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THE 日記(2/6〜2/14)

二月六日
 ぺっちゃんが押したインターフォンの音で起きる。ベランダに出て煙草を吸う。あったかい。晴れている。TWICEを歌う。方南町に行ってLOTO6とLOTO7を買う。一円パチンコをやる。パチンコ屋めっちゃうるさい。ポテサラ来る。高円寺まで歩く。大聖堂を通る。やたらこっちを見ながら歩調を合わせてゆっくり歩く女の人がいて、「怖い怖い、あの人怖い」とか「ポテサラと友達になりたいんじゃない?」とか言いながら歩いた。太陽でラーメン食う。後ろに座っていた二人組が「オードリーのラジオつまんねえ」と言っていた。「おもろいよね?」と俺が言うとポテサラとぺっちゃんは「うん」と頷いた。ゲオに行って西上くんにあげるプレステ4を買った。うちに帰ってきて、風呂入ったり暴れたりして、西上くんが来た。プレステ4をあげた。みんなで順番にApex。ずっとやってる俺とポテサラより今日初めてやった西上くんとぺっしの方がうまくて笑った。みんな始発で帰宅。

二月七日
 働く。疲れた。帰宅してすぐに風呂に浸かって、Apex。ランクマ。ブロンズⅠにする。あくつさんが「今はゲームやってることも『書いてる』に近いんじゃないかと思う」みたいなことを言ってくれていて、そのことを思う。

二月八日
 久しぶりにチャリに乗って働きに向かう。
 帰宅してすぐにApex。朝の七時まで。シルバーⅢにしようとするけど、全然上がれない。難しい。

二月九日
 起きて、換気扇の下で煙草吸って、自転車に乗って恋人の家の近くの喫茶店に行く。小説を書く。小学一年生の話。二千字ぐらい。テレビで夕方のニュースをやっていた。ジュニアさんが股関節の病気になったというのを放送していた。セブンイレブンでセブンスター買って、恋人の家に。マラマッド『テナント』を読む。おもろい。うちに行く。西上くんとポテサラとApex。勝てない。一戦だけとても良い試合があって、俺がケアパケを一人で取りに行ったら三人と遭遇してダウン、二人に「助けなくていい!」と言って、二人がどんどん安置に向かって走り、最後接戦の末二位になる、というのがあった。観てるだけで興奮した。

二月十日
 働く。帰宅即Apex。朝五時半まで。ポテサラが途中で寝て、西上くんとデュオ。まぁまぁ良い感じ。久しぶりに湯たんぽ。今日はじいちゃんの誕生日だった。

二月十一日
 湯たんぽのおかげで寝起きが良い。働く。帰宅即Apex。朝まで。コントローラーの×ボタンが壊れてきてる気がする。
 五年前か六年前かにiPhoneを水没させていて、それ以来Apple IDがおかしなことになっていたから、それを直すためにiPhoneを復元させた。急にiPhoneが工場出荷時に戻った。だけど意外とどうにでもなるもんだ。

二月十二日
 起きてすぐにiMacを買う。二十八万円。上京直前に買ったMacBook Proさん、十年間お世話になりました。長持ちした方だ。母親と電話。兄ちゃんがジイとバアにプレゼントを買ったらしく、ジイにループタイかネクタイかを買ったらしく、兄ちゃんがジイに「今銀座のデパートおるんだけど何色がいい?」と聞いたら、ジイは「黄色か赤」と応えたらしい。それで兄ちゃんは「九十近いおじいさんで『黄色か赤』て応える奴おらんばい。俺は嬉しい」と言ったらしく、その話を聞いた俺も嬉しかった。確かに、九十歳近くなっても、「黄色か赤」て言えるのは溌剌としている。かっこいい。家を出る。新高円寺のゲオでコントローラーを買おうと思ったら在庫がなかった。新宿に行こうと思って電車に乗ったけど、やっぱり行かない方がいいよな、と思ってすぐに降りる。スーパーで野菜とか肉とかテキトーに買って帰宅。十八時から朝の五時まで十一時間Apexやった。途中、西上くんと俺とポテサラの三人でチャンピオンを獲ってめちゃめちゃ大声を出す。この瞬間を待っていた。

二月十三日
 夕方に起きる。今日は暖かかったらしい。着替えて、東京電力に電話。もともと銀行引き落としだったのに、ここ数ヶ月ずっとなぜかSMS支払いでの案内をされていて、口座から引き落とされてなかったから。対応が雑すぎてキレながら問答。そもそもそちらのミスですけど。ずっと思ってるんだけど、楽しくないならその仕事辞めろよ馬鹿が。何のための我慢だよ。月曜日にまた電話しないといけなくなった。
 結局新宿に来た。東京電力に対するイライラがずっと続いていて、鬱陶しい。紀伊國屋で恋人と合流して、マラマッドの『店員』を買う。イライラしてても結局月曜日が来るまで待つしかないんだからもうイライラしても意味ないな、と気付く。大戸屋でメシ食う。ユニオンでRHYEの新しいやつのアナログを買う。カリモク家具に行って色んな椅子に座る。座面が縦に長い方が座り心地が良いことに気付く。自分の背が高いことをすぐ忘れる。中三まで百五十六センチぐらいでチビ扱いされていて、中三から高一に上がる二週間で十二センチぐらい伸びたから、感覚が小さいまま二十七歳になった。椅子に手すりがついてるやつかついてないやつかで迷って、とりあえず店を出た。ルミネ。unicoでキッチンマットを買おうとしたら、良い感じの物がなくて断念。隣にあるジェラート屋でジェラートを食う。うまい。帰宅。恋人が「眠い眠い」とずっと言っていたからメイク落とすのとお風呂浸かるのまで誘導して、西上くんとポテサラとApex。飲み物がないからコンビニに買いに行った。帰ってきて、ビニール袋から冷蔵庫へと飲み物を移動していたら恋人が「山口くん!山口くん!」と叫んでいて、呑気に「なになに?」と言って寝室に行くと、「揺れてる!」と言われて、地震だった。全く気付いてなかった。恋人の上に覆い被さるように仰向けに、大の字に俺は寝て、「大丈夫大丈夫〜〜〜」とかのんびり言っていたら揺れが収まらず、クレッシェンドでどんどん大きくなっていく。長いこと揺れて、やっと終わったら、恋人が東日本大震災を思い出して軽くパニックになりながら号泣。長いこと、三時間ぐらい泣いていた。「大丈夫大丈夫」と言ったり、RHYEのアナログをかけながら自転車(犬のぬいぐるみの名前)を肩に乗せて踊ったりしていたら、恋人もやっと落ち着いてきた。なんか映画とか観て気分紛らわす方がいいんじゃないかと思ってアマプラで平和な映画を探していたら『南極料理人』が目に入って、これだ、と思い再生させる。おもろすぎ。高校の時以来に観た。最高の映画。二時間が一瞬。恋人は『チンプイ』を観ていて、俺は寝た。

二月十四日
 お気に入りのブレスレットが見つからなくてキレる。キレながらチャリに乗る。働く。働き終えて、Apexやりたいなぁ、と思う。いつも思ってる。怖い。恋人の家に。明日は大雨らしい。低気圧が凄まじくて頭が痛い。風呂に入ってすぐに寝る。起きたら朝の四時。外は雨。傘をさして誰もいない真っ暗な路地裏を煙草を吸いながら歩く。ウメさんがフォールアウト4の配信をやっていたからそれを聴きながら。やたらおもしろそうなゲームだった。コンビニで傘と餃子を買う。ストⅤが二月二十二日にアプデされる。キャラの変え時なのかもしれない。また大変だ。かわいくてエロいキャラを使いたいからポイズンとかかな、と思う。ゲームばっかりだ。真っ暗なアスファルトに白く反射する大雨を見ながら、そしてそれらを踏みながら、小説のことも思う。ゲームのことを考える時、セットで小説のことも考える。小説を読んでる時、どうしても少しの忍耐が必要になる。脳みそが興奮する場面が来るまでは、少し耐えながら文字を追う。それはどんなに優れた小説でも。そこを乗り越えて初めておもしろいシーンに辿り着く。それがめんどくさい。ゲームは起動したワンプレイ目からおもしろい。上手くなるまでの忍耐があるけど、その忍耐すらおもしろい。膨大な快楽を得るための忍耐は全然やるつもりだとこの前の日記に書いたけど、その忍耐があまりにも純粋的な忍耐だとやる気にならない。じゃあ、最初の一行目からおもろい小説を書けばいいんじゃないか、とそんな簡単なことに真夜中の路上で気付く。でもこれは簡単なようで実は凄く難しいことを言っている。忍耐だと思わせない、全ての文字が、最初っから最後までおもろい物語を書けばいい。腑に落ちた。ずっと引っかかっていた何かがスッと消えた。できるだろうか。やってみよう。やるしかない。どんな物語にも導入があって、そこで我慢を感じなかったことは今までほぼない。俺の感覚だと。誰もやったことないことを俺がやれるんだろうか。でも全てがそうじゃないか? 誰もやってないからやれるのかもしれない。
 帰ってきて、餃子とカップラーメンを食った。

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