて中央特快に乗って三鷹まで行ってしまう。帰宅。眠い。ちょっとApexやって、働きに向かう。
 閉店後にあくつさんと小説の書き方について話す。「柴崎さんの選評が厳しくて良かったんですよ〜」というところから、つらつらと色んなことを喋って、めちゃめちゃ楽しかった。頭が整理された。
 柴崎さんのあの選評を読んでからまた書きたいな、という欲が少し湧いていて、千葉さんの『オーバーヒート』を読みながら帰った。おもしろい。
 帰宅して、Apex。木村くんとぺっちゃんと。

五月十三日
 雨。
 ポテサラが発熱してるらしく、土曜の撮影を中止にする。
 木村くんとApexランク。「バイト行ってくるわ」と言って、プレステの電源を消した。窓の外の雨を見ながら煙草を吸って、なんとなくデニス・ジョンソンの『煙の樹』をリュックに入れて外に出た。バスに乗って読んだ。めちゃめちゃおもろい。一年前か二年前かに読もうとして、多分その時は多読を極めようとしている真っ最中で、だから浅くしか読めてなかった。しっかりゆっくり腰据えて読んだら全然わかった。
 働き終わって、帰宅。Apex。
 寝る前に恋人の背中に腕を入れてドリルみたいに回していたら「何それ怖い怖い」と言われて、「え、怖いの?俺にもやって」と言ってやってもらったら、手の平で触られるのは気持ち良いのに手の甲で触られると結構不気味な感覚、ということに気付いた。手の平で撫でている時にはいつもすぐそばに手の甲という不快感がひっついていること、まさに快感と不快感の表裏一体だね、と言ったら恋人が泣き始めて笑った。

五月十四日
 ポテサラのPCRの結果は陰性だった。コロナじゃなかった。
 起きてすぐにApex。ぺっちゃんとポテサラと。天気が良い。晴れてる。
 「メシ買ってくるわ」と言ってパーティーを抜けて、洗濯機回して、新高円寺に。日高屋でメシ食って、七つ森で『煙の樹』を読む。おもろい。
 帰ってきて洗濯物干して、ぼーっとして、またApex。

五月十五日
 『デリケート』の編集をやろうと思ったらプリンターがなんか壊れた。諦めてUSBにデータを入れる。母ちゃんと電話。じいとばあとも少し話す。じいが「八十八歳になるぞ〜」と言った。コンビニのとんこつラーメンを食って、高円寺まで歩く。スタジオのキャンセル代を払おうとしたらみずほ銀行のカードを持ってなくて、他行宛で振込むしかないから、西上くんにお願いした。
 コンビニで『デリケート』を印刷しようとしたらページ数が多すぎてできなくて、『巨木とスプリングフィールド』を印刷する。
 ぽえむに行って、コーヒー飲みながら『巨木とスプリングフィールド』の編集。おもろい。なんておもろい小説なんだ。凄い。結構長いこと、閉店間際まで編集やって、帰宅。洗濯物取り込む。

五月十六日
 働いていたらめまいが凄まじくて早退させてもらう。ずっと寝る。多分低気圧のせい。

五月十七日
 昨日と変わらずめまいと鼻水が凄い。ずっと寝る。

五月十八日
 どうにか復活。

五月十九日
 雨。
 この日かわからないけど恋人の家に行った。『翡翠城市』を読んでいたらいつの間にか寝てた。

五月二十日
 ZORNさんの新曲がめちゃめちゃ良い。

五月二十一日
 短歌を書いた。いくつか。楽しい。一枚絵を人に伝える時に重要な要素だけを引き抜くと、自分がその中にあるたくさんの要素の中でそれが大事だと思っていることがわかる。つまりそこさえ言っておけば、という最低のラインがある。
 朝方まで落合とApex。

五月二十二日
 起きて、体調が悪い。アレルギー性鼻炎&結膜炎が爆発。暑かったり寒かったりで嫌になる。
 焦らずゆっくり寝て、少しずつ復活。PS4用のカメラが届いてたから顔出しでApexの配信をやってみた。ランク。西上くんが強ぇ。
 お風呂に浸かったら結構楽になった。環七の冷たい黒いコンクリートの上に墨汁みたいな鋭く強い雨が高密度で降り続けて、水たまりがきらきらと車のヘッドライトを跳ね返していた。傘をさしてコンビニに行った。鯖の竜田揚げ、ハラミのたまり醤油漬け、を買った。セブンイレブンのセンス凄い。
 あんまり食欲がないけど無理矢理食った。うまかった。すぐに寝る。

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