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THE 日記(3/4〜3/13)

三月四日
 働き終わって帰宅すると玄関の前に段ボールが置いてあった。Amazonで頼んだ本たちだった。Apex。ムズイ。腹立つ。『全体性と無限』を読んだら、

暴力とは負傷させ、殲滅することであるよりも、むしろ人々[=人格]の連続性を中断し、もはや自分とは思えないような役割を彼らに演じさせ、約束だけでなく固有の実質をも裏切らせ、行為のそもそもの可能性を破壊に導くような行為を実行させることである。

と書いてあった。凄い。おっしゃる通りです。

三月五日
 寝起きの体が重い。なんだこれ、と思いながら煙草を吸うと、今日はこのあと雨が降るらしく、それで納得する。くしゃみが止まらない。
 バスの中で、写真の胡散臭さについて考えていた。身の回りにいる写真家たちは胡散臭くない。真を撮るから虚が目立つだけか。例えば昨日のエマニュエル・レヴィナスの文章だとかに触れた時、俺は「うぉ〜い!」とか部屋で叫ぶんだけど、写真や映像を見ていてあまりそういう、自然とガッツポーズになるようなことがない。映画ではあるけど、それは脚本に対してのガッツポーズで、映像に対してではない。撮るものがある時にその撮るもの次第、ていう変数が大きすぎるからか。全部一人で、小さい範囲で解決する物が好きなのかもしれない。小説なんてその最たるものだ。だから対戦相手が多すぎるApexは難しくて、いつも相手は一人のストファイの方が手前にあるんだと思う。だからいつも同じごはん屋さん、同じ街をふらふらしているのかもしれない。でもそういうことを言うと恋人はすぐに「何にでも答えを出して枠に収めないと気が済まないのやめた方がいいよ」と言う。おっしゃる通りだ。身の回りの写真家たちと今度話そうと思った。文字は、「八年後」と書いたら八年後になる。写真の場合それは今の写真と八年後の写真二枚が必要になる。もしくは一枚の写真で八年間を感じさせる必要がある。そんな限定的な作用を産むことができるのかは知らんけど。考えが混乱してきて、木村くんさよぴぃ西邑にLINEした。みんなからの返事を読んで頭がスッキリしたし何よりおもしろかった。「写真家は胡散臭い」みたいなことも書いていたのでちょっとドキドキしたけど、送ってよかった。
 わからなさと対峙した時にそれを理屈で収めようとしてできる人もいれば、そもそもしない人もいる。強さを理屈でわかってて強い人と、体でわかってて強い人だと、体でわかってる人の方が強い気がする。ときどさんとウメさんの関係みたいに。
 自分は書くことをどのぐらいわかっているのか。
 雨が降ってきた。

三月六日
 高円寺までチャリを漕いでCoCo壱でカレー食ってすぐに家に戻ってきた。マラマッド『テナント』を読み終わって、変な本だったな、中盤までは良かったけど最後らへんは微妙だった。小説を少し書いて、Apexをやっていたらぺっちゃんが来た。日下部が来た。みんなでTWICEのライブを観た。視聴者が多すぎて最初の二十分ぐらいは観れなかった。八人が踊っていて、ジョンヨンだけ椅子に座って自分のパートだけ歌うという斬新な演出。三人で歌いながら観終わって、西上くんが来た。西上くんがApexをやってるところを観たくてやってもらったら、レヴナントでまさかの10キル2200ダメージを出して、俺のアカウントでハンマーバッジを手に入れて笑った。信じられないぐらい強かった。恋人の家まで歩く。話す。寝る。

三月七日
 低気圧が凄まじすぎて起きられない。とっくに遅刻だった。二人でタクシーに乗って池袋に。みんなでフルーツとかパスタをめちゃくちゃ食った。ジュンク堂に行く。本がたくさんありすぎて、「やばい見過ぎちゃうわ、すまん」と言って武田麟太郎の『蔓延する東京』だけ買った。そのあとは何をしたんだっけ。西武の屋上で多肉植物をたくさん売ってるらしく、そこに行った。アンジーとまなみんが何かを買っていた。そこから下に降りて、恋人が欲しがっていた口紅がたまたまあったから、アンジーまなみんクイズに色々教えてもらいながら買う。コメダでコーヒー飲んで、恋人の家に。ケルアック『オン・ザ・ロード』を読む。大学時代に読んだはずなのに何も覚えてないもんだ。めちゃくちゃにおもしろい。『味方の証明』の続きを書く。わけわかんなくなりすぎてて良くないな、とすぐにわかったので一回整理した。簡単に整理された。

三月八日
 覚えてない。

三月九日
 たっぷり寝る。ドッジボールで全員倒す夢を見た。二十人ぐらいを一人で。それで「ドッジボールで全員倒す夢見た」と恋人に言ったら「強いじゃん」と恋人は出かけていった。起きてすぐにApex。ゴールドⅢ、遠い。上がれそうにもない。高円寺まで行ってCoCo壱でカレー食う。上島珈琲に入って『オン・ザ・ロード』読む。おもろい。西邑から電話がかかってきた。少しだけ話そう、となって、新宿に行く。タイムスで煙草ガバガバ吸いながら俺が数日前に送ったLINEからまつわる話を真剣に。オチがあるわけでもない考え途中のものを安心して放り投げて、それは言葉でどうこうすることのできないものについて今話しているのがとてもわかっていて、それは西邑もわかってそうだった。大人になったなと思った。結局やるしかないということを踏まえた上で論理をこねくり回しているだけ。それでも話す。ピカピカに新しくなった新宿駅で別れて、高円寺に戻り、チャリに乗って帰宅。Apex。ポテサラとぺっしと。チャンピオン二回獲る。嬉しいもんだ。ケルアック『オン・ザ・ロード』の続き読む。おもろい。

三月十日
 働く。帰ってきてApex。ぺっしはちょいちょいゴールドⅢに上がってるらしいけど、俺はゴールドⅣの最底辺をずっとうろうろ。とにかくエイム力な気がする。射撃訓練本格的にやるか。風呂。

三月十一日
 十年か、と思う。早いのか遅いのかわからない時間の長さ。十七歳だった。
 起きてすぐにApex。掃除洗濯食器洗いをして、高円寺に。日高屋でメシ食って上島珈琲で『味方の証明』の続き。一回整理させたのがかなり効いてる。良くなってるのがわかる。帰宅。洗濯機が壊れてた。新しい洗濯機を買うモチベーションが全く湧いてこない。Apexやる。キルログを見る癖をつける。

三月十二日
 あくつさんとお笑いの話した。
 急にナンプラーに興味が出てきて、夜中に鶏もも肉のココナッツミルク煮を作った。めちゃめちゃうまくできた。それで寝る前に恋人と「明日地球がなくなるなら何する」の話をして、恋人が、「家族に電話する」と言ったので、俺も話したいと言った。今会うと緊張して好印象を与えられないと思うけど、明日地球なくなるなら、どういう風にあなたたちの娘さんと暮らして、どういうところに感動しました、という、初対面だと「言っても伝わらないだろうな」と諦めるような部分をめちゃめちゃ言う、と言っていたら仰向けに寝た恋人の目から涙が一筋垂れて、それを見ていたら俺も泣いていて、爆笑しながら「なんで泣くんだろうねこれ」と、不思議だった。大雨が降っている音が聞こえた。

三月十三日
 バスで一回家に帰って、少しだけ西上くんとApex。すぐに家出て、高円寺まで歩く。雀荘に入って、西邑とぺっしとポテサラと麻雀。久しぶりだった。最下位だった。強くなろうと思ってないから弱くて当然だし、負けても別に悔しくもなかった。しかし頭を使う遊びだから、ヘトヘトに疲れる。成都でテイクアウトをして、みんなでタクシーで俺の家に。運転手さんが凄い喋る人でちょっとめんどくさい。でも愛想は良い。テーブルに並んだ中華料理の量が凄まじくて、全然食べきれなかった。タッパーに移す。みんな帰る。風呂。恋人が寝て、ポテサラとApex。結構良い調子で、二人とも上手くなっていた。

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